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After Data.40 弓おじさん、初航海の成果

「来るぞ……ッ!」


 船の真下の雲がまたもや不気味にうごめく。

 こちらは上昇しつつ前進……つまり斜め上に向けて動いているというのに、雲のうごめきはそれにぴったりとくっついて来ている。

 プロペラを破壊されたアルテミス号のスピードでは振り切ることは不可能か……!


「出てきたところにカウンターを食らわせるしかない……!」


 しかし、出てくる瞬間に当たり判定であるサメの部分が露出するとは限らない。

 雲の奥に隠れていて、見えない可能性も十分にある。

 となると攻撃技は無数の矢を数秒間広範囲に撃ち続ける【流星弓】が最も適している。


 しかし、今ガー坊がクールタイムに入るのはマズイ。

 見張り台に誰もいなくなると、上からくる敵に対応出来なくなる。

 少々心もとないが、ここは【ガトリングアロー】の融合スキルで何とか……。

 いや、使うべきは攻撃スキルじゃない!

 雲を散らすのは……強い風だ!


「ブリザードストリーム!」


 両腕装備『Aイエティガントレット』の武器スキル【ブリザードストリーム】。

 これは両腕から溶けにくい雪が混じった突風を発生させるスキルだ!

 相手にダメージを与えることは出来ないが、風の勢い自体は非常に強い!

 このスキルなら体の大半が雲で出来ているという相手の長所を短所に変えることが出来る!


 バッシャアアアアアアアアアアアアッ!!


 飛び出してきた瞬間こそ勢いがあった入道鮫も、すぐに風に押し戻されて動けなくなる。

 そして最後にはその体を維持することが出来ず、空中に無数の雲を散らすことになった!

 体が完全な状態ならば再び雲海に逃げ込むことも出来ただろう。

 しかし、今は肝心のサメの部位が他の雲と切り離され、空中を漂っている!

 こうなってはもう逃げられまい!


「ビッグ・サンダーアロー!」


 巨大な稲妻の矢が入道鮫を貫き、スカイマップ最初の戦闘は幕を閉じた。

 いきなりプロペラを1つ持っていかれるという結果にはなったが、相手の強さを考えるとよくやった方だろう。

 ここは一度風雲の隠れ里に戻ってパーツを修理し、それが終わり次第スカイマップに存在する島に上陸してみよう。


 それと操舵のことも考えないとなぁ。

 戦いながら船を動かすのは想像以上に難しかった。

 任せられるなら誰かに任せたいが、操舵ロボはポンコツっぽいし、どうしたものか……。


「とりあえず船体回頭! 金雲の輪のところに戻るぞ!」


 アルテミス号はぐるっと大きくUターンし、元来たルートを戻り始める。

 戦闘中に案外動いていたみたいで、雲の輪は少し遠くになっていた。

 この移動の間に新しい戦闘が起こらなければよいが……。


「……ん?」


 ふと甲板に目をやると、そこには見慣れない宝箱が置かれていた。

 あんなものを設置した覚えはないし、戦闘の最中もなかったように思える。

 まさか、宝箱に擬態するモンスター『ミミック』か!?

 しかし、このタイミングで出てくるなんて不自然なような……。


 と、とりあえず、目の前に宝箱があるなら開けなければならない!

 海賊船によく似合うゴテゴテした装飾の宝箱を、俺は恐る恐る開いた。


「これは機械の……サメ!」


 もっと正確に言えば、飛行機っぽいサメが宝箱の中に入っていた。

 左右のヒレの部分にジェットエンジンのようなものがついている。

 目はガラスっぽい材質で、ボディには金属特有の光沢がある。


 ……で、これは何なんだ? 

 サメという点から、倒した入道鮫のドロップアイテムであることはなんとなく想像がつくけど、用途がなかなか想像できない。

 なにはともあれ、まずはこのサメのステータスを呼び出してみるか。


◆スカイ・シャーク・ランチャー

 部位:ウェポン〈併泳型(へいえいがた)〉 耐久:500 

 威力:800 消費(単発):100 クールタイム:1分


 おっ! スカイシップのパーツか!

 なかなか高火力のウェポンっぽいけど、この併泳型って……なんだ?

 ステータスの文字を直接タッチし、説明を呼び出す。


『併泳型はスカイシップの周りを浮遊するパーツです。基本的にスカイシップ本体の動きを追尾し、燃料もスカイシップ本体のものを消費します』


 なるほど、ガー坊の武器である『コバンザメシューター』や『万弓(マンボウ)』に近いパーツってことだな。

 本体の周りをゆらゆらと泳いで、攻撃をサポートしてくれるのだ。

 さらに浮遊しているから重量もゼロだし、スカイシップ本体の総重量を増やすことなく火力を強化することが出来る!


 やはり入道鮫はそれなりにレアモンスターと考えて良さそうだな。

 パーツを作る素材アイテムではなく、パーツそのものを落としてくれたし、性能だってなかなかのものだ。

 里に戻ったら早速アルテミス号に装備してみよう。

 機械のワニが見張り台に立ち、機械のサメが周りを泳ぐ船……か。

 ロイヤル感は薄れるが、安心感は増す気がするなぁ。

 なんてことを考えているうちに、アルテミス号は金雲の輪の上に到着した。

 スカイマップに来た時のように、ここをくぐれば通常マップに戻れるはずだ。


「下降開始!」


 アルテミス号が地上に降りていく。

 俺はなんとか自分の船を失うことなく、見慣れた大地に戻ってくることが出来た。

 いきなり新パーツという成果があったし、初航海は大成功だ!

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[一言] 猛獣を従えるのは権力者の嗜みだからおっけいw
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