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相生様メモ   作者: 大野 大樹
人物紹介プラスα
8/20

オタク系女子佐々木さんは、オカン系男子田中君が好き

「‥ここ、ほつれてるぞ」

 武生が四朗の袖をつかむ。

「ん? 」

 掴まれた袖を四朗が見ると

「ボタン」

 と、相変わらず不愛想な顔で言うと、裁縫セットを出して、ボタンを付け始める。

「‥あ、ありがとう‥」

「ああ‥」



 なんて、中途半端な妄想を膨らましてる、「オタク未満」な女子たちに、さっきから佐々木さんはイラっとしていた。

 ‥四朗君は、ボタンほつれさせたまま学校になんか来ねえ!

 しかも、「この武生さん」、どこから裁縫セット出してきた。持ってるのか?! 持ってないだろ!

 武生さんは、そもそも「オカン」属性じゃない。どっちかというと、俺様系だ! 

 そこんところから間違ってる!

 そうだな、このシュチュエーション、(そもそも大前提「ボタンをほつれさせてくる四朗君」から可笑しいんだけど)なら


「しんちゃん、普通、ボタン位チェックしてこない? 」

 って、相崎さんに見つかって、嫌味モードで攻撃されて、四朗君がぴくって静かに怒りモードになって、武生さんが呆れた顔で見て、

「ああ、ちょこっと直すね」

 って、直すのは‥

 田中君でしょ。どう考えても。


 突然降りだした雨に、濡れている四朗君。

「ったく、ほら」

 って、タオルを差し出して、ガシガシそっけない様子で拭き始める、ツンデレな相崎さんも存在しない。

 やっぱりここで、

「あ、はい。タオル」

 ってお世話しちゃうのは、オカン系な田中君。

「ブラックコーヒーが好きなのは、武生君。四朗君は、緑茶だよね」

 っていうの、気配りも、そう。


(~ほんわか相崎さんとツンデレ四朗君編~)

「ほら、しんちゃんは緑茶でしょ」

 ほんわかと微笑む相崎さん

「はあ?! ‥ありがとう‥」

 いつもの調子で一瞬嫌な顔をするも、周りに人がいないのを確認すると、ちょっと赤面しながら緑茶を受け取る四朗君。

 なんて、相崎さんが四朗君の好み知ってるわけが、ない。四朗君も相崎さんから緑茶なんか受け取らない。


(~ぼんやり四朗君と、ツンデレ武生さん編~)

 武生さんも、

「ん」

 って、黙って緑茶を差し出すとかしない。(反対ならあったが、佐々木さんは知る由もない)

 

 萌えは、人間観察だろ!

 

 ホントに、アンタ等四朗君のファン??


 そもそも、四朗君に「いつもしっかりしてるけど、ちょっと抜けてるところがギャップ萌え」を求めるのがおかしい。

 そんな抜けたところ、日常にちらっと見せる程、あの三人は、抜けてない。

 三人って、四朗君、相崎さん、武生さんだ。

 あの三人って、君らが思う以上に、「人間っぽくない」ぞ?

 「隙」も無いぞ?

 四朗君なんて、そもそも校内で見かけない。

 武生さんと四朗君が一緒にいるところも、そんなに見ない。(昔はよく目撃されてたけど、この頃は見ない)

 相崎さんとも然りだ。

 相崎さんがそもそも、男と一緒にいることなんて、ない。

 安定のチャラ男っぷりなんだ。

 

 ギャップ‥ていうのかは、別として、「違った面」は、学校生活を送ってる中じゃ見られないでしょう。

 イベントでしょう。修学旅行じゃ、ない? 普通。

 宿泊系イベントに参加したことない、四朗君が初めて参加する宿泊系イベント。

 どんな普段見られない顔が見れるかな?

 

 そこでしょ?


 私たちオタク系女子な「文芸部」はそもそも、そういうのを楽しむクラブなんだ。それが、「四朗君親衛隊」の会報担当に担ぎ上げられてしまい、現在に至る。


 それに触発されて、(主に腐寄りな)妄想女子が新たに加わったってわけ。

 

 でも、なんかちょっと違うんだよなあ。


 しかも、そもそも


 私は、四朗君を話しのネタにするが、別に四朗君ラブじゃないぞ? 

 ‥なんか、現実味がない。

 あんな綺麗な人の横に立つとか、無理。

 妄想でも、無理。

 相崎さんとかの横にいるのがいいのであって、そこら辺のモブは似合わない。

 でも、田中君が横にいるのは、イイんだよね。癒されるんだよね。

 

 何故って、そこに、ラブが存在しないから。


 田中君は、オカンだから。


 田中君が四朗君に向ける優しい、オカンの眼差し。そして、四朗君が時折田中君たち(残念ながら、たちだ)に見せる無防備な笑顔。

 いつもの、綺麗で完璧な笑顔じゃない、温かい柔らかい笑顔。

 息子! 息子だね!

 

 私は、田中君が好きだ。

 現実を考えて、とかじゃない。

 彼の優しさや、温かさが好きだ。


 そして、あの組み合わせが好きなんだ。


 そして、私は見てしまった。

 ちょっと四朗君を息子っぽく扱い、四朗君にちょっと苦々しい顔され、でも、とびっきりの笑顔で微笑まれている人物を。

 西遠寺 博史 

四朗君の弟だ。 

四朗君のテニスの師匠。料理上手で明るく、優しく、四朗君に激甘。

オカンだ。

絶対、彼もオカン系だ。

‥そうか、四朗君、オカン系に弱いんだ。


四朗君。気を付けて~!


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