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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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お昼休みの少女達

 飲食店ならいざ知らず、電器店はお昼時が一番いそがしい訳ではない。ただ昼休み中のサラリーマンが冷やかしに来る場合もある。そのためブースに人が途切れることは無い。そのためどこのブースも少しずつ時間をずらし販売員たちは食事をしている。


 この業界ではガイノイドスーツのなかに閉じ込められた女性のことを機械娘と俗に言うが、この状態でも”中の人”も食事は取らないといけない。さきほど負けてしまったアルテミス・テクノロジーの機ぐるみは頭部が外れる構造になっているようだが、サイバーテックの機ぐるみはリアルさを追求するあまり、一度装着すると特別な器具が無ければ脱ぐことが出来ない設計になっていた。無論、なんらかの緊急時には脱ぐことが出来るようにはなっているが、それは機ぐるみの破壊を意味するので、方法については技士しか知らなかった。


 美咲が着用しているエリカの場合、破壊コードは野間が管理しているが彼は今、愛媛県の山奥の村に向かっている頃で不在だった。そのため、ここで美咲にトラブルが起きても脱ぐことはできなかった。そのため美咲は野間が戻ってくるまで女子大生の姿には戻ることは出来なかった。


 見物客が途絶えたので美咲は美由紀と一緒に昼ご飯を食べることになった。もっとも美咲の口にはマウスピースを嵌められ、顎も固定されているので普通の食事は取れず、機械娘用の流動食をストローに流し込むほか無かった。美咲はエリカの唇部分にあるハッチを開け、特性のストローで流動食を飲み込んでいた。わびしい食事だなと思って美由紀を見ると彼女も同じものを飲んでいた。


 「美咲先輩が機械娘になっているので、そのような物しか食べれないのに、私だけ普段の食事をするわけにはいかないじゃないの。だから付き合うわ」といっていた。美由紀は残念に思うのは僅かな誕生日のズレで機械娘になれなかったことよりも美咲と同級生になれなかった事だった。美由紀には実の姉と兄がいるが、いずれも歳が離れているし兄弟というよりも保護者のような関係で甘えることは出来なかった。


 それに対し美咲とは気が会うし実の姉以上に仲が良かったから、ずっと一緒にいたいと思うぐらいなのに、学年が違うので同じクラスになる事もないし、今は学校も違う。無論、美咲が落第して美由紀が進学できれば一緒の学年になれるが、優等生で奨学金を貰っている美咲が落第することはありえないので、この先も一緒になることといえば、仕事ぐらいかなと考えていた。その点、今は同じ職場にいるのだから嬉しかった。


 美咲はエリカのモニターに写る美由紀を見て変わった事を想像していた。もし誕生日が美由紀と逆だったら今どうなっていただろうと。たぶん機ぐるみ萌えの美由紀ははりきってエリカの”内臓”になって暴走気味で活動し、自分は振り回されていることだろう。それを見た美由紀の姉が激怒してヒステリーを起こしていることだろうと思っていた。


 それとも、学年が一緒だったら二人で機械娘になっていて、今頃美由紀は高校の夏の制服姿ではなく同じ機ぐるみ姿だったのかなと想像していた。でも、よく考えると来年もしかすると同じ機ぐるみに入るバイトをやっているのかも知れないと想像すると楽しくなってきた。しかし美由紀はじゃじゃ馬みたいでも一応大企業の社長令嬢であり無理じゃないかなとも思っていた。


 美由紀はストローで流動食を吸う美咲を見て、来年こそ美咲先輩と一緒に機ぐるみのバイトをしたいと考えていた。この時は美咲先輩が赤色で、私はお気に入りの黄色で、誰かに青色の機ぐるみに入ってもらって、楽しく機械娘生活をずっとしたいという望みが心に浮かんでいた。

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