脅迫ダメ絶対
かなり遅くなりました! すいません。 ちょっとストーリー思い出すために読み直したんですけど誤字脱字と訳の分からない文章がいくつかありました。 もし見つけたら教えていただけると幸いです。
拙い文章ですが、温かく見守っていただけると幸いです!
今後もよろしくお願いします。
朝、綾乃といつも通り登校し、下駄箱を開けると半分に折られた紙が入っていた。
ラブレターだろうか?と一瞬思ったがすぐに頭を振る。
もしラブレターだとしても相手に彼女がいるのかを調べないはずがない。 それに、今までラブレターを貰ったことがないのだ。 非リア充はそうゆうのに敏感だ。 自分で言っていて悲しくなってくるが、彼女が出来たことがないとこうゆうのには敏感でネガティブに捉えてしまうのだ。
「どうしたの?」
綾乃が訝しげに聞いてきた。
それも当然だろう。
俺は下駄箱で上履きを出さずに止まっているのだ。
「あぁ、いやなんでもない」
「そう? なら先に行くわよ」
「おう」
綾乃はそう言うとそそくさと歩いていった。
別にこの紙のことは言わなくてもいいだろう。
どうせあいつらのイタズラだろうし。
俺はそう思って上履きを履くと、紙を広げて読んだ。
それを見て固まる。
そこには綾乃と別れろだの、お前では釣り合わないだの書いてあった。
悪戯にしてはやりすぎじゃないか? いや、これはあいつらが書いたものじゃないのか? なら誰が書いた⋯⋯、ダメだ。 心当たりしかない。
考えても仕方ないため、俺はため息を吐くと、その紙を鞄に入れて無視することにした。
何事もなく授業も終わり、綾乃を家まで送り届けると俺は手紙のことなど完璧に忘れていた。
今日は何をしようか、なんて考えながら歩いていると、同じ制服を着た男子が俺のことを睨んでいた。
その人物はそこそこイケメンだ。 もう一度言おう。 そこそこイケメンだ。 俺は現在そんな人物に睨まれている。 何故だろうか? 俺は彼に何かした覚えはない。 ⋯⋯これはもしかするともしかするかもしれない。
世の中にはホモと言われる特殊な性癖を持った人間がいる。
もしかすると彼はそらに分類されるのかもしれない。
それに加えてヤンデレという危ない属性まで持つのかもしれない。
だとすると答えは一つ!
彼は俺に好意を持っていた。
しかし、俺には彼女が出来てしまった。
それに絶望した彼は俺と心中する気なのかもしれない。
これには根拠がないようである。
彼の表情は怒りに歪んでいて、殺意まで放っている気がするのだ。
だが、それは困る。
俺にはそんな特殊な性癖はないし、美沙紀もいるのだ。
こんなところでやられる訳にはいかない。
ここはキッパリと言っておくべきだろう。
俺は相手の目をしっかりと見て深呼吸すると、
「ごめんなさい! 俺はノーマルなのであなたとはどちらにしろ付き合えなかったです!」
「は? はぁ!? 俺にもないわ! どうして俺が告る前提なんだよ!」
「え? だってさっきから俺のこと睨んでたし、心中する気なのかなと」
「違ぇよ! お前、朝の手紙読んでないのか!」
「朝の手紙⋯⋯? はっ! 確かに別れろとか殺すとか書いてあった。 ⋯⋯まさかもう手遅れだとでも言う気なのか!? 待ってくれ! 俺は綾乃と別れてもお前とは付き合え⋯⋯」
「だから違ぇっつってんだろ! くそっ、なんでこんなやつと綾乃さんが⋯⋯」
そう言ってイケメンは遠い目をした。
俺はそんな彼に少し同情した。
今更だが、彼は綾乃のことが好きだったんだろう。
「お前みたいなのと綾乃さんは釣り合わねぇんだよ! お前なんかと居たら綾乃さんは絶対に後悔することになる!」
イケメンはそう言って俺の襟首を掴んだ。
後悔することになる。
その言葉を聞いて頭を鈍器で殴られたような錯覚がした。
それと同時に怒りも湧いてくる。
「⋯⋯なら、ならお前なら後悔させないのか!? 俺が何を間違えた!? 付き合っていることの何が悪い!? どうしたら間違えない!? どうしたら後悔しないように生きれる!? お前にはそれが分かるのか!? お前は俺よりも悩んだのか!? お前は俺よりも正しいのか!? どうなんだよ!」
「お、俺は⋯⋯」
イケメンはそう言って口ごもった。
そんな様子を見て頭は冷めていく。
⋯⋯どうせ分かるわけがない。
「どうせ告白して振られたんだろ?」
「だからなんだって言うんだよ!」
「だったらもう一度告白すればいいじゃねえか。 お前が振られたってことは、綾乃はお前と付き合う理由がなかったんだろ? だったらアピールしろよ。 どうしてお前らは毎日毎日睨んだりするだけで綾乃に好かれようとしないんだ? 俺と綾乃が別れるとは思わなかったのか? お前らはどうして相手の失敗を願って自分を高めようとしない」
俺はそこで言葉を切って相手を見た。
イケメンくんは何も言ってこない。
言えないだろう。
当然だ。
俺の言葉は合っているようで、間違っているだろう。
努力したって報われないことは多い。
世の中不公平だ。
でも、努力すらしていない奴らに非難なんかされたくない。
俺だって好きで恋人役なんてしてないんだ。
それに、今から努力すればこいつの望みは叶うかもしれない。
俺はただの恋人役だ。
そのうち別れるんだから諦めるのは早すぎる。
「はぁ、これだから非リア充は嫌いなんだ。 リア充になってから出直して来い! この非リア充野郎!」
俺はそう言うと相手を無視して帰った。
だが、その時にイケメンくんの目が光輝いているように見えたのは錯覚だろう。
俺は彼に非リア充野郎なんて言ったけど、もしかしたら彼の方がリア充かもしれない。
だが、だがだ。
俺には偽とはいえ彼女がいる。
ならば言う権利ならあるだろう。
もしなかったとしても、相手が知らないなら問題は無い⋯⋯はず。
俺はさっきの出来事は忘れようと他のことを考えながら帰った。
家に帰るといつも通り美沙紀が出迎えてくれた。
靴を脱ごうと足元を見ると、自分と美沙紀以外の靴が並んでいた。
⋯⋯どうやら今日は早いようだ。
俺の両親は何故か帰ってくるのが遅い。
仕事ってのもあるのだろうが、それどけではないような気がした。
何より、両親は同時に帰ってくる。
それに加えて外食を凄い頻度でしているのだ。
美沙紀は理由も知っているようなのだが、いつもはぐらかされる。
「お兄ちゃんどうしたの?」
美沙紀は優しい微笑みでそう聞いてきた。
その微笑みを見ていると心が清められる気分だ。
俺はなんでもない、と言って首を振ると、美沙紀は俺にハグをした。
これは仲のいい兄妹なら普通なのだそうだ。
俺も躊躇いはない。
だが、その際に少し心臓の鼓動が早くなっている気がするが気の所為だろう。
美沙紀が匂いを嗅いでいるような気がするがそれも気の所為だろう。
すると、部屋のドアが開いていて、女性と男性が覗いることに気づいた。
それは不審者のように見えるが、俺の両親だ。
二人は俺の視線に気づくとすぐにドアを閉める。
何故だろう、といつも疑問に思うが、もう気にするのはやめた。
一々気にしていては疲れるだけだ。
しばらく幸せを噛み締めていると、美沙紀は離れていった。
少し残念に思うが、いつまでもやっていては迷惑だろう。
「お兄ちゃん、先にご飯食べに行こ?」
美沙紀はそう言って俺の鞄を持っていく。
俺は着替えてからリビングに向かった。
両親は既に食べ終えたのか、食器は二人分しか出ていなかった。
俺は少し待つが美沙紀は来なかった。
珍しいなと思いながらも暇になったので両親に話しかけることにした。
「ねぇお義母さん、そいえば俺彼女出来たんだよ」