目覚めた美咲
「うーん、ここはどこだろう? ものすごく汗をかいているわ。喉が渇いてしかたないわ。それにしてもここはそこだったかしら」
美咲は目を覚ましたが、ここはどこだろうかと考えていた。そうだ! さっきピンクジラフ一味に誘拐された事を思い出した。ガイノイドとしてだ! わたしはガイノイドの機ぐるみの中にいたんだ!
その事を思い出したが、ガイノイド・エリカの機能が停止しているので、美咲はその中に閉じ込められているのと同じだった。僅かに残る生命維持用の補助バッテリーに切り替わっているので呼吸は可能だったが、大幅に機能が低下しているのは間違いなかった。
「とりあえず、どうしようかしら? どうやらピンクジラフのアジトに向かっているようだけど、私ってどうなるかしら? いくら人を殺した事はないといっても・・・」と思ったところで気付いた。いま。私はエリカの外骨格に覆われているのだと!
「しかたないわよね、私は機械じゃなくて人間の女の子と主張しなければいけないわよね。下手すれば私ってスクラップになりかねないわよね。生きている生身の女の子なのに。そうしたら殺されるわね」
そう思っていると、あのアンドロイド集団の使い手ナデシコの声が聞こえてきた。どうやらアジトに到着したようだ。その声はやはり美咲が恐れていた事を言っていた。
「本当にいやな奴しょ! おいさっきのワインレッドのサイバーテック社製エリカをもってこいしょ! これから解体して性能を調べるしょ! 」
その声に対し、大人しくバラバラにされるぐらいならと、一か八か言ってみる事にした。
「ナデシコさんですね! わたしはガイノイドじゃありません! 機ぐるみを着ただけのタダの女子大生です! 」
美咲は残り少ないバッテリーに蓄えられたエネルギーを使い立ち上がった。
「どういうことしょ? 生身の人間が私が作ったアンドロイドちゃんたちを壊したというわけなのしょ? いくら壊されたくないからといっても、変な事をいわんでちょうだいしょ! 」
ナデシコがいうとおり、ガイノイドでも最低限の自我があるので、それぐらいのデマカセをいったとしてもおかしくはなかった。美咲はどうすれば自分が女の子と証明出来るかと考えた末、昨日、薫がやってくれた事を思い出した。
美咲は頭部にあるエジェクトシステムの操作口にそこらへんにあった細い棒で操作した。するとヘルメットが外れ、中から汗まみれになった美咲の顔が露出した。これにはナデシコも驚いていた。
「あれまあ、あなたって人間だったんですかしょ? あんなことができるだなんて軍事用パワードスーツだって無理っしょ! いったい、あなたの機ぐるみってなんなんでしょ? 」
この時、美咲も気付いていた。ただの家庭用ガイノイドの機ぐるみのはずなのに、なんで治安部隊のパワードスーツですら歯が立たなかったピンクジラフのアンドロイド軍団に対抗できたのかという事を!
「わ、わたしも判らないわよ。昨日バイト先で着せてもらったばっかりだから。でも、本当に強かったわね、この機ぐるみは。でも本当にごめんなさい! あなたのアンドロイドを壊しちゃってしまって! 」
ナデシコはボーゼンとしていたが、奥から別の女の声が聞こえてきた。どうやらアレが噂のピンクジラフのメンバーのもののようだった。




