ヤクザ勇者 異世界極道譚〜ファンタジーなき戦い〜
いい案が浮かばないと時々こんな話ができたりします。
魔王の城:入り口
一人の男がインターホンを鳴らしていた。
ピーンポーン
「すいませーん宅配便の者ですけどー」
ピーンポーン
「魔王軍宛にお届け物でーす」
ピーンポーン
「いるんでしょ?わかってんですよ?明かりが見えましたんですから?さっさと開けてくださいよー」
ピーンポーン
「………」
ピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーン
「オラさっさと出てこんかいタマ無し共がァ!!!」
男は重々しい扉を執拗に蹴り、ついには蹴破って中に入っていった。
「おう今すぐその首殺ったるさかい洗って待っとれやクソボケが」
魔王の城:玉座の間
魔王の玉座に一体の魔物が焦って駆け寄った。
「大変です魔王様!?またあの勇者が来ました!!」
「ええっまた?!先月も来たばっかだよね!?」
「なんでも今回は本当に殺る気のようです!」
全く身に覚えもなく理不尽だー!と頭をかかえる魔王。世にも恐ろしいその顔を蒼白に染めてあたふたと慌てるのその様は威厳もあったもんじゃない。
「と、とにかく向かい打って機嫌を治させよ!そして油断したところをあわよくばぶっkill!」
「そんなんだからこんな事になるのでは?」
なんとなくこんな事態になった原因を察した家臣だった。
勇者は一人だった。他の役職の人間をパーティには入れずただ単独でこの魔王の城に乗り込んできた。単身で魔王の元に挑むなんてそんな所業を人は無謀と言うだろう。
しかしこの勇者は例外だった。職業は『勇者』、それはいい。だがこの男にはもう一つの肩書きがあった。
『ヤクザ』 史上類を見ないその職業は他を圧倒する最強の肩書きであった。
魔法使い?そんな手品なんぞいらんいらん
格闘家?やりたい奴だけやってればええ
剣士?俺のチャカで蜂の巣にしたるわい
賢者?脳味噌が高く売れそうじゃ
……etc
あらゆる方面に喧嘩を売っていくそのスタイルは世界を救う勇者のように善人ではない。しかしだからと言って邪悪でもない。
背に描かれた刺青は己の背負う罪と罰、宿命を表し。顔面とは言わず身体中に刻まれた傷は己が生を語り。一睨みすれば野獣をも射殺す眼光。その佇まいを察すれば全てが道を開き付き従いたくなるような漢の背中。義に厚く忠に捧げ己を貫く。紡ぐ言葉に虚勢もハッタリもなく只々当たり前に吐き捨て何者も己の前を阻む事を許さぬ。
彼の通り名は『ヤクザ勇者』。
仲間はいらぬ、孤独で十分、付いて来るなら好きにせえ、俺は待たん。追い付きたいなら追い越す気概で来い!
ココが何処かなど興味はない。どこで在ろうと己が赴くままに生きるだけ。
「この世界に来て早三ヶ月、俺は決めたでェ!先ずは魔族領から国獲ったるわァアアアア!!!」
煌めく長ドスと火を噴く銃、血に染まる白スーツ。葉巻から立ち上る煙は揺らぐがサングラス奥に光る眼は揺るがず前を見据える。
「覚悟せえや魔王!!先ずはおどれからじゃボケエエエエエ!!」
「ギャア”ア”ア”ア”ア”」
「イ”ェ”ア”ア”ア”ア”」
群がる敵をバッタバッタと切り捨て徐々に歩を詰めるヤクザ勇者!やがて走り出し一気に玉座の間に近づきその扉を蹴破る!
「「ぎゃあああああ来ちゃったあああああ!!!?!」」
絶叫する魔王とその家臣。そんなタマ無しに、ヤクザ勇者は真正面に捉えて仁王立ちで吠える!
「勝負じゃオラァ!!掛かって来いやアアアアア!!!」
「「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」」
何もしていないのにこの仕打ちは理不尽極まりないがそんなこと言えるはずもなく只々床に頭を擦り付けるしかない魔王だった。
魔王軍陥落。
このニュースは世界に激震を走らせやがて恐れ慄く。
しかし!これとは比較にならない恐ろしい出来事がすぐに控えていた!
やがてそれは国を超え世界を巻き込む大事件となるが、しかし!ヤクザ勇者が退くことはない!
「手前のシマ荒らされて黙ってる極道は極道じゃねえ!手前の組は手前で守る!この親分の言葉を一度だって忘れた事はねえ!!さあ来いや!俺とお前、どちらが勝つか死ぬまでガチンコの殴り合いじゃあっ!!覚悟したれやゴラ”ァ”ッ”!!!」
ここは異世界、誰にも着けず誰でも着ける未知の世界。
今ここで漢と漢の世界を巻き込んだ仁義なき戦いが幕を開ける!!
「極道舐めんじゃねエエエエエエエエエエエエ!!!!!」
ヤクザ勇者、絶賛執筆の予定なし!
というわけで続きません。
自分は時々こんなふざけた話を書きたくなりますが皆さんはありますか?
ではでは。