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『クラスメートA』を探せ!!  作者: 植尾 藍
4/8

4.そういえば、二日前、雨降ったね

 俺はまず、体育館を一周する。そうすることを俺は決めていた。体育館は長方形で、体育館の鍵を閉める出入り口は校庭に面した場所にある。

 体育館の反対側、つまり体育館の裏は、特段の用事が無い限り、行くことはない。素行の悪い奴が隠れて煙草を吸うくらいだろう。

 通路としても使われていないし、野球部のホームランバッターの打球も体育館の裏まで転がっていくことはない。

 

 当然俺も練習が終わったあと、体育館の裏に行くなんてことはない。隠れるのに適した場所だ。それに、体育館の裏であれば体育館の中の音が良く聞こえる。


「クラスメートA」が、俺のSNSにいつもタイミング良く『練習お疲れ様』とコメントをしていた真相はこうだ。


 「クラスメートA」は、体育館の裏に潜み、体育館の音を聴いている。そして、体育館でバスケットボールの音がしなくなった後に、俺に『練習お疲れ様』と送っている。もしかしたら、体育館の入口を締める音まで聴いているのかもしれない。


 俺は懐中電灯を片手に、体育館の裏を一周する。全速力だ。


 物陰に隠れても懐中電灯で照らされて分かるし、逃げても、後ろ姿さえ見れれば特定可能だ。面識がない奴だったとしても、男か女かどうかは分かるだろう。


 はぁはぁ。


 俺は、体育館を一周して体育館の入口に戻ってきた。「クラスメートA」の姿は無かった。


 そんな馬鹿な。じゃあ、野球部のフェンスの影か?


 いない。

 

 俺が体育館を一周している間に逃げられた?


 水道場のコンクリートの影か?


 いない。


 学校の正門の方を見ても人影はない。校舎の方にも人影はない。


 逃げられたのか? もし逃げられたのなら、俺が「クラスメートA」の正体を突き止めようとしていることが知れてしまった。今後、「クラスメートA」は警戒をするだろう。もしかしたら、今後は俺のSNSへコメントしてこないかも知れない。もしかしたらSNSのアカウントを消して、そのまま姿を眩ますかもしれない。


 警察小説なら、俺は泥棒にまんまと逃げられたヘボ刑事ということになる。


 俺はスマートフォンを取り出し、「クラスメートA」のアカウントを確認する。どうやらまだアカウントは存在しているようだ


 ピコン


 俺のスマートフォンの画面に、「クラスメートA」からの新着コメントが表示された。


『そういえば、二日前の放課後、雨降ったね』


 そうか。俺は馬鹿だ。そういえば二日前、雨が降っていた。それでも、俺の練習が終わった直後に「クラスメートA」は俺のSNSに『練習お疲れ様〜』とコメントしてきた。


 二日前に雨が降っていた。どうしてそんな簡単なことを俺は見落としていた。「クラスメートA」は、屋外にいる可能性は低いじゃないか。

 

 雨の降っている中、いつ終わるとも知れない俺の練習を、体育館の裏やフェンスの裏で待つなんて真似は、たとえ悪戯であってもしないだろう。逆にそんなことをされたらストーカーのレベルで逆に恐い。


「クラスメートA」は、屋内にいる。今も。


 だが何処に? 相変わらずこの時間は職員室あたりの電気しか付いていない。教室の電気は全て消されている。


 「クラスメートA」は、暗い校舎の教室の中に潜んでいるのか? だとしたら、教室一つ一つを探し回らないといけない。やっかいだ。


 だが、俺は必ず「クラスメートA」を見つけると心に誓った。


『そういえば、二日前の放課後、雨降ったね』という「クラスメートA」のコメント。これは、俺への挑戦状だ。


 俺が、懐中電灯を持って走り回っているのを、「クラスメートA」は、どこかで見ていたのだろう。そして、二日前に雨が降ったときも、練習直後にコメントをしたことを婉曲に伝えてきた。俺が、体育館の裏など、自分がいない場所を必死に探しているのを高みの見物して嘲笑っているということだ。

 『そういえば、二日前の放課後、雨降ったね』は、『私を見つけられるかな?』という挑戦状だ。絶対に見つからない、という「クラスメートA」の自信が行間から垣間見える。だが、それはお前の慢心だと教えてやる。


「『クラスメートA』。俺は絶対、お前の正体突き止めてやる。じっちゃんの名にかけて」と俺は、どこかの名探偵の孫のような台詞を呟いた。

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