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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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美咲さん聖美さん今日のお宿はここよ

 機ぐるみ姿の美咲はそのままでは帰れなかった。最近のように家庭用ガイノイドが一部で普及しているので、食事の支度の為に買出しに行ったり、お年寄りを介助しながら歩くガイノイドやアンドロイドの姿を町で見かける事は少なくないが、”商品見本”のガイノイドが外を歩いて傷でも付けられたら問題である。しかも行過ぎたロボット・アウトソーシングに反対する一部の過激な失業者支援団体による打ちこわしの被害に遭う危険もあった。


 そこでサイバーテックでは、事情により機ぐるみ姿で一夜を過ごさなければならない場合、宿舎を用意する規定になっていた。そのため美咲は外泊することになる。午後3時に美咲は母に連絡し「お母さん、バイト先の研修であさってまで泊まることになったの。だから家に帰れないので悪いけど食事はいらないわ」と話した。ただ、その時エリカのフェイスマスクを外すのを忘れていたので声が”エリカの”ものだったのでまずいことになった。


 「あんたねえ、なんでアニメ声のような声になっているのよ。まさかあんたはうちの美咲を語る詐欺師なのかい? 」と疑われた。美咲はしまった! と思ったので「そうそう、ナーゴとミーコの餌だけどいつもの場所にあるのは切れるかも知れないので、無くなったら悪いけど私の代わりにいつものキャット・フレンズ印の袋を買ってきてもらえないかな? 」と飼いネコの名前を言った。すると美咲の母はなんとなく納得してくれた。


 薫は美咲を地下にあるサイバーテックの地下ブースに案内していた。ここには今朝美咲や聖美を機ぐるみの中に閉じ込めるために使った装着装置や、予備部品の倉庫などになっていた。その一角に「女子用機械宿泊所」という札がかかった部屋があった。ここは畳四畳半ほどの狭い部屋で、普通に布団も置かれていたが、不思議な二段ベットがあった。そのベットが機ぐるみを着た女性が就寝する器具だった。


 実は地下ブースには「男性用機械宿泊所」もあるが、現在アンドロイドの機ぐるみに入っている男はいないので使われていなかった。本当は美由紀のボーイフレンドの松山が機ぐるみに入る予定だったが、予定していた新製品の発表が来週に延期になったので、取り合えず来週に延期になったので本社の搬送のバイトを代わりにしてもらっていた。


 この「ジャイアント・カメラ」におけるサイバーテックのアンドロイドとガイノイドの売り上げは惨憺たる結果だった。そもそもサイバーテックの製品を買いたいのなら都内各所の豪華なショールームに行く者が大半だった。そのショールームも機ぐるみを使っているが、一般社員が交代で入ったり専門の契約社員が装着している。こちらのようにバイトをちょこちょこ使うことはなかった。


 このような現場に薫が派遣されたのも難しい部署で苦労して来いという社長である父親の意向だった。もっとも薫は将来的には役員になることが決定事項であり、場合によっては有能な社員を婿養子にして彼女も経営者になる可能性もあった。


 それはさておき、今日の予定は薫もこの地下宿泊所に美咲と聖美と一緒に泊まるのだという。薫と美咲よりも遅れて聖美が入ってきた。聖美は機ぐるみに初めて入って散々な目に遭ったと思っていたが、同じような機ぐるみを着た女の子と、売り場責任者と一緒に寝ることを驚いていた。美咲はともかく薫は社長令嬢である。自分と社会的立ち位置が違いすぎるので意外だった。この後、就寝までの時間だったが三人で機械娘の女子会が行なわれた。

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