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新たな目標です!

 公爵様との話が終わり部屋を後にした私は「今日はゆっくり休養をとりなさい」と言う公爵様のお言葉に従い自室へ戻ることにしました。この後も、もちろん働く気ではいたのですよ? でも、話が膨らみ過ぎて……もう……キャパオーバーです。

 色々と情報を整理しないと……。そう思いつつ部屋に戻り、着替えを持ってこの家に努める者たち専用の浴室へ。


「はぁ~。この気持ちよさがたまりません」


 誰も居ない銭湯並みに広いお風呂で、手足を伸ばし湯船へ入ります。もちろん、身体などは綺麗にした後にですが……自然と零れる言葉に、ヘトヘトの精神が癒されるようです。嫌な事は全て忘れて、ゆったりとした気分でお湯を楽しみました。


 お風呂を楽しみ、早めの夕食を済ませて部屋へ戻ります。ここ数カ月で色々と怒り過ぎな気もしますが、ひとまず私が現状置かれている状況を纏めましょう。

 纏めるのであれば紙に書き出すのが一番です。早速紙とペン、インク瓶を取り出し箇条書きで書きだします。

 

一、インヴァーリドと言う異世界に、本に触れた事で転移させられた。


 あの本を見つけ出せば戻れるのでしょうか? とりあえずは、謎を調べるためという名目上、本が多いと聞いた王宮の図書室への立ち入り許可が要必要。要の文字に○を書きます。


二、創世神話にまつわる記述


 この世界に私と同じ様に転移させられた本郷鈴さん(此方の世界では、レイさんと名乗っていたようですが)の日記に書かれた内容について精査する事。もしかしたら、あの文章の続きがあり、それを知る事で何か知る事ができるかもしれませんから。


三、どうにかして一人立ちする事!


 これには危機感を覚える様、二重丸の花丸をつけておきます。

 なんせ、これが達成場合……私は、アレかもしくはこの国の第一王子の嫁にされるからです。


 厳しい面持ちで公爵様が両手を組むと私を見据え、何事か決意を固めたように語り出しました。


「リア嬢には、本当に申し訳ないと思っている。堕ち人である事を王宮に知らせるべきではなかった。今回の件で……陛下は…………本気で貴方を、第一王子の妃として迎えようとしている。この国の為ならば、あなたを犠牲にしてもかまわないと考えているようだ」


 公爵様の言葉に謁見でお会いした陛下の顔がちらつきます。所詮は庶民の私ですし、身内も居ない訳ですから、そんな私が一人居なくなった所で、誰も探したりはしませんよね。なるほど、この国は私を犠牲にねぇ……。


「今日の訓練の時に、息子とマリアーヌ嬢そして、もう一人いただろう? 隣国の王子以外に……」


 そう言えば……居ましたね。少し茶色がかった金髪に、少し減量した方がよさげな体躯をした男の子が……。


「まさか、あれが――「そうだ。アレがこの国の第一王子、ルールリス殿下だ」」


 私の言葉を引き継いだ公爵様が、王子だと言い切りました。年齢的に、確実に児童福祉法に引っかかる年齢だと思うのですが? 私はまだ、犯罪者になりたくはございません。ていうか、アレですら引っかかる可能性はありますよね?


 背筋に嫌な汗をかきながら、ここはきっぱりと断るべきだと思いました。


「私の好みではありませんが?」

「……」

「それに、王子殿下は相当年下にみえるのですが?」

「今年成人された。15歳だな」


 うわー、ないわ~。そう口から出そうになり気持ちを引き締めます。


「……ありえませんね」


 きっぱりと拒否の姿勢を示した私に、公爵様はボソっと「……シュリハルトはダメか?」と呟きます。


 王子がダメなら、自分の息子をって……おかしいですよね?! 


「パスで!」

「一応見た目も悪くないし、それなりの身分と金はある。それに、息子はリア嬢を好いている……何がダメなのか教えてもらえるかね?」


 ダメな部分をあげたら限がありませんよ? 裸体とかパワハラとかセクハラとか……女と見れば口説けばいいと思っているとことか……あぁ、思い出しただけでも相当数ですよ! 段々、腹が立ってきました。


「それはそうでしょうが、私にはお金も地位も、見た目も関係ありません。お坊ちゃまに好いて頂いているのは嬉しく思いますが、私はあの方に恋心を抱いてはおりません。ちなみにですが、シュリハルト様は現在おいくつですか?」


 なんとか言質を取ろうとする公爵様に、きっぱりと拒否を示します。その上で、見た目的に未だ十代だろう彼の年齢を聞きました。


「18だ」

「私の事、お幾つだと御思いですか?」

「ふむ。22~3ぐらいだろうか? 少しばかり行き送れではあるが、人柄見た目共に問題ないと思うが?」


 あぁ、やっぱりか……。今まで聞かれないな~とは思っていましたよ? 思っていましたが、まさか7つも年下にみられているとは……。

 面倒だし、赤裸々に語って婚約や結婚はしない方向でもっていきましょう。


「今まで聞かれなかったのでお答えしておりませんでしたが、私の年齢は今年30です! お坊ちゃまとは、12も離れているんです。ですので、どなたであろうと婚約も結婚もパスです。と言うか、この国の人間との結婚は今後一切考えませんのであしからず。それでクビにするのなら、それで結構です!」


 私の剣幕に押されて公爵様はそれ以上何も仰いませんでした。


 ついさっき交わした公爵様との会話を赤裸々に思いだし、今後は色々と注意しようと再び思いました。


 アレに関しては側に居るから、勘違いするのかもしれませんね。であれば今後は出来る限り距離を置くよう配慮しましょう。

 それにしても、あんまりではありませんか……? 私が、何故! とにかく一人でも生きていけるよう今から準備を始めねば! この国を出るにしても、他国の事について知らなければなりません。その為にも、周辺諸国やこの世界に着いて研鑽をつむべきですね!


 腹が決まれば、後は行動するのみです。明日から少しばかり忙しくなるでしょうからしっかりと身体を休める事にしましょう。

 そうして私は、いつもよりも早めに就寝したのです。


足を運んで頂きありがとうございます。

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