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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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機ぐるみを長く着ていると大変なのよ

 薫はその時の事の話を続けた。「私はね、ガイノイドに興味はあったのだけど親の会社を継ぐことに抵抗感があったわけ。それで大学卒業後に短期の語学留学して翻訳家になろうとしたのだけど、弟が出奔してしまったので、実家に呼び戻されてしまったの」といった。それで薫が英語と中国語を自動翻訳機なしに流暢に話せる訳が判った。


 「それで、開発部門に配属されたのだけど、ある時新型ガイノイドの機ぐるみを開発することになったのだけど、父はついでに長期着用タイプのパワードスーツについても開発しなさいという指示があったの。それで私が被験者に選ばれたのだけど、三ヶ月も機ぐるみを着用する破目になったのよ。しかも当時私は社長の娘であることは内緒だったので、同僚にパワハラまがいの扱いを受けたのよ。当時、新人社員で仕事のイロハがわからなかったこともあるけど、機械の姿になるとガイノイドと同じように思われて何かと仕事を押し付けられてしまったのよ。それで今でも機ぐるみを着ている女性が酷い目に遭うと、手を差し伸べてしまいたくなるわけなど」といった。だから美咲が昼間にセクハラを受けた時に涙を拭ってあげた理由なのかと思った。


 その後、美咲と聖美は機ぐるみについての悩みを薫に聞いてもらっていたが、時刻が日付が変わってしまったので薫は「今日はお休みしましょう。明日も頑張ってね」と消灯した。薫は最後に三ヶ月も機ぐるみを着た後の話をした。「あの後が大変だったわ。なんたって三ヶ月も入浴できなかったからインナースーツを脱いだ後ものすごい体臭でね、自分でも信じられないぐらいだったわ。しかたないので垢すりをガイノイドにやってもらったけど大量の垢が出てね気持ち悪かったよ。でも、あの時の解放感といったら生まれ変わったように感じたわ。今は三ヶ月も着用することは無いけど、私はそれ以来機ぐるみを仕事で着ても二日以上は着れなくなっているわ」といって眠りに落ちた。


 美咲はエリカの機ぐるみの中で思い出していた。高校時代に”ガイノイド研究同好会”の同級生がネットでガイノイドの事を調べている時に偶然機ぐるみの事を知った時のことを。そのサイトは所謂フェチ愛好家のもので、二十世紀末に一時流行したサイバーパンク文化を標榜したもので、人体を機械化することを目的にしたものだった。


 ただ機械化するといっても、身体をやもうを得ない理由以外にむやみに機械化することは法律で禁じられているので、概観だけを機械にするコスプレの一種であった。いわばアニメキャラクターの着ぐるみをロボットの機ぐるみに置き換わったものであった。


 そのサイトを見つけた同級生の環菜(かんな)によれば、男性は機ぐるみ着用の体験料が一万円なのに女性は三千円で経験できるということだった。そのため美由紀をはじめ一同喜んだが、対象者が18歳以上で高校を卒業していることであったので、残念ながら出来なかった。これは機械化強化服規制取締法で規定されており、未成年者が成人の振りをしてよからぬ事をしないことを目的としていた。


 そのため同じ18歳なのに美咲はよくて美由紀は駄目という不合理なこともあるが、高校生が機ぐるみもしくはパワードスーツを着て仕事をしないようにした法律なので仕方ないことだった。


 なお、環菜は高校卒業後に件のサイト主催者と連絡を取り念願の機ぐるみを着ることができたが、過度に女性らしさを強調したセクシーな機ぐるみで”芸術写真”をたくさん撮られたということだった。どっちかといえばコスプレ衣装に近いものだったが、身体と機械との密着感と拘束感がたまらなかったという。その事を思い浮かべながら美咲は眠りに落ちていった。

 

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