腕時計のように
珠玉の作品
実家の机の引き出しを整理していると、元カノから貰った腕時計が出てきた。名ブランドの格好いい代物である。もう別れて10年が経過していた。時計の針は止まっていた。僕の気持ちも元カノの気持ちも、お互いに対する気持ちは止まっているだろう。
約3年半続いた恋。別れる理由はきっと僕のためだ。それを汲んで「好きな人が出来たから、別れて欲しい」と。だらしない僕を自立させるための最後の嘘。現在彼女は東京へ行き独身であるようだ。大学の友達の遠い噂で知った。
もう動き出すことのない僕と元カノとの関係。貰った時計を修理しようとしたが、時計屋の店員に、こう告げられた「この時計は、古すぎて直すことができません」
超短編すぎるがスッキリとした終わりかた