表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/61

何かがおかしい気がします!

 次の日、朝早にアレとの訓練をしました。昨日の私の様子がおかしかった事もあり、終始私を気にするアレにいつも通り稽古をつけました。

 それが終わると同時に水浴びを済ませ、朝食を摂ります。


 さぁ、仕事だ! そう思ったところで王宮より迎えの馬車がきてしまいました。

 予想より早い馬車の到着に、慌てて支度を整え馬車に乗り込みます。

 すると馬車の中には、アレとマリアーヌ様が……。


 いつの間にいらしていたのでしょうか? マリアーヌ様がお越しになるとは流石に伺っておりませんよ?

 不測の事態だとしても、まずはお待たせした以上先に謝罪しなければ……。

 そう思い、車内でマリアーヌ様に頭を下げました。


「お待たせして申し訳ありませんでした」


「お気になさらないでリアさん。

 わたくし今日だけは、特別に見学の許可を宰相様に頂きましたのよ」


「そうだったのですか……知らなかったとはいえ、お越しになっているのに挨拶が遅くなり申し訳ありません」


「ふふっ。そう謝らなくて大丈夫ですわ……だって、わたくしの来訪はシュリハルト様にも伝えておりませんでしたもの」


 そう言って楽しそうに微笑まれたマリアーヌ様は、アレへと視線を向けます。

 それに釣られるようにアレを見た私は、その様子にまたか……と思いました。

 

 あの話し合い以降、今までとは違いアレの様子が本当におかしい。何を考えているのか……余計な事をしなければいいのですがね。

 ま、好きにさせておきましょう。どうなったところで、私が困る事はないでしょうし?


「そう言えば、シュリハルト様? もうすぐ長期休暇も終わりますけれど……

 学院の課題は終わられまして?」


 マリアーヌ様の何気ない一言に、アレは明らかに失敗した! と言わんばかりの表情を見せます。

 まさかとは思いますが……課題やってないんですか? 


「あぁ~、まぁ、だ、だいじょうぶだ」


 この対応からしてやってませんね。確実に……。

 バカだとは思っていましたが、ここまでとは……流石の私も驚きですよ? 恋愛云々の前にやるべき事をしっかりやれ! と言いたいところをグッとこらえ、オブラートに何重にも包んだ言葉をかけておきます。


「お坊ちゃま。お城につきましたならば、そのまま引き返してマリアーヌ様に教鞭をとって頂き、お屋敷でお勉強されてはいいかがですか?」


 営業スマイルを浮かべ、アレに諭します。が、アレは「それはできない!」と拒絶しました。

 何がそこまで心配なのか、私にはわかりません。どう伝えれば分かって貰えるのでしょうか?

 私が頭を悩ませる様子を静かに眺めていたマリアーヌ様が、アレの手を取りクスっと笑います。


「シュリハルト様は、本当にリアさんがお好きなのですね」

「そ、それは……」


「隠さずとも良いのですよ? そうだ! 良いことを思いつきましたわ。

 正妻の座を譲ることはできませんけれど、リアさんがもし望むのであれば――「お断ります」――あらっ」


「り、りあ!」


「私が元暮らしていた場所では、一夫一妻制でしたから……そう言うのにはどうしても忌避感をもってしまうのです。ですので、申し訳ありませんがお断りさせて頂きます」


「やはりそうなのだな」

「そうなのですね」


 マリアーヌ様の妙案に対しハッキリと断りの言葉をつたえます。

 私としてはやはり、一夫一妻制で長年生活しているせいか一夫多妻制や一妻多夫などは受け入れられません。

 それを聞いていたアレは、ため息交じりに肩を落とします。そんなアレの肩を優しく叩き慰める仕草を見せたマリアーヌ様もまた、どこか落ち込んだような? そんな感じを受けました。


 その後車内での会話は無くなり、気まずい空気のまま王宮へと到着しました。


 王宮へ入るための馬車止めで馬車を降りた私は、着替えのためマリアーヌ様たちとその場で別れメイドさんに案内され別室へ向かいます。

 やはり王宮に使えるメイドさんは、言葉遣いや仕草、歩き方にとても気を使っているようです。同じメイドとして、見ているだけで勉強になります。

 ん~。一度こう言う所でキッチリ習う鳴りした方が良さそうですね……。


 数歩前を歩くメイドさんに、ついつい気を取られている内に部屋に到着してしまったようで……。

 

「お、お部屋に到着いたしましたが、大丈夫でしょうか?」

「――っ! も、申し訳ありません。あまりにも所作が綺麗でつい勉強を……」

「ふふっ。面白い方ですね」


 し、失態です! メイドさんに笑われてしましました。

 顔がカァーっと熱くなるのを感じながら、彼女に促され部屋へと入ります。


「こちらのお部屋は、リア様専用のお部屋です。陛下から「自由に使うように」とご伝言をお預かりしております」

「あ、ありがとうございます。素敵なお部屋ですね」

「はい。浴室やトイレ、休憩用のベット等も配置してございます。

 リア様がこちらにいらっしゃる間は、わたくしリーンア・ヘゼルがお世話させて頂きますのでどうぞ、なんなりとお申し付けくださいませ」


 ありがたい配慮ですが……メイドにメイドをつけるとはどういうことでしょうか? 陛下のお考えが分かりません……。微妙に嫌な予感がするので、出来る限り関わらないようにしておきましょう。


 私に向かい頭を下げるメイドさんを見ながら、あまりの配慮に裏があるのではないか? と考えました。


足を運んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ