……再会と………魔物と……
ストック無いのに連投してみました
明日は朝の風が吹く……という事で
本編をどうぞ
まるで何年か放置されたような村を散策して
元自宅にたどり着いたディアーナは、ぼろぼろながらも雨風はまだ凌げそうな状態だった我が家に感謝しつつ
元自室に入って足を伸ばして座り寛いだ
「このタンスはお兄ちゃんが保存の魔法をかけてくれていたはず……お願いしますっ!」
兄の魔法のおかげだろうか
タンスを含めた家具の中身はほぼ無事で、
ロックの魔法がかけられていた中身は荒らされた形跡も無かった。
「さすが最年少宮廷魔術師!…やっと痴女卒業ね……
あ、お人形の服……ぽんこつ精霊にサイズ良さそう……
仕方ない、洗ったとはいえ少し干しとかないと臭くなっちゃうし…
…………脱がそうか…」
自分の部屋が汚れるのが嫌だったディアーナは
家のタンスに入っていたタオルの上に
放り投げて寝かせていたラティを見ると
不思議な構造の服を脱がしていく
「…………何か……いけないことをしているような……なんでだろう……すごくイタズラしたい……」
自分の脳裏に横切る邪な感情を振り払うように
首を左右に振ると元の服に似た人形用メイド服を着せて襟元を摘んで覗き込む
まだ起きない……暇である……イタズラ……しちゃおうか?
「…うぅ……ひどい……やっと解放されたと思ったら…
はたき落とされるし……投げられるし……シェイクされるし……うぅ……」
起きていたようだ…涙を両眼に浮かべながらこちらを伺うようにすすり泣いている
それを見て、もっと泣かせたい…と、思った私は、
……何処か以前と変わったのだろうと漠然と思った
「……もう虐めませんか?……」
こちらを伺いながら、
両手を口の前で組み、涙目の上目遣いで見上げるラティを見て……
……脳内でお尻ペンペンした私は悪くないはず……
……きっとラティが悪いんだ……
「冷静になったところで改めて自己紹介しましょう、
私はディアーナ・レッドハート、このグラビト村の警備隊長
だったお母さんの娘」
「私はprototype00
・超重力制御型高機能魔導精霊、
通称は、重力の始祖精霊ビグ・ラティです、ラティと呼んでください」
聞き慣れない言葉がたくさん出てきたので一つ一つ説明してもらう
先ずprototypeとは何か?
曰く、全ての大元の事らしい…要約すると今この世界に一般的に出回っている軍用精霊はラティが生きていた時代は妖精と呼ばれた精霊の劣化品だったみたいだ
超重力制御型高機能魔導精霊とは?
当時最高の研究機関だったラティの生まれた場所の全てを費やして造られた最強の精霊
その力は人知の及ばぬ領域まで踏み込んでいたそうで当時最強と言われていたラティの姉妹型ですらラティの10分の1程度の力しかなかったという
重力の始祖精霊の重力とは?
ラティの時代において研究されていたブラックホールという超重力空間を参考にした魔法を使える最初の精霊だからそう名付けられた
しかし超重力の制御が非常に危険でラティ以降は1人も造られていない
「そういえば、お兄ちゃんの最後の手紙にクウ王国の始祖精霊を授かる栄誉を戴いた……とか書いてあったけど、それってラティの姉妹?」
「クウ王国ですか?……
……うーん私の記憶ではクウ王国には、
まだ始祖精霊は配備されていなかったと思いますが……
…その始祖精霊の属性は分かりますか?」
「……うーん……確か……一瞬で城を造ったこともあるって書いてあったから土属性じゃない?」
そうディアーナが思い出しながら言うと
ラティは小さな手をポンっ!と合わせて
「土…ならクウ王国にはtype03
土属性戦略級創造型グーン・ラド、通称ラドが居るはずです……しかし私の事は記録では知っていると思うのですが…面識が無いのでどうなるか……」
嬉しそうに思い出しながら、一転して不安そうに呟くラティにディアーナは、
「大丈夫よ!だってラドだっけ?その子お兄ちゃんの精霊になってるんでしょ?なら、私が会いに行けばお兄ちゃんなら戦闘にはならないから!」
そうハッキリと口に出し立ち上がる
その紅眼に変わり濁った両眼にわずかな光を宿して……
「……それにしてもこの"ディメンションボックス"って魔法便利ね?何でも入るんだけど?」
「そうですね…この魔法、質量保存の法則無視してますから…たぶんこの星ごと入りますよ?」
「ふーん……」
質量保存の法則やら星ごととやらの意味は分からないがどうやら何でも入るらしい…それならいっそ……
「よいっ!……しょおぉっ!!…
………おぉ…本当に入った……」
ラティがよそ見をした瞬間ディアーナは、
手もとのディメンションボックスの魔法を家全体に広げるとそのまま飲み込んでしまった。
「へっ?……な、何したんですか?……おうちが……」
「?…ラティが言ったんじゃない…何でも入るって?」
ディアーナの魔法の使い方に口をパクパクさせて驚くラティ
当のディアーナは不思議そうな顔でラティを見る
「野宿の心配も無いし忘れ物も無いし行こうか…
最初は少し先にある街まで行くよ?あそこなら…盗賊団が来ても衛兵隊や冒険者が居るから大丈夫だろうし……」
盗賊団達を思い出すときに…怒りからか奥歯を無意識に噛み締める
あれは運が悪かったのだ…運が…まだ割り切れないが…
「あっ!あれは何ですか!…
………こっちのお花綺麗です………
…あっちの木の実美味しそう音符……」
途中の村は壊滅しているだろうとは思ったディアーナだったが、街道沿いに歩いているためそろそろ隣村に着く頃だと思いながら歩く
しかし……この能天気ぽんこつ精霊は、
少し静かにできないのか?などとイラッとしながら歩いていると
「キャーーッ!!助けて〜!!」
道の先から叫び声が聞こえた
ディアーナは即座に飛び出すと、
そこには猪型の魔物ジャイアントボアが、
ディアーナより年上に見える水色の髪の女性を襲っている
「私の目の前で…殺させはしないから!」
"グラビティブラスト"
射線状に女性がいない事を確認したディアーナは蔦を払ったグラビティブラストを最大威力で撃ち込む
するとどうだろう……黒い光が視界を埋め尽くしたかと思えば晴れた視界には、
襲われていた女性とラティ以外、
全て何かに薙ぎ倒された様に抉られ、横たわり……ターゲットだったジャイアントボアは身体の3分の1程が抉り取られて色々とぶちまけられていた。
「……と、とにかくあの人助けられたみたいだから…………
……良いよね?…………大丈夫ですか?」
「はへっ?!……え、えぇ…擦り傷ぐらいかしら…ありがとう?で、良いのよね?」
ディアーナが助けた女性に近づいて声を掛けると、
女性は惚けた顔から若干の恐怖を含む顔に変わりながら
助けてくれたディアーナに礼を言う
「ディアーナさん!今、強力な魔法使いましたね!どんな強敵が………ぎゃんっ!…」
「………………ディアーナ…?……ディアーナよね?!私よ!幼馴染みのクリスティナよ!覚えてる?」
ディアーナと女性が顔を合わせた時、
ラティが強大な敵の出現か!と飛んで来るが
助けた女性の顔を見てボーッとしていたディアーナは
反射的にラティをはたき落とす
そしてディアーナの顔を見た女性は隣村に住んでいた幼馴染みのクリスティナだと言う
……そんな馬鹿な……
……だって……
……幼馴染みのクリスティは……
……私より……
……"年下の小さな女の子"なのだから……
……この"女性"は……
……イッタイナニヲ……
……イッテイルノ?……
まさかの展開…この風呂敷包むことが出来るのか…
感想やコメント、評価などがあればうれしいです!
ではまた次回に