夢のなかで美咲は
美咲は夢の中にいた。夢を見ているとき起きている時の事は思い出せないものである。それで美咲は本当のガイノイドかサイボーグなっているような気持ちだった。
美咲は夢の中ではエリカと呼ばれていた。エリカはアニメ”ガーディアン・レディ”のキャラクターだ。エリカは事故で死亡したが、残存した神経組織や脳組織などを使い正義の為に闘う機械化少女として蘇生したという設定だった。普段は人間だった時の姿であるが、ひとたび事件や事故が起きれば本来の機械化少女に”変身”する設定だった。
夢の中で美咲は機械娘エリカの姿であった。家庭用ガイノイドのときとは違い左腕にはサブマシンガン、背中には飛行ユニット、そして頭部は強化された電子頭脳が備わっていた。家庭用のエリカは実用的な機能しかなかったが、やはりアニメではストーリー展開を優先するので話が破綻しない程度にギミックがくわえられていた。
美咲はその時対峙していたのは、国際的窃盗団”ピンク・ジラフ”だ。昨夜薫がアンドロイドの評判が落ちてしまうと嘆いていた犯罪者だ。彼らの正体は不明なはずだが、夢の中では三人の美女が首領だった。
「ピンク・ジラフ、いつも色んなものを盗んでどれくらい社会に迷惑をかけているのよ! そろそろ年貢を納めてもらうわ! 」と美咲ことエリカは叫んでいた。「あーら、私は農民じゃないわよ。誰にも私たちは捕まえることは出来ないわ。今日のところはあなた自身を盗んであげるわ。なんたってあなたの装備は魅力的な技術の結晶だからね。あなたを盗んで私達のアンドロイド達の見本としたいわ」と首領の一人、派手なピンクのチャイナ服を着た曹玲華が言い返していた。
「だまれ! 私は物じゃないエリカだ! 私を盗むなんていうな! 」と叫んだが、玲華は「あなたって仁木恵理花という女の子の死体を使って作られた機械化少女じゃないの? だからあなたは恵理花の記憶を持った機械でしかないわよ。だからあなたをさらっても人じゃない機械を盗んだ事にしかならないわよ。だからそっちこそ大人しく私たちに盗まれなさい」といって配下のアンドロイド集団が襲い掛かってきた。
本来ならピンク・ジラフのアンドロイド軍団などエリカの敵ではないが、相手が多すぎたのであっという間に敵の手に落ちてしまった。
「ほら、いったじゃない。あなたは所詮私らのマリオネットになる運命なのさ。これからアジトに持ち帰ってあなたを分解して調べてあげる。おっと、後で組みなおして私らの仕事の手伝いを壊れるまでやってもらうわ」
といわれたところで美咲は目を覚ましてしまった。美咲が目を覚ますとエリカのモニターも立ち上がるが、そのしたの時刻表記は午前5時32分だった。予定よりも早く目が覚めてしまったので二度寝することにした。
「さっきのは変な夢だったわ。だいたいピンク・ジラフなんて何者なの? 私には一生関係ないだろうと思うけど」と思いながら自分の手を見つめていた。
今は夏なので自宅で寝るときはTシャツにホットパンツ姿といった軽装で夏の暑さで寝苦しいところだが、今は機ぐるみの中で過ごしており、強力な体温調整機能で快適に過ごしていた。
美咲の手は炭素繊維と軽量特殊合金に覆われていた。美咲の肌は白く同性からは美しいと褒められるが今はそれは外骨格の下に隠されている。また全身も同じように柔らかい肌に代わり難い外骨格が覆っており、他の誰もが見てもロボットないしガイノイドにしか認識することはない状態であった。
二度寝した美咲であるが、この直前に見た夢に似た事がこれから起こる事を示唆するものであった事が、その日わかる事になる。




