告白
今回の文字数は二千後半ぐらいです⋯⋯。
俺は綾乃の家に向かって走っていた。
「はぁっ、はぁ、はぁ」
そんなに走っていないはずだが、息が上がっている。 高校生になってから運動をしていないのだ。 仕方がないだろう。 部活は中学のとき、地獄のように感じていたため、入らなかった。
別に部活が楽しくなかった訳ではない。
ただ単純にしんどかったからだ。
最後の大会でいい成績を残せなかったのもあるだろう。
俺一人が頑張っただけではダメなのだ。
他の部員もちゃんと部活に参加していたが、逆にそれだけだ。
自主練はしないし、部活が休みだと、とても喜ぶ。
それが悪い訳では無いし、部活が休みの日に遊ぶのは格別に楽しい。
だから、もっと練習して欲しいだとかは言わない。
大会で勝ちたいから練習する人もいれば、先生が怖いから練習する人もいる。
俺のときは勝ちたい人がいなかっただけだ。
だから、引退してから思った。
自分はなんのために部活をしていたんだろうか? と。
それは、楽しむためだ。
勝ちたいから、なんて思ってしまえば悔しさでいっぱいになる。
でも、楽しむためにやっていたんだと思えば後悔はない。
楽しむためにやっていた部活を高校でもやろうとは思えなかった。
それは、きっと逃げなのだろう。
もしまた結果を残せなかったら⋯⋯なんて思いたくないだけなのかもしれない。
長ったらしく語ったが、何が言いたいかというと、俺は運動不足だ。
明日から早起きしてランニングでもしよう。
目覚ましはあるが、何故かすぐに故障するのだ。
スマホのアラームを使うようにしよう。
そんなことを考えていると、綾乃が歩いているのが見えた。
綾乃の家はすぐそこで、早くしなければインターホンを鳴らすはめになりそうだ。
それでもいいのかもしれないが、そうすると綾乃にグチグチ言われるハメになる。
それは嫌なのでさっそく声をかける。
「綾乃」
俺は荒い呼吸をしながらそう言った。
すると、綾乃はこちらを見てびっくりしようだ。
「何かよう?」
「はぁ、はぁ、用がなければ来ないだろう」
「確かにそうね。 ⋯⋯でも、なんでそんなに息を荒らげているの? まさかとは思うけど、興奮しているの?」
綾乃が俺を蔑んだように見ながらそう言ってきた。
「おい、やめろ。 確かに感情は高ぶってるかもしれないが、口に出されると変態みたいじゃねぇか」
「違うの?」
「違うわ! はぁ、はぁ、あー疲れた」
それから会話が途切れた。
俺は息を整えてから、綾乃の目をしっかりと見た。
何度も深呼吸をする。
今から相手に頼みごとをするのだ。
それは、とても久しぶりのことだ。
俺にはトラウマがある。
それのせいで人にお願いをしたりするのはとても怖いのだ。
小さなお願いでも、それが悲劇に繋がってしまうことが⋯⋯。
「なぁ、俺と付き合ってくれねぇか?」
すると、綾乃は固まった。
目を大きく見開いて俺を見ている。
「な、何を言っているの?」
「だから、付き合ってくれって言っているんだ」
「正気?」
「ああ、もちろんだ。 じゃねぇと、告白しねぇよ」
すると、綾乃はじーっと見てきた。
俺は、目をそらしたかったが、そらさない。
「嫌よ」
「綾乃に好きな人ができるまででいい」
「だから、嫌よ」
「頼む」
「どうして?」
「あ?」
「だから、どうしてって聞いているのよ! 私の恋人役は大変だったでしょう? 我儘をたくさん言ったし、自分勝手なこともたくさんした! あなただって嫌だったでしょう! それなのにどうしてよ!」
「はぁ? 誰が嫌だなんて言ったんだよ! 俺は綾乃との関係が嫌だなんて一言も言ってねぇよ! それなのに勝手に相手のこと決めつけてんじゃねぇよ」
「嘘よ! だって、脅迫だってされてたじゃない! 私と付き合えたっていいことなんて何一つもない!」
今の綾乃は、いつものクールな感じはなくなり、まるで駄々っ子のようだった。
きっと、綾乃は辛いんだろう。
もし綾乃が自分を責めてしまえば、綾乃は誰とも付き合えなくなるかもしれない。
もし俺が綾乃を見捨てれば、俺が必ず後悔する気がするのだ。
それに、あの脅迫文は終わったことだ。
「いいことがない? 違う! 俺は綾乃と話すのが好きなんだ! それに、今までがなんだ! 楽しいのはこれからだろう!」
すると、綾乃は涙を流した。
「私といると、嫉妬されるのよ?」
綾乃は涙声でそう言った。
普段の綾乃からは考えられないくらい、弱々しい声だ。
「だからなんだよ」
「もしかしたら、大変なことになるかもしれないのよ?」
「もしなんて考えても仕方ないだろ」
「私といると、疲れるわよ?」
「それも含めて(話すのが)好きなんだよ」
「そう、なの」
「もうないのか?」
「私はねちっこいし、面倒だし、怒りやすいわよ?」
「それは⋯⋯まぁわかってるし、任せとけ」
「そう⋯⋯私も好きよ」
「おう、俺も好きだぜ」
俺はもちろん友達として言った。
綾乃もそうだろうと思って⋯⋯。
「それじゃあ、帰るわ」
「おう。 あ、待ってくれ。 脅迫のやつって、紙だよな?」
「え、えぇ、そうよ?」
「それなら問題ないぞ? それなら解決したからな」
「解決?」
「おう、それ書いたやつに会った。 そいつも反省してるから大丈夫だと思うぞ?」
「それならよかった。 また月曜日ね」
「おう、また月曜な」
俺は綾乃にそう返した。
そのとき綾乃の顔が赤くなっていたが、きっと泣いたせいだろう。
俺は帰っている途中に、そいえばと思った。
「脅迫文綾乃に見せたの美沙紀か?」
だとしても、それを怒るのは間違いだろう。
美沙紀は俺のためにやったことなんだろう。
それに、人のために行動出来るのはいい事だと思うし、美沙紀は優しいから仕方がないだろう。
今日は久しぶりにお願いをした。
人に自分が何かを言って何かをしてもらうのは、正直とても怖い。
人にお願いをしたのは、美沙紀と家族になって少ししたとき以来だろうか?
その前は⋯⋯。
そのときに頭が痛くなった。
何があっても忘れることは出来ない。
悪いことは忘れるべきなんだろう。
後悔したって仕方のないこともある。
それに、いつまでも気にしたって意味がない。
でも、理由なんて必要ない。
自分が母親を殺した。
そんなの、忘れろってのが無理な話なのだ。
読んでいただきありがとうございました。
シリアスなシーンはどうにも変えたくなる。
書くのが難しいんです。
今回の話は勘違い系の話だったんですけど、わかりづらかったですかね?
正直上手く書けた自信ないんですけど。
直した方がいいところあれば、教えていただけると嬉しいです。
今後も引き続きお読みいただければ幸いです。




