表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

……貴女は……チカラヲ求めますか……

深夜にお試しで投稿したが評価が?!


モチベーション上がって取り敢えず2話めをば……

明るくなってきた村の広場はヒトだった"モノ"

未だにお母さんだった"モノ"や女だった"モノ"の上で小刻みに動く盗賊達


「テメェら!いつまでヘコヘコしてんだ!さっさと金目の物奪ってとんずらすんぞ!」


そして……お母さんを辱めた"オカシラ"が声を上げると盗賊達は立ち上がり

カチャカチャと音を立ててズボンのベルトを締めながら辺りに散らばる物を集め始めた。


歳上の青年が持っていた家宝だと言っていた剣を高く掲げ他の盗賊に自慢げに見せる茶色の角刈りの盗賊


元冒険者のおじさんが持っていた双剣を振って仲間を斬り殺して笑みを浮かべる頬のこけた細身の盗賊


そして……


「そういや、この女…良い剣を持ってやがったなぁ……おっ?あったあった、ヘヘッ!死人にはもったいねぇから俺様が使ってやるよ、ありがたく思えや!………あ?まだ生きてんのか……まぁ、俺様は優しいからな?愉しませてもらった礼にトドメは刺さないでやるよ。…オラ!テメェら行くぞ!もしも騎士団が来たら厄介だ!」


そう言いながらお母さんの剣を拾い、お母さんの顔を覗き込み生きている事を確認してから投げ捨てると他の盗賊達と去って行った。


残された私は盗賊達が去った後隠し倉庫から飛び出し、お母さんを抱き上げた


「お母さん!お母さん!お母さん!大丈夫?」


私が必死に呼び掛けるとお母さんは虚な蒼眼を私の方に向けて


「…もう……お母さん…やられ…ちゃった…貴女は……大丈夫……?……」


お母さんは土に塗れた全身を必死に動かして私を見てくれた

しかし、しっかりと見えないのか視線はあらぬ方向を向いている


「私は大丈夫!大丈夫だからお母さんも頑張って!」


「お兄ちゃんを……頼って?……泣か……いで?……ごめ…さい…どうか…貴女は………生き……テ………………。」


私はお母さんにずっと必死に呼び掛けるが、

王都で魔術士をしている兄を頼って生きて、と言うと動かなくなってしまった…


「うわぁぁぁぁぁ〜〜〜……………………」


動かなくなってしまったお母さんを抱き締めながら私は泣いた…

涙が次から次へと溢れ出てきて止まらない…

そうして私は失った……



優しかった村の人達を……



仲の良かった友達を……



そして……





大好きだったお母さんを……



泣き疲れてしまったのか…いつの間にか辺りは暗くなっていた。

紅い"モノ"と白い"モノ"未だ燻る"ヒト"と"モノ"が焼ける臭い

がこの光景が夢では無い事を、現実だと言う事を私に伝える。

腕に抱いているお母さんは冷たくて冬の雪の様だった…

昨日までは私の好きなシチューを作ってくれた暖かいお母さん…

今では私の手の中で物言わぬ人形の様だ……


「……どうして…どうしてこんな事に…」


お母さんが伝える動かなくなって本当に1人になった事を自覚した私はまた泣こうとするがもう涙が出てこない


『………………ココニ生贄ハ捧ゲラレタ……汝ハ……チカラヲ望ムカ?』


「……っ!?誰!誰か生きてるの!?」


不意に聴こえてきた声に生存者が居るのか顔を上げ周りを確認するが辺りで動いている人は誰もおらずただ……



『………………汝ハ……チカラヲ望ムカ?』



『…………………汝ハ……チカラヲ望ムカ?』



『……………………汝ハ……チカラヲ望ムカ?』


同じ言葉が何度も頭の中に響いてくる

頭が痛い…色んなことがあり過ぎて頭の中がいっぱいいっぱいだったのだろう……


私はこの残酷で……


理不尽で……


絶望で……


溢れたこの世界を変えたくなった。


故に私の答えは…


「……欲しい…………私は……ディアーナ・レッドハートは…………力が欲しい!!…………全ての理不尽を!!!…………全ての絶望を!!!!……そして残酷なこの世界を変える力が欲しい!!!!!」


『此処に封印は解かれた……汝が真に力を求めるならば……この魔法陣に乗るがいい……さすれば……汝に…重…の力……』


謎の声にディアーナは力の限り全力で叫ぶ。

するとディアーナの目の前に夜より暗く闇より深い暗黒としか表現出来ない魔法陣が現れる


「…何これ?……こんな色の魔法陣…見たことない…」


ディアーナにはディレルという兄が居る、その5つ歳上の兄が全属性を使える大魔道士という職業だった為、

ディアーナは"現在確認されている"全ての魔法陣を見た事がある…筈だが……

今、目の前で禍々しく輝く暗黒の魔法陣はまるで見たことがない…


私はその魔法陣に飛び込もうとしたが、

このままだと腕の中のお母さんや村人達が野ざらしになってアンデット化してしまう事に気がついてお墓を掘って弔う事にした。


魔法陣が消えないか心配だったが幸い村人全員を弔うまで消えることはなかった


「お母さん……みんな……どうなるか分からないけど…私行くね?……どうか天国で安らかに……」


そうして村人全員分の墓とお母さんの為に村の中央広場を墓地に変えて"神聖魔法"で浄める。

そしてお母さん譲り蒼い宝石の様な眼で魔法陣を見つめ、紅い燃えるような髪を肩口までのセミロングに切り揃えた私は、


「じゃあ……行ってくるね?」


とみんなに挨拶をしてから現れてから一度も消えることなくディアーナの周りで蠢いていた魔法陣に飛び込んだ






飛び込んだ私の視界に現れたのは、

昔村長さんから読ませてもらった絵本に書いてあった神殿の様な建物だった

その神殿はすごく大きく、

兄の誕生日にお母さんと一緒に行った王都のお城より立派に見えた…

…しかしかなり古いのかボロボロで所々に崩壊した様な跡が伺える。


「なに?…こんなところでどうすれば?……」


突然広大な廃神殿に1人飛ばされたディアーナが辺りを見回すと黒く輝く光が一つの道を照らしていた、

その道以外は底があるかもわからない程暗くて深そうだったのでディアーナは大人しく光に照らされた道を歩いていく。


「凄い……こんなところ…お兄ちゃんが見たら喜ぶだろうなぁ…」


余りに幻想的な光景に見惚れていると、

神秘的な物全般が趣味な唯一の肉親である兄ディレルが、喜びそうだと呟く

ディアーナは幻想的な廃神殿をただひたすら登る、すると一つの黒く……そして巨人でも通るのか?と思う位の大扉に辿り着いた。



「わぁ……此処だけすごく綺麗……この先に何かありそうだけど……どうやって中に入るんだろう?…………………………きゃっ?!」



ディアーナが扉の大きさに驚きながら近づくと急に扉が輝き始め、ゴゴゴ…と大きな音を立てて観音開きに開き始めた。



扉が開くとそこには祭壇の様な場所が中央にあるだけの広間だった、

祭壇らしき場所の中央から黒い光の柱が天井に向かって真っ直ぐ伸びているのが遠くからでも分かる。

ディアーナは、物音一つしない不思議な場所を一歩一歩確めながら進んでゆく



「……意外と遠かったんだ……………わぁ……近くで見るとすごく綺麗……」


小さく見えた祭壇は、

魔法で拡張された空間なのかすごく遠くて実際に辿り着いた時、祭壇は入口の大扉と同じくらい大きかった。

それ以上に見たことも無い魔力光を放ちながら聳え立つ祭壇にディアーナは恐る恐る手を触れる。


『……貴女は……力を望みますか?……たとえ……それが……邪神と呼ばれた力でも………受け入れられなければ死……永劫に死よりも恐ろしい痛みを味わう事になるかもしれませんよ?…』


ディアーナが祭壇の扉に手を触れた瞬間村で魔法陣が出たときに聞こえた声が、あの時よりもハッキリと聞こえる。

急に聴こえた声にディアーナは、蒼眼を驚きで見開きながら考える。


力は欲しい……しかし……邪神?……どういう事だろう……魔王や魔神は聞いた事があるけれど…

思考の渦にのまれているディアーナに構わず声は続ける






……………………私は何も望まなかった…………


…………私が邪神と呼ばれた故に……





…………私は孤独になった…………


……何も望まなかった故に……





…………私は恐れられた…………


……孤独になったが故に……




…………私は全てを滅ぼした…………


……恐れられたが故に……




…………私は邪神と呼ばれた…………


……全てを滅ぼした故に……




……………………私は何も望まなかった…………


…………私が邪神と呼ばれた故に……



神聖な歌のように……


悲しい物語のように……


懺悔のように……


その言葉を繰り返す声

その言葉を聞いているうちにディアーナは声の主が自分と似たような想いを持っているように感じた。

不意に顔を上げ、祭壇の大扉の中央部をしっかりと見据えて告げる


「……私は力が欲しい……何度でも言おう!」


「……私は……ディアーナ・レッドハートは…………力が欲しい!!…………全ての理不尽を!!!…………全ての絶望を!!!!……そして残酷なこの世界を変える力が欲しい!!!!!」


村で起きた惨劇を思い出しながらもう一度同じ誓いを声高に叫ぶ

すると天井まで伸びていた光の柱が徐々に祭壇に向かって収束していく

光が完全に祭壇に収まると、ゆっくりと扉が開いてゆく


そこに居たのは真っ黒な翅を持つ紫黒のドレスの様な服と銀色の腰まである長い髪をして、紅い眼を向ける小さな女の子だった

女の子は空に浮いて正面にいるディアーナにしっかりと眼を合わせてから両手を広げて質問を投げかける


「貴女は……世界の為に……邪神と呼ばれる覚悟はある?……私は何も望まなかった……故に恐れられ……孤独になり……全てを滅ぼした……そして邪神と呼ばれ長い間……そう……長い…永い間封印された愚かな精霊………"全ての悪意"をその身に受ける必要があり…そんな私の力を貴女は求めますか?」


悲しそうに紅い瞳を曇らせながら問い掛ける小さな女の子にディアーナはもう一度はっきりと宣言する


「……欲しいよ……どんな事があろうとも私は望む……たとえ……それが世界に…邪神と呼ばれる事になろうとも!!」


「…………では、誓いを此処に…重力の始祖精霊ビグ・ラティは此処に使用者権限をかの者に移行する…契約者、名は?」


宣言を聞いた精霊は眼を瞑ると名を尋ねてくる

そして、


「私はディアーナ…ディアーナ・レッドハート…私は貴女の力を望む!…………えっ?………っ!………ぁがっ!?……」


「ごめんなさい……でもどうか……今度こそ……」

言い切った瞬間に魔力が渦巻き、精霊の周りに有った魔力がディアーナの中に流れ込んでくる

精霊が心の底から申し訳なさそうな顔をディアーナに向けながらも魔力が流れ込むとディアーナの目の前の景色がどんどん変わっていく


最初は綺麗な花々が咲き乱れる草原……


次は活気溢れる見たことも無い街並み……


華やかな装いの美しい女性達……


のどかな庭園を走り回る子供達……


…………何と不思議な場所だろう……


いくつも通り過ぎていく景色にそう感じていると一瞬の暗転の後、景色は一変した


綺麗だった花の咲き乱れる草原は、ヒトだったモノが散乱する焼け野原に……


活気溢れていた見たことも無い建物は崩壊し、黒煙を上げながら赤く染まっている……


華やかな装いの女性達は、全てを剥ぎ取られ産まれたままの姿のまま男達に蹂躙されている……


のどかな庭園を走り回っていた子供達は……子供達は?………………


「……?ん?此処は?……『ザクっ!』きゃあーーー!!!」


ディアーナは意識がハッキリしたかと思うと急に庭園のような場所に居る事を不思議に思いながら辺りを見回した

すると、現れた見たことも無い服装の集団にナイフで斬り付けられた……

何度も何度も……

何度も何度も何度も……

ある時は男の子……

またある時は女の子…

そして老人にも成人にもなった、その度に見たこともない服装の集団に切られ……

筒のようなモノで遠くから射抜かれ……

時には建物の中に連れ込まれて乱暴された……

まるで村で起こった惨劇の繰り返しだった……

村で起こった惨劇と違うところは、"全ての当事者が私である"ということだけであろうか……


「もうやだよ…………許してよ………………苦しいよ……………………助けてよ…………お母さん…………お兄ちゃん…………もう殺してよ…………生きていたくないよ…………殺してよ……」


「あ?殺して欲しい?いいぜ!おいお前ら、この女は天国に行きたいそうだ!俺たちで連れてってやろうぜ!」


もう何十回目か分からない女性としての景色……ディアーナの呟きが聞こえたのか、見たこともない服装の集団はいつかと同じ様に服をビリビリと破りながらディアーナの身体に跨ってくる……


いつしかディアーナの意識は遠くなり……ただ無数に訪れる死を受け入れる人形の様な状態になっていた。


ただぼんやりと、あぁ…後何回……もしかしたら永遠にこのままなのかな……辛い…………苦しい…………痛い……悲しい…………あっ………また……ヤラレルノカ……ン?………………………………………………………………





……………………ナンデ?……




……………………ナンデワタシガ?……




……………………ナンデワタシガ…ワタシタチガ……




…………コンナメニ?…………



…………ワタシハ………………



…………ワタシタチハ…………



コンナメニアウタメニイキテキタワケジャナイ!











……………………ワタシタチハ…………







…………イイえ………私ハ…………キサマたちを許さない…





…………滅びろ………………滅びろ!滅びろ!!………………全て滅びてしまえ!!!!




いつ以来か……かなり長い時間殺され続けたディアーナは何かの意識に同調した…おそらくそれは殺された者の意思…若しくは、蹂躙され続けた自分が壊れて暴走したのかもしれない…景色が暗転して見えていた景色が全て消え去った……

……気がつくとディアーナはいつの間にか元の祭壇に戻っていた。


「…ねぇ…もし意識があるなら応えてよ……私はもう1人はやだよ…私のせいで……もう1人も失いたくないよ……」


私の胸の前で悲しそうに顔を俯かせながら涙を流す精霊

私はその精霊の涙をそっと差し出した右手の人差し指で拭った。


「……嘘でしょ……貴女は……アレを受け入れたというの?奴らが私に掛けた呪いとも言うべき……あの国の"全ての悪意"を……」


驚きでどういう表情をすればいいかわからない様子の精霊にディアーナは、


「これからは私がずっと一緒だよ……よろしく泣き虫な精霊さん?」


と言いながら、笑顔で精霊の頭を涙を拭った人差し指で撫でた。

世界観としては発展していた文明が滅びた後の世界って感じですかね?タグはその都度変更するかもしれませんがこのお話はある程度考えをまとめてから出してるので最後まで続けたいと思います

(前までは思いついたらその都度書き足していたが……)


また評価などあれば更新が早まるかも…?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ