君を想えば………ん?
ないアルが鏡を見ながら自慢のどじょう髭と、てっぺんだけ楕円の原っぱのように残して剃り上げた奇妙な髪型を整えてる横で………
俺はリンの事を思い出していた……
ここ2日は挨拶をする程度だったけど……
いきなり真後ろから俺の名前を呼んだ声…一緒に走った時の息使い…そして少しはにかんだ表情……
甘酸っぱい気持ちと、自分だけに見せてくれた一面…なんて思い上がりが、俺の表情を緩ませた……
「アイヤ〜〜〜!!シャチ!」
「なななな、なんだよ、ないアル!いきなり叫ぶんじゃねぇ!」
この野郎……俺がせっかくいい気分で……
「シャチ、しまりがないアルよ〜〜!!心ここに、ないアルよ〜〜!!感じアルよ!」
「ちょいと心配事してただけだよ!明日はリンが手伝いをしてる学童クラブで歌う予定があっからよ!それなのに…」
「シャチ、リン、て私知らないアルよ?…学童クラブで手伝いしてるのはレイアちゃんじゃ、ないアルか?」
いいいっっっけねぇ〜〜〜………
「ああ……レイアが手伝いしてる学童クラブだよ!リンなんて言った事は忘れてくれ!」
「シャチ、もしかしてそのリン、て娘が好きアルか?でもレイアちゃんの気持ちも考えなきゃいけないアルよ。レイアちゃんはシャチの事……」
「おい、ないアル!お前風に言うとな『アイヤ〜勘違いしちゃいけないアルよ〜〜!』だ!2人ともそんなんじゃねぇよ!」
ああ気が動転しまくり……
「アイヤ〜〜〜!!シャチないアルないアル……」
コイツまで気が動転してやがる……その必要ねぇだろ……
「とにかくよ…どじょう髭も髪型も決まってんじゃねぇかよ。行こうぜ!世界初の時間旅行によ!」
「アイヤ〜〜〜!!もうそれしかないアルないアルない〜〜!」
ふう…なんとか、あの話題から切り抜けられた……俺と、ないアルは車……いやタイムマシンに乗り込んだ……俺は助手席、ないアルは運転席に……
ようやく…ようやく…話がそれっぽく……まだまだですかね(笑)。