王様ゲーム2
あ、あれ? ここは笑うところじゃないだろうか? なんか空気がおかしい気がする。 中津はため息を吐いたし、正木なんて、なんかやばいものを見る感じで、うわぁ、と言っている。
だけど、美沙紀は笑顔だ。 あれ? 笑顔? なんか違和感を感じるが、まぁいいだろう。
「それで? お兄ちゃん、続きは?」
「続きって言われてもほとんどないが、俺が美沙紀と勘違いした人は同級生の人でな。 謝ったらテンパったような感じで許してくれたんだよ。 きっと恥ずかしがり屋なんだろうな」
中津と正木は思った。
なんか違う気がする。
「そうなんだ。 それで? その人とは今仲が良いの?」
「おう。 友達だぜ。 よくLimeで話してるしな」
「ふーん、そうなんだ⋯⋯」
美沙紀は意味深にそう言った。
「お、おい、次行こうぜ」
「そうだね。 じゃあ割り箸渡してー」
「おう」
俺は割り箸を渡した。
正木はみんなの割り箸を回収すると、後ろに隠した。
それからまた前に出す。
「それじゃあ、取ってね」
それから割り箸を確認すると、1と書いてあった。
俺は少し残念に思いながら後ろを向く。
また十秒数えて振り返ると、正木がドヤ顔をしながら、俺に割り箸をを見せつけてきた。
うぜぇ。
どうして俺のダチは、こんなにもうざいんだろうか。
「それじゃあ、一番の人と二番の人がハグしてね」
正木は、事前に決めていたのだろう。
迷いなくそう言った。
まるで、10秒で考えていないかのような、迷いの無さだった。
「あぁ? 俺一番だけど、二番の人は⋯⋯?」
「私だよ。 お兄ちゃん」
「なんだ、美沙紀かぁ。 よかった、よかった。」
中津とハグをするなんて嫌に決まっている。
美沙紀で本当によかった。
俺は美沙紀を軽く抱きしめた。
すると、美沙紀は俺の背中に手を回した。
俺はハグすると、すぐに離れようとしたんだが、離れられない。
なんと、美沙紀が強く俺の背中を抱きしめていて、離れそうにないのだ。
さらに、目をつぶっていて、心なしか頬が少し赤い気がする。
俺的にはいつまでも抱きしめていたいんだが、これはゲームだし、何より中津と正木がいる。
早くやめよう。
「な、なぁ美沙紀?」
「何? お兄ちゃん?」
「もうそろそろいいんじゃないかな?」
「え? そんなことないと思うよ? ね?」
美沙紀はそう言って、中津と正木の方を見た。
俺もそちらを見ると、いつの間に手にしたのか、俺のスマホを持っていた。
「おう、もっとハグしているべきだ!」
「僕もそう思う。 それに、王様の命令は絶対だよ? 僕がしないといけないと思ったんだから、ちゃんとしようね?」
くぅ。
なんてやつらだ。
だが、今はそんなことよりも⋯⋯。
「おい! なに人のケータイ勝手に使ってんだ!」
すると、正木はやれやれと手を振った。
中津は無視して、スマホをいじっている。
「ロックをかけない方が悪いんだよ。 それよりも中津、はやくはやく」
「ちょっと待ってろ⋯⋯。 お? おい、星野さんからLime来てんじゃねぇか」
「お、ほんとだ。 どれどれって、これ昨日来たのじゃん。 土日どちらか空いてるか、だって」
「よし、星野さん呼ぼうぜ。 土日空いてるかってことは、星野さんも大丈夫ってこどだろ? よし、今日家来るかっと」
すると、美沙紀がピクリと動いた。
それから俺をじっと見る。
「まだ付き合ってるふりしてるの?」
「お、おう。 そうだけど?」
「そうなんだ⋯⋯。 お兄ちゃん、星野さんも呼ぼう?」
「え? あぁ、まぁ人は多い方がいいよな」
美沙紀の気迫に押されて、考えるよりも早く答えてしまった。
すると、中津がはしゃいでいる。
「うお!? 返信はや! 今から来るってよ。 場所を送って、と」
「すごーい。 じゃあ、もう一戦やっちゃう? すぐ来そうだし、早くやっちゃお」
美沙紀は俺を離すと、位置に着いた。
正木はまた後ろで隠すと、前に出した。
俺はその番号を引いて後ろを向くと、また2番だった。
俺は残念に思いながら目をつぶる。
十秒くらいしてから振り返ると、
「俺がまた王様だぜ! それじゃあ一番と二番がキスな!」
「はぁ!?」
「何をそんなに驚いてんだよ。 王様ゲームでキスなんてよくあることだろ?」
「知らねぇよ!? 本当によくあんのかよ!?」
「ほら、諦めてさっさとしろ」
くぅ。
キスをそんなに簡単にするのか?
二番が俺だったのは、不幸中の幸いか。
俺がするのは正木と美沙紀のどちらかだ。
これもきっと、俺の普段の行いがいいからだろう。
そもそも運がよかったら、こんなことにはなってないって考えは置いといて。
「お兄ちゃん、私が一番だよ」
「そうか、よかった?」
良かったんだろうか?
妹とキスしたらアウトじゃないだろうか?
「それじゃあ、お兄ちゃん⋯⋯しよ?」
美沙紀はそう言って近づいてくる。
ま、まずい。
とりあえず説得しよう。
「な、なぁ。 これはただのゲームなんだし、やらなくてもいいんだぞ?」
「え? 私は別にいいよ?」
「マジかよ」
美沙紀にとって、キスは軽いことのようだ。
それはそれで、お兄ちゃんちょっと心配だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「な、なぁ、キスは好きな人としような?」
すると、美沙紀はキョトンとした顔を向けてきた。
「私、お兄ちゃんのこと好きだよ?」
「ううん、違うよ? そっちの好きじゃなくてな」
「お兄ちゃんは⋯⋯。 お兄ちゃんは私とするの⋯⋯いや?」
美沙紀は潤んだ瞳で俺を見て、小首を傾げながらそう言ってきた。
「そ、そんなわけないだろ。 そうじゃなくてな?」
「私はお兄ちゃんとキス⋯⋯したいな?」
俺は固まってしまった。
俺はどうするべきなんだろうか? 世の中のお兄ちゃんはみんなどうしているんだろうか。 こんなの断れるわけが無い。 でも、するならするで問題が⋯⋯。
もし美沙紀が俺を兄として見ても、俺が妹として見れなくなってしまいそうだ。
すると、ある音が聞こえてきて、俺はそれに助けられたと思った。
それは、インターホンの音だ。
「家に誰か来たみたいだ⋯⋯」
「美沙紀ちゃんと克也は続けててよ。 僕が呼んでくるから」
くそう!
なんでこうゆうときに限って行動するんだよ! いつもなら俺に行かせるだろうが!
「な、なぁ、やっぱり良くないよな? 俺たち兄妹だぜ?」
すると、美沙紀は俯いた。
俺は助かった! と思ったが⋯⋯
「⋯⋯兄妹だから、しちゃダメなの?」
美沙紀は何かを堪えるようにそう言った。
それを聞いて、助かったと思ってしまった自分を殴りたくなった。
でも、どうしてそんなに⋯⋯
「私は⋯⋯ううん、やっぱりいいや」
美沙紀は微笑んでそう言った。
しかし、それは作ったものが丸わかりで、見ているこっちまでが辛くなった。
「克也。 王様としての命令だ。 キスしろ」
「だ、だけど⋯⋯」
「これはゲームだ。 なら、兄妹なんて気にする必要ねぇだろ?」
これはゲーム。
自分達の意思でする訳じゃない。
それに、今美沙紀が悲しんでいるのは自分のせいだ。
もう失敗はしたくないんだ⋯⋯
「わかった。 美沙紀⋯⋯キスしようか?」
俺がそう言うと、美沙紀は頷いてから、目をつぶり、顔をこちらに向けた。
それからあと数センチといったところで⋯⋯
お読みいただきありがとうございました。
小説書くのって大変ですね? 話が上手く行くように書くの、めちゃくちゃ大変です。
他にもヒロイン作ろうと思っていたんですけど、これは無理ですかね? まだ決まった訳では無いんですけど⋯⋯。
今後もお読みいただければ幸いです。




