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恋人役することになりました  作者: イワヒサ
9/15

美沙紀と綾乃は仲が悪い

最近すぐ寝ちゃって中々進まないです⋯⋯。

「克くんにはいい言葉を教えてあげましょう。 嘘は泥棒の始まりよ?」


彼女が出来たと言ったらいきなりそんなことを言われた。

義理とは言え自分と息子を泥棒扱いするのはどうかと思う。


「そんなこと言ったら全員が泥棒だよね? それに俺嘘ついてないし」


俺がそう言うと、俺の母親は勝ち誇った笑みを浮かべた。

うぜぇ。

ひたすらうぜぇ。

どうしてみんな信じてくれないんだろうか? 確かに彼女が出来たことがなかったが、だからといって欠片も信じてくれないのは正直へこむ。


「またまたぁ〜鼻が伸びないうちに嘘はやめなさーい」

「嘘じゃねえよ」

「⋯⋯まさか、本当に⋯⋯?」

「おう」


それから俺の母は俺の顔を少し眺めると、何かに思い至ってしまったのか、カッと目を見開き、ドタドタと部屋から出ていった。


「ゆ、雄介さん! 克くんが二次元に恋人作っちゃった!」


俺の母はとんでもなく不名誉なことを叫び出した。


「な、なんだってー!」


俺の父はわざとらしくそう叫んだ。

俺はこれ以上勘違いされる前に母を止めに向かう。


「ど、どうしましょ! わ、私克くんがそこまで思い詰めていたなんて⋯⋯」

「大丈夫。 克也のことは任せて」

「わ、わかった」

「わからないで! 一体何を任せたの!? ねぇ、何を任せたの!?」


俺はそう叫ぶがスルーされた。

父は俺を見ると、手で座るよう促してくる。

俺は父と母の正面に座った。


「克也。 お前の気持ちは分か⋯⋯んんっ、らんでもない」


父は母の睨みを受けて控えめに言った。

今ので父の威厳は失われただろう。

そして、絶対に俺の気持ちわかってないよね!


「いくら二次元のキャラクターが可愛からうと、彼女が出来ないからと二次元に逃げようと構わない」


おぃぃぃ! 構わないのかよぉ!

じゃあまじで何を言いたいんだよ!


「だけどな、克也には美沙紀がいるだろう? もし逃げたくなったなら二次元ではなく美沙紀の方に逃げるんだ!」

「ごめん、ちょっと何が言いたいかわからない」

「だから、逃げたくなったなら美沙紀の方に逃げるんだ」

「ごめん、二回言われてもわかんない。 そもそも美沙紀の方に逃げるって何? それになんで俺が二次元に彼女作った前提で話進んでるのかなー?」

「お前には可愛い妹がいるだろう。 なに、心配は要らない。 家族とはいっても、克也と美沙紀の血は繋がっていないんだからな」

「そうね! そうよ! さすが雄介さん、天才だわ!」

「なんにも良くないよねぇ!」


ダメだ。

話について行けない。

どうして俺が現実逃避しているまたは二次元にハマっている前提? それに加えて逃げるなら美沙紀に逃げろとか、もう親のセリフじゃねぇ!


「はぁ、何が良くないんだ。 二次元に逃げることか」

「全部だよ!」

「はぁ、よくわからん。 それで克也ら二次元に彼女を作ってしまったのか? それなら早いうちにパソコンとスマホを閉まっておかなければな」

「どうしてだよ! 二次元に逃げてもいいって言ったやつのセリフじゃないぞ! もし本当に俺が二次元にハマってたら絶望するぞ」

「それは⋯⋯いや、都合がいいな」

「なんの!? ねぇなんの都合がいいの!?」


俺の親が何を考えているのかわかんねぇ。

さっきから何が言いたいんだろうか? なんか中津達と話しているときみたいだ。


「はぁ、俺彼女出来たよ。 だから心配しないでくれ」


バタン


俺の母は前のめりに倒れた。

今俺のいる場所は和室で、正座の体勢から倒れたため、少し土下座しているように見える。


「⋯⋯華! 華っー!!」


父は母の肩を揺するが起きる気配はない。

母はたまに倒れるんだが、大抵が美沙紀関係の話だったりでよく分からない。

でも、数十分から数時間で起きるため、心配する必要はない。

父が必死になっているのを見ると茶番を見ている気分になる。


俺はため息を吐いた。 そして振り向くと、笑顔の美沙紀がいた。

だが、その笑顔が妙に怖く感じた。

俺は美沙紀の普段とは違う様子に冷や汗を流した。

美沙紀とリビングに行くと、いつも通りご飯を食べ始める。

どうしたんだ? 俺何かしたっけぇ?

ビクビクしていると、美沙紀がポケットから紙を取り出し、素敵な笑顔で、


「そいえばお兄ちゃん。 この紙を書いた人は誰ですか?」


俺は確かにそのとき殺気を感じた。

ま、まずい!

俺ではなく、あのイケメンが殺られる! 絶対に殺られる! 目を、目を見たら分かるぞ!


「あ、あぁそれならもう解決したぞ?」

「だ れ で す か?」


ひぃぃぃ! 怖い!


「だ、ダメだ! 美沙紀に殺人なんかやらせないぞ!」


俺がそう言うと、美沙紀はニッコリと笑った。

それがさらに俺の恐怖心を煽る。


「それなら大丈夫。 私が殺すのは物理的にじゃなく社会的に殺すだ け だ か ら」


何が大丈夫なのかなー!? 妹が怖いよぉ! もうあのイケメンとはお別れしようか? ⋯⋯いや、ダメだ!


「お兄ちゃん、美沙紀のそんなところ見たくないなぁ。 ほら、いつもの可愛い美沙紀が大好きなんだけどなぁ?」

「へ?」

「ん?」

「本当?」

「あ、ああ、もちろん本当だぞ?」

「そ、そうなんだ」


美沙紀は頬を赤らめて黙々と食べ始めた。

きっと冷静になってから気恥ずかしくなったんだろう。

さっきまであのイケメンに殺意を向けていたのが間違いだと気づいたのだろう。

きっとそのせいだ。 そのせいだと思っておこう。

そんな感じで何事もなく次の日を迎えた。





「お兄ちゃん」


朝、綾乃の家に行こうと思ったら美沙紀に呼ばれた。


「ん? どうした?」

「今日から私も一緒に登校していい?」


美沙紀は小首を傾げて言った。

それがまるで綾乃のようにあざとく⋯⋯いや、辞めておこう。

俺の妹はいつ見ても可愛いのだ。

これは素でやっている。

うん、そうだ!


「おう。 でもいいのか? 少し遠回りになるぞ?」

「やった! ⋯⋯遠回り」

「ん? 何て言った?」

「なんでもない。 それより行こ?」


なんか黒い笑顔が見えた気がしたが気の所為だろう。 そう、気の所為なのだ。


それから家を出ると、美沙紀と手を繋いで綾乃の家に向かった。

これも、兄妹なら普通なのだそうだ。





「やぁ、綾乃」


家から出てきた綾乃に俺はそう言った。

しかし、綾乃は俺と美沙紀を見て固まった。

それから俺と美沙紀の前まで来ると、口元を引き攣らせた。

あ、そういえば恋人役してたんだった。

だったら、周りからは二股しているように見えるのかもしれない。


「はじめまして。 私は田巻克也の妹の田巻美沙紀と申します。 どうぞよろしくお願いします」


美沙紀は笑顔でそう言った。

だが、なぜだか少し怖く感じたのは気の所為だろうか?


「そ、そう。 あなたが妹さんなのね。 私はあなたの兄の彼女で⋯⋯」

「ああ、言わなくても大丈夫ですよ? それに、恋人の振りって分かってますから大丈夫です」


すると、綾乃は俺を睨んできた。

そんなにバレたくなかったのだろうか? 確かに噂はどこから広まるかわからない。 でも、でもだ! あのときの美沙紀は本当に怖かったんだ! 俺が罪悪感や責任感を感じるのは間違いだ!


「そう、言っちゃったの。 ならいいわ。 早く行きましょ。 それと、付き合ってるのか疑われるから妹さんと手を繋ぐのはやめてくれない?」

「おう、わかった」


そして、手を離そうとするが、離れない。

美沙紀が握り続けているからだ。

疑問点に思って美沙紀の顔を見ると、上目遣いで潤んだ目を向けられた。

それは、まるで子犬のようだった。

くそう!

これじゃあ離せないじゃないか!

でも、俺は悪くない。

可愛い美沙紀が悪いのだ!


「すまねぇ綾乃。 それは聞けねぇお願いだな」


すると、綾乃は俺を睨んできた。

く、怖い。

だが俺は兄なのだ。

可愛い妹に頼られて応えない訳にはいかない。


「何を言っているの? 早く は な し な さ い」


やばい。

怖くて離してしまいそうだ。

だが大丈夫。

怖いときは現実逃避すればどうにかなる!

そう思って現実逃避しようと思っていると、


「うるさいですね。 兄妹の仲を引き裂こうとするなんて醜いですよ。 あなたなんてさっさと別の人を恋人役にしてビッチ認定されればいいんですよ」


うん? なんかやばくね? いや、やばいね。 どうして喧嘩売っちゃうのかなぁ? お兄ちゃん最近の美沙紀ちょっと怖いかもぉ。


「なんですって!? こっちが下手に出ていたら好き勝手に言ってくれるじゃない。 そんなに兄にベタベタしていたら引かれるんじゃない? あ、もしかしてもうひかれてたり? それだったらごめんなさいね?」


俺は何かがちぎれる音が聞こえた気がした。

そして質問したい。

俺先に学校行っていい?


「そんなことない! ね? お兄ちゃん? 私のこと好きだよね? 昨日大好きって言ってたもんね? だから、あのビッチが言ったことは間違いだよね?」


なんか妹の目がやばい気がする。

それにしても、なんで美沙紀はそんなに焦っているんだろうか? そこまで俺に嫌われたくないのか?

それだったら嬉しい。


「大丈夫。 俺は何があっても美沙紀を嫌いにはならないよ?」


そう、何があってもだ。

それだけの自信はある。

いや、正確にはなれないかもしれない。

もしも妹に嫌われたらかなりショックを受けるだろうし、亡くなりでもしたら俺は⋯⋯。

いや、もしもの事なんて考えても仕方ないか。


俺は微笑んで美沙紀の頭を撫でた。

美沙紀もされるがままで、受け入れてくれている。

顔は下を向いているが、撫でる直前に悲しそうにしていたのは気の所為だろうか?

よく見えなかったから分からないが、まぁ今気にしても仕方ないだろう。


「はぁ、もう行きましょ? 遅刻するわよ?」

「確かにそうだな。 美沙紀、行こうか」


美沙紀は顔を上げたときには微笑んでいて、俺の言葉た頷いてくれた。

さっきのは気の所為だったんだろう。

俺はいつも通り気にしないことにして学校に向かった。

それが美沙紀を傷つけているとも気づかずに⋯⋯。

書いては消す書いては消すで、中々進まないです。 アイデアはあるんですけど、どこに持ってくるかで悩みます。

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