言葉でも理屈でもなく、体に染みついている物……
『根は悪そうじゃない』…なんて言わなきゃ良かった……
俺自身本来嫌いな言い回しだ……実際被害にあってる奴がいるのに、加害者であるそいつの心根なんか知るか、て思うからだ……
「いや……俺は奴の事パッと見ただけだからよ……良く判らねぇよ、そりゃ……」
「お前の直感は間違ってないかも知れぬ……しかし俺は奴らのような者ども放っておくわけにはいかぬのだ……」
「奴らがワルでのさばらしておいちゃいけねぇのは判るぜ…でも…キリがねぇだろ…あんなバカどもいくらでもいるし、どうせヤツらだってあと数年すりゃ、あんなのやめちまうだろうし…」
「お前の言う通りだ…では何故俺がヤツらなどを相手になどするか………我が叔父の教え……『道場には本物の獣はいない……いるのは“野”のみ……そこで技を磨け』と……」
現代でのスーパーニヒルはないが、かなり鋭い目つきで且つ無表情の眉毛……ん!?……まてよ……奴の言ってる事何か変だぞ!?……
「あのよう……眉毛……それってさぁ……基本的にヤツらとやってる事変わんねぇんじゃないか…て思うんだけど……いや……」
「む!?……」
うわっ……また表情が険しくなった……
「お前の言う通りかもしれぬ……」
『ズデ〜ン!ガタッ!』
俺は思わずズッコケちまった……いや勿論実際にではなく心の中でだが……しかし眉毛の表情は当然ながら大真面目だ……
「だが俺は後には退けぬ……それに栂野……ヤツはひき逃げ犯の可能性が非常に高い……俺は奴を捕まえねば…」
「キャ〜〜〜ッ!!」
これは幼い女の子の声だ!……て事は……リン!?……
「む……里奈が……」
眉毛は立ち上がりリンが寝ている部屋へ…そして
「俺も行く!」
着いて行った……
リンは部屋の中でうずくまり、震えてた…
「どうした里奈……大丈夫だ……俺がいる……そしてこのお兄さんも……」
リンに優しく微笑みかけ、頭を撫でる眉毛……そしたら、リンの震えは止まり、少し微笑んだ…俺はリンに軽く手を振った……
が、無反応でやんの……眉毛に少し嫉妬……こんな歳の時の事なんだから、気にする事ないんだろうけど……
「なあ、里奈よ……勇気を出して話してみてくれぬか……お前の父さんと母さんを……」
するとリンはまた震えた……
「今はまだやめた方がいいんじゃないか…」
「む……お前の言う通りだ……里奈よ…お前の事は俺が守る……安心してお休み……」
再び微笑みを取り戻し、頷くリン……俺はさっきのショックで話かけはしなかったが…
『俺もいる…』
心の中そう呟いた……
もといた大広間に戻る途中、俺は眉毛にある提案をした……
「なあ……俺と一緒にいたあのウルトラファニーな奴いたろ?…」
「む……たしかメカニックの!?…」
「ヤツは絵、描くの上手いんだ。ヤツに栂野の似顔絵描いてもらってさ……ちょっと辛いだろうけど……リン…あ、里奈…ちゃんに…見せたらどうかな……」
「そうだな…里奈には少し辛いだろうが…その方法を用いるしかないかも知れぬ…ヤツを…犯人と断定するには…」
俺達は、ないアルに会うため、壊れた車……タイムマシンに向かった…
「お〜い、ないアル!」
「は!?」
俺達の気配に気付く、ないアル……すると眉毛が唐突に…
「栂野順一の似顔絵は描けるか!?」
「か、描けないアルよ!」
眉毛は、ないアルに詰め寄り……まさか……
「あるのか、ないのか、どっちなんだ!?」
嘘っ!?……いや、暴力は振るってないが……
「おい、やめろって!」
「すまぬ……この体が…俺の血が…そう反応せずにはいられなかったのだ!」
“血が”なんてそんな大袈裟な……て、まさか、眉毛とないアルの因縁は前世から!?……なんてな……
「た、たて私、栂野、いう人知らないアルよ〜〜!!たから書けるワケがないアルよ〜〜!!」
「どっちなんだ…あるのかない…」
「おい眉毛、やめねぇか!なあ、ないアル、栂野、とのは俺達が車押してる時に会った単車乗り達のリーダーだよ」
「アイヤ〜〜〜!!彼の顔なら完全てはないアルが忘れてないアルよ!た、たから、なんとか描けなくもないアルよ!」
「よし、決まりだ!頼むぜ、ないアル!…ん?…」
眉毛が武者震えを……
「おい、大丈夫かよ…」
「血がたぎるのだが…大丈夫だ…すまぬ、シャチの友よ…では、奴の似顔絵を頼む……」
しばらくして
「アイヤ〜〜〜!!」
「こんなもんで良くないアルか!?」
ないアルが栂野の似顔絵を持って来てくれた!
「おお、させがないアル!奴にソックリだぜ!」
「見事だ……お前は素晴らしい男だ…」
「それほどでも、ないアルよ〜〜!たけと、そ言われると描いた価値アルよ〜〜!!」
栂野順一……背丈は眉毛より若干低いが180cm弱はあったと思う…痩せ形、顔は引き締まったシャープな輪郭、細いが鋭い目、鼻は高めで筋が通っている…髪型は全体的に短く刈り、トップをワックスかなんかでツンツンと立てている…そんな感じだ…しかし、ないアルはすごい。俺がそう説明出来るのも、ヤツの絵を見たからだ……
「じゃあ……里奈ちゃんに……もう寝てるよな…」
「そうであろう…では明日の朝にでも……」
あ……急に眠気が……今までテンションが高かったから、目が冴えてたが、緊張状態が解けちまったから……
「ふぁ〜あ……おい……遅いから、俺達も寝ようぜ……ていうか俺は寝る…」
明日の朝……栂野の似顔絵を見たリンはどんな反応をするんだろう……かなり強烈な睡魔に襲われながらも、俺の頭の片隅にはそんな不安があった……が……
グタッ!……
長めに描いちゃいました(笑)。読んでくれてありがとうございます!ではまたよろしくです!