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『クラスメートA』を探せ!!  作者: 植尾 藍
3/8

3. 3Pって、決めると格好いいよね!

『今日は部活の後、3Pシュート100本入れるまで帰らねぇ!!』


 俺は、そんなSNSを流した。今日も練習後に『お疲れさま』と「クラスメートA」からコメントが来るだろう。

 毎日、「クラスメートA」から俺のSNSにコメントが来るのだが、一つだけ気づいたことがある。

 それは、「クラスメートA」が俺のSNSにコメントをするタイミングが良すぎるということだ。

 俺がバスケットの自主練習を終わったタイミングで、コメントがやってくるのだ。まるで、俺がいつ、自主練習を終えたかということを知っているかのようだ。


 最初に「クラスメートA」からコメントが来たのは、体育館の鍵を閉めている時だった。


 その次は、職員室に体育館の鍵を返しに行っている時。


 その次の日も、その次の日も、俺の自主練習が終わった直後にコメントが来る。自主練習に関しては、毎日メニューを変えているので、自主練が終わる時間は決まっていない。 

 だが、「クラスメートA」は自主練が終わった直後にコメントをしてくる。

 つまり、俺がいつ練習を終えたかを知っているのだ。つまり、「クラスメートA」は、俺が自主練習をしている間、学校に残っている人物ということになるわけだ。


 そして、どうやって俺が練習を終わったかを「クラスメートA」が知っているのか。それは、ずばり「音」だと俺は推理した。体育館というのは中が空洞で、音の反響が良い。そして、屋外で練習している吹奏楽部などの楽器の音がしなくなれば、体育館の中で発生する音というのは、意外と外にも響いている。

 つまり、「クラスメートA」は、暗くなった学校の、しかも体育館の周辺に潜んでいるということだ。


 「クラスメートA」の正体を突き止める。


 なんだかそれが、俺の大好きなミステリーや探偵小説に登場する探偵に自分がなったかのようで、この頃楽しい。犯人を追いつめる探偵になったかのようだ。


 名探偵のように「犯人はお前だ!」とでも言うかのように、「お前が「クラスメートA」だな! 言い逃れできないぞ!」と、本人を目の前にして言ってやりたい。


 それに今日の昼休みのうちに、俺は体育館周辺で、身を潜めそうな場所を探しておいた。見晴らしの良いと思った校庭にさえ、隠れる所は沢山ある。野球部のフェンスの影、水道場のコンクリート、樹木の影。そして、体育館の裏だ。体育館でバスケットボールがバウンドする音は周辺に響く。スマートフォンが圏外になるような場所なんて学校には無いから、「クラスメートA」は隠れ放題だと思っているだろう。体育館の扉から死角となるところは沢山ある。


 だが、隠れることができる場所は既にチェック済みだ。今日は、家の災害用の防災袋から懐中電灯も持って来た。「クラスメートA」が暗がりに隠れていようが、隠れる場所は目星が付いている。

 それに、顔が見えなくても後ろ姿だけでも懐中電灯で照らして見ることができたら、誰が「クラスメートA」なのか見当がつくというものだ。クラスの生徒だったら、明日、教室で確認すればすぐに身元がわかる。


 準備は万全だ。後は、できれば「クラスメートA」は女子であって欲しいと願うばかりだ。俺が練習終わるまで、男が身を潜めているというのは、ちょっと残念な気がする。


 だが、とにかく、今日、「クラスメートA」の正体を突き止めることができるだろう。


 そして、俺は、自主練習を開始する。ちなみに、フリースローが300本なのに対して、3Pシュートの目標が100本なのは、それだけ俺の成功率が低いからだ。それに、3Pシュートだとフリースローと比べてボールがコートのいろんなところに飛び散ってしまう。ボールを拾いに行くのも時間が掛かるのだ。

 べつに、弱気になってシュート100本と、目標を低く設定したわけじゃない。


 そして、俺はいつものように体育館の後片付けをして体育館の鍵を閉めた。3Pを100本ということで、いつもより練習が終わるのは遅くなった。


 だが、実を言うと、「クラスメートA」が俺のSNSにコメントをする時間が、「定時」なのか、俺が自主練を終えてからコメントをしているのか確認するために、練習を終える時間が不規則になるように俺は、毎日の日課の目標の設定を変えている。


 今日は随分と遅くなった。



 そして、体育館の鍵を閉めているときに、俺の携帯がピコンと鳴った。


『練習お疲れ〜。3Pって、決めると格好いいよね!』


 「クラスメートA」からのコメントだ。間違いない。「クラスメートA」は、いま、体育館の、具体的に言えば、バスケットボールのバウンドの音が聞こえる場所に身を潜めている。

 俺はスクールバックから懐中電灯を取り出し、そしてバックを体育館の入口へと置く。もちろんそれは、速く走るためだ。


 すでに太陽は沈み、薄暗い。今日も職員室あたりしか電灯はついていない。だが、「クラスメートA」が身を潜めているであろう場所はすでに俺の頭の中にマッピングされている。


 俺は、走り出した。今日こそ、「クラスメートA」の正体を暴いてやる!!


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