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54.残された三人

「いやいや、俺に謝ったって…… 謝る相手が違うだろ」


チームの解散を言い渡し、イリスが部屋から去ってまもなくの事。彼女にトドメを刺した張本人であるカティアはその場で謝ると、達者な口を封印した。


その言葉を向けるべき相手は自分じゃない。俺に謝ってどうするんだとレンは一蹴するが、誤るべき相手が再び戻ってくる見込みは限りなく少ない。カティアの迂闊な発言は非常にマズイものであった。それも一時は信頼を寄せていたチームメイトから受けた言葉だ。強気な一面の裏で、少女の心は意外な程の弱さを抱えている。イリスが負った精神的ダメージは計りしれないだろう。


リーダー自ら解散を宣言したが、残された者達はどうするのだろうか。飛空士科において個人で学園生活を送るには限界がある。座学ならともかく、機体を飛ばすような実技ともなれば四人ないしは五人揃える必要がある。


「二人はどうするんだ?」

「ルーはレンとティアについていく」

「カティアは?」

「――そうっすね。一旦、二人についていく。隊長の事は……」


三人はひとまず、残された脈を途絶さないという道を選んだ。カティアは言葉を濁しつつも、イリスと話の落とし前をつけたいという意思を示した。そうでもしなければカティアは心にひっかかりを感じながら、この先過ごしていく事になるのは避けられない。


言葉数が少ないまま長い時を過ごし、気付けば部屋を照らす光は窓から注ぎ込む夕日ではなく、部屋に灯された明かりへと変わっていた。ネガティブな空気に支配される中、会話は何度も途絶れた。それでも三人はやっとの思いで今後の方針を落とし込んだ。


四人以上のチームで取り組む必要がある実技は保留しておき、一人で受けられる講義は可能な限り受けておく。合わせて、イリスの事はレンとカティアがなんとかする。イリスがチーム解散という考えを曲げないのであれば、新たな四人目を探す。

四人目を新たに迎い入れる、という案は腑に落ちないながらも学園生活を続ける為には致し方ない。

静まり返った校舎を後に、一人欠けて三人は各自の宿舎へと散って行った。今朝の強い風こそすっかり止んだものの、宙が醸し出す星々の輝きは厚い雲により遮られていた。


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