早く美咲を探さないと
ようやく泣き止んだ美由紀から江藤社長は美咲の事を聞いていた。昨日の機ぐるみだと思って着用したパワードスーツの様子などを。そして美咲がどんな顔をしていたかということも。
美由紀は主がいなくなったかばんにあった学生証を江藤社長に見せた。そこには「帝都工科大学機械工学部機械設計科 津田美咲 2020年3月31日生まれ」と書かれていた。その顔写真はどこかの女優を思わせるような美人だった。その顔に心を奪われたのか「美由紀、この美咲さんの他の画像はないのかな」といった。
すると美由紀はスマホから画像を呼び出していた。そこには友人に撮ってもらった美咲と美由紀の水着姿があった。「美由紀、お前まだ高校生だろう! いくらなんでもこの水着露出が多いし派手すぎだろう」と怒り出した。この画像の美由紀の水着はたしかに背伸びしすぎた高校生だといわれてもしかたがないような水着だった。
怒ったところで江藤社長は、父じゃなく社長の立場に戻って隣にいる美咲を拡大してみていた。美咲は競泳水着のような比較的地味なものを着ていたが、綺麗な顔にふさわしいスレンダーな体つきだった。そのため「美咲さんて、下手な女優よりも綺麗じゃないか! よかったら今度わが社のイメージ女優として起用したいよ」と鼻の下を伸ばしていた。
美由紀も、美咲と一緒に原宿に遊びに行ったときに美咲だけが一日にメジャーな事務所からAVメーカーまで七回もスカウトされたという話をしていた。そういったやり取りをしていたので、聖美、野村、三村の三人はこの非常時なのにと、あきれていた。もっとも親子二人が現実逃避したいという感情からだったかもしれないが。
これではいけないと思い直して、江藤社長は次の対策を採らないといけないと思った。そこに先ほどピンク・ジラフの対策本部にいた前田警部がやっていた。「警視庁の前田祐三です。このたびはお嬢さんとブースの被害、お見舞い申し上げます」といってきた。被害状況の確認だった。
江藤社長は被害については売り場責任者の薫が重傷のため入院中なので、詳細はわからないといったが、これよりも問題があるといった。そう美咲のことだ。
「実は、わが社の販売促進用のガイノイドですが、ごく一部に機ぐるみ、すなわちパワードスーツになっているものがありまして、そのひとつを大学生の津田美咲さんが着用していました。理由はわかりませんがピンク・ジラフが彼女を連れ去ったのです。ここにいる娘やうちの社員が確認しています。是非、早く彼女を保護してください」といった。
そのため前田警部は、画像のデータを本部に転送しピンク・ジラフが誘拐したことを伝えた。すると前田は「きちんと彼女のことを手配しました。ただ、前例から言ってピンク・ジラフが身代金を要求する可能性もありますので、報道機関に対し協定を締結しました。そのため今回の連れ去り事件が公表されるのは96時間後です。それまでに解決したいものですが。まあ、彼女らは人を殺めた事はありませんのでたぶん無事に戻ってくると思います」といって次の現場に行った。
江藤社長は、美咲のご両親にお詫びと娘さんの保護に全力を尽くしますと連絡した上で、「こちらも彼女の行き先を探そう! それに薫に大きない傷を残した奴らにギャフンといわせるぞ! 」といって、本社に戻ろうとした矢先。自衛隊の制服を着た一団が入ってきた。一同の傍に近寄ってきて一人の女性自衛官が近寄ってきた。
「本官は防衛省防衛情報局の大竹紘子です。サイバーテックの江藤英樹社長ですね。あなたを特定国家機密保護法違反で身柄を拘束します」といった。江藤社長は一体何のことか判らなかった。そもそも自衛官がこの容疑で民間人を拘束するなど聞いたことは無かった。その場から江藤社長は連れさらわれてしまった。そう美咲のように。




