なんでなのよね!
奥から聞こえてきたのはピンクジラフの一味の声のようだった。しかし何故か姿を現さない。
「我々の内部捜査センサーでも生身の人間が入っているなんて分からないとは! それって、軍事用の機ぐるみじゃないかしらね? それに機ぐるみタイプが機械よりも強いって事は、どういう事よ! そんなのオーパーツだわ! オーバーテクノロジーだわ! もしかしてエイリアンのテクノロジー!」
そのオーバーな表現に美咲は呆れていたが、この際こう言おうと思った。今着ているガイノイド・エリカのスーツを脱がしてください! と。すると奥からナデシコ以外の二人が喜んで出てきた。その姿を見て美咲は不安になった。ピンクジラフのメンバーの顔を見て大丈夫なんかと。
「だいじょうぶしょ、心配しないでしょ! あたしたちのポリシーを知っているでしょ? モノを奪っても命は奪わない、時を盗んでも人生は奪わない、富める者から奪っても貧乏人から奪わないと。だからあなたは大丈夫しょ! いい?」
そんなことを言うナデシコの顔はよく見ると同じぐらいの年齢なのに驚いた。もしかすると天才少女? でも使い道は完全に誤っている! すると奥から出てきた女がこんなことをいった。
「サイバーテックの創業者って元モデラーヲタクだったけど、戦争というモノをものすごく憎んでいるって聞いたことがあるわ。だからアメリカ国防総省からの戦術パワードスーツ開発の打診を断ったと。でも、なんでサイバーテックの製品なのに、秘匿機能があるのよ。あなた知らない?」
言われてみれば、美由紀のお父さんは災害派遣用なんかのスーツを自衛隊に販売しても戦闘用は絶対に納入しないと聞いたことがあった。たしかにそれはおかしな点だった。すると部下の誰かが無断で開発したことになる。でも、誰が?
「知らないわよ。もしかすると誰かがなんかの目的で使うために用意したものが紛れてきたのかもしれないわ。なんだって新品だったからこのスーツは! でも、内部バッテリーが上がりそうだから脱がしてくれるか、どうにかしてくれませんか? 暑くて仕方ないのよ!」
美咲の言葉にナデシコ以下三人のピンクジラフのメンバーがよってかかってガイノイド・エリカから美咲を出そうとしたけど出来なかった。それで仕方なく背中のソケットに充電プラグを急いで入れるとともに、スーツの統括プログラムにハッキングのためのケーブルを差し込んだ。彼女らは美咲が着ている機ぐるみの謎を解こうとしていた。




