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恋人役することになりました  作者: イワヒサ
12/15

告白

今回の文字数は二千後半ぐらいです⋯⋯。

俺は綾乃の家に向かって走っていた。


「はぁっ、はぁ、はぁ」


そんなに走っていないはずだが、息が上がっている。 高校生になってから運動をしていないのだ。 仕方がないだろう。 部活は中学のとき、地獄のように感じていたため、入らなかった。

別に部活が楽しくなかった訳ではない。

ただ単純にしんどかったからだ。

最後の大会でいい成績を残せなかったのもあるだろう。

俺一人が頑張っただけではダメなのだ。

他の部員もちゃんと部活に参加していたが、逆にそれだけだ。

自主練はしないし、部活が休みだと、とても喜ぶ。

それが悪い訳では無いし、部活が休みの日に遊ぶのは格別に楽しい。

だから、もっと練習して欲しいだとかは言わない。

大会で勝ちたいから練習する人もいれば、先生が怖いから練習する人もいる。

俺のときは勝ちたい人がいなかっただけだ。

だから、引退してから思った。

自分はなんのために部活をしていたんだろうか? と。

それは、楽しむためだ。

勝ちたいから、なんて思ってしまえば悔しさでいっぱいになる。

でも、楽しむためにやっていたんだと思えば後悔はない。

楽しむためにやっていた部活を高校でもやろうとは思えなかった。

それは、きっと逃げなのだろう。

もしまた結果を残せなかったら⋯⋯なんて思いたくないだけなのかもしれない。

長ったらしく語ったが、何が言いたいかというと、俺は運動不足だ。

明日から早起きしてランニングでもしよう。

目覚ましはあるが、何故かすぐに故障するのだ。

スマホのアラームを使うようにしよう。


そんなことを考えていると、綾乃が歩いているのが見えた。

綾乃の家はすぐそこで、早くしなければインターホンを鳴らすはめになりそうだ。

それでもいいのかもしれないが、そうすると綾乃にグチグチ言われるハメになる。

それは嫌なのでさっそく声をかける。


「綾乃」


俺は荒い呼吸をしながらそう言った。

すると、綾乃はこちらを見てびっくりしようだ。


「何かよう?」

「はぁ、はぁ、用がなければ来ないだろう」

「確かにそうね。 ⋯⋯でも、なんでそんなに息を荒らげているの? まさかとは思うけど、興奮しているの?」


綾乃が俺を蔑んだように見ながらそう言ってきた。


「おい、やめろ。 確かに感情は高ぶってるかもしれないが、口に出されると変態みたいじゃねぇか」

「違うの?」

「違うわ! はぁ、はぁ、あー疲れた」


それから会話が途切れた。

俺は息を整えてから、綾乃の目をしっかりと見た。

何度も深呼吸をする。

今から相手に頼みごとをするのだ。

それは、とても久しぶりのことだ。

俺にはトラウマがある。

それのせいで人にお願いをしたりするのはとても怖いのだ。

小さなお願いでも、それが悲劇に繋がってしまうことが⋯⋯。


「なぁ、俺と付き合ってくれねぇか?」


すると、綾乃は固まった。

目を大きく見開いて俺を見ている。


「な、何を言っているの?」

「だから、付き合ってくれって言っているんだ」

「正気?」

「ああ、もちろんだ。 じゃねぇと、告白しねぇよ」


すると、綾乃はじーっと見てきた。

俺は、目をそらしたかったが、そらさない。


「嫌よ」

「綾乃に好きな人ができるまででいい」

「だから、嫌よ」

「頼む」

「どうして?」

「あ?」

「だから、どうしてって聞いているのよ! 私の恋人役は大変だったでしょう? 我儘をたくさん言ったし、自分勝手なこともたくさんした! あなただって嫌だったでしょう! それなのにどうしてよ!」

「はぁ? 誰が嫌だなんて言ったんだよ! 俺は綾乃との関係が嫌だなんて一言も言ってねぇよ! それなのに勝手に相手のこと決めつけてんじゃねぇよ」

「嘘よ! だって、脅迫だってされてたじゃない! 私と付き合えたっていいことなんて何一つもない!」


今の綾乃は、いつものクールな感じはなくなり、まるで駄々っ子のようだった。

きっと、綾乃は辛いんだろう。

もし綾乃が自分を責めてしまえば、綾乃は誰とも付き合えなくなるかもしれない。

もし俺が綾乃を見捨てれば、俺が必ず後悔する気がするのだ。

それに、あの脅迫文は終わったことだ。


「いいことがない? 違う! 俺は綾乃と話すのが好きなんだ! それに、今までがなんだ! 楽しいのはこれからだろう!」


すると、綾乃は涙を流した。


「私といると、嫉妬されるのよ?」


綾乃は涙声でそう言った。

普段の綾乃からは考えられないくらい、弱々しい声だ。


「だからなんだよ」

「もしかしたら、大変なことになるかもしれないのよ?」

「もしなんて考えても仕方ないだろ」

「私といると、疲れるわよ?」

「それも含めて(話すのが)好きなんだよ」

「そう、なの」

「もうないのか?」

「私はねちっこいし、面倒だし、怒りやすいわよ?」

「それは⋯⋯まぁわかってるし、任せとけ」

「そう⋯⋯私も好きよ」

「おう、俺も好きだぜ」


俺はもちろん友達として言った。

綾乃もそうだろうと思って⋯⋯。


「それじゃあ、帰るわ」

「おう。 あ、待ってくれ。 脅迫のやつって、紙だよな?」

「え、えぇ、そうよ?」

「それなら問題ないぞ? それなら解決したからな」

「解決?」

「おう、それ書いたやつに会った。 そいつも反省してるから大丈夫だと思うぞ?」

「それならよかった。 また月曜日ね」

「おう、また月曜な」


俺は綾乃にそう返した。

そのとき綾乃の顔が赤くなっていたが、きっと泣いたせいだろう。

俺は帰っている途中に、そいえばと思った。


「脅迫文綾乃に見せたの美沙紀か?」


だとしても、それを怒るのは間違いだろう。

美沙紀は俺のためにやったことなんだろう。

それに、人のために行動出来るのはいい事だと思うし、美沙紀は優しいから仕方がないだろう。

今日は久しぶりにお願いをした。

人に自分が何かを言って何かをしてもらうのは、正直とても怖い。

人にお願いをしたのは、美沙紀と家族になって少ししたとき以来だろうか?

その前は⋯⋯。

そのときに頭が痛くなった。

何があっても忘れることは出来ない。

悪いことは忘れるべきなんだろう。

後悔したって仕方のないこともある。

それに、いつまでも気にしたって意味がない。

でも、理由なんて必要ない。

自分が母親を殺した。

そんなの、忘れろってのが無理な話なのだ。

読んでいただきありがとうございました。


シリアスなシーンはどうにも変えたくなる。

書くのが難しいんです。

今回の話は勘違い系の話だったんですけど、わかりづらかったですかね?

正直上手く書けた自信ないんですけど。

直した方がいいところあれば、教えていただけると嬉しいです。

今後も引き続きお読みいただければ幸いです。

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