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14.再起

「これはまた…… 随分と派手にやったな。どう扱えば魔力炉がこんなガラクタになるのか、不思議でならないな」

「うっ……返す言葉もありません……」


外見がまるで別物と化してしまった魔力炉。レン達のチーム機体に搭載されていた炉だ。無残にもガラクタをとなったそれを回りこみながら目視するのは飛空士科のエースこと、ジーク・ウルフェンドールである。


飛行中の彼の目からも地上での爆発は見えたらしく、慌てて降りてきたのだという。ジークの話に水を差すこと無く、全て聞き入るイリス。

普段の威勢の良さはいったいどこへ行ってしまったのか。隊長としての威厳も燃え尽きてしまったようで、気のせいか縮こまって見える。言葉を発する気力も失ってしまった彼女に代わりレンが、ジークとの会話を引き継ぐ。


「なぁジーク、これ直るのかな? 俺、整備面に関しては殆ど知識が無くて、見当もつかないんだ」

「ハード面の知識は早く習得した方がいいぞ。チームで使用するマスター機は原則、生徒が整備も行う決まりだからな。偉そうに言ってる俺も、まだ十分な知識はないけどさ。で、直るかどうかって話だっけ?」

「あぁ……」

「外見こそ煤被ってこの有様だが、内部のダメージはそこまで深刻では無いんじゃないかな」


マシンのメカニズムに関しては追々知識を深めるとして、今はジークの持ちうる知識だけが頼みの綱だ。

彼曰く、この学園の訓練生用機は旧型の機体設計をベースに形作られている。その際、民生品を多く組み合わせることにより、維持を容易にしているという。破損した部品の交換だけであれば、街中の金物屋なり加工屋に頭下げれば代替品を用意できるかもしれない。整備知識の乏しさが不安要素ではあるものの、打開策が見つかり希望が沸いてきた。口角が上がり始めたレンを目に、ジークも安心した表情を浮かべる。


「ちょっと待って。自分たちで直そうとしなくても、講師に状況を説明して代わりの機材を用意してもらえないの?」


しばらく黙り込んでいたイリスが名案を思いついたようだ。男二人へ順に目線を向け、反応を待つ。ジークは目を閉じ頭を左右に振った後、口を開く。


「やめておいた方がいいぞ。こんな物言い、嫌味に聞こえるかもしれないけど、一番結果を出せていないチームが『学園の機材壊したんで、スペア用意してください』なんて言った日には…… 『自分で直せないなら試験は地上から観覧していろと』言われるのが関の山だ」

「それは……」

「君もレンも、お前たちが朝早くからどれだけ練習してるか、俺は知ってるけどさ。頑張る姿勢なんて、講師は見てないし評価はしてくれない。全部自分たちの力で、『実力』でなんとかしないと先はないぜ」

「ごめんなさい……」


すっかり尻込みしてしまったイリスは、ジークが全ての言葉を出し終わった後に、聞き取れないほどの小声で何かを発した。


「ジークおまえ結構、きつい言い方するんだな」

「俺なりの意見を淡々と述べただけのつもりだけど、レンがそう思うんだったら、そうなんだろうな。まぁ父親からの受け売りでさ、子供の頃よく聞かされてたんだよ。嫌いになったか?」

「なってねえよ、それくらいで。元から好きじゃないけど」

「はははは。お前の方がよっぽど、きついじゃないか」


レンとのやりとりを終えると、ジークは小気味よくその場を去って行った。

二人の会話を端から目にしていたイリスは、二人が強い何か……信頼関係のようなもので繋がれたかのように見えた。

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