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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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本日機ぐるみをご購入くださいましてありがとうございます

 エリカの機ぐるみが欲しいという客は所謂”機ぐるみフェチなオタク”の男性だった。自分がエリカの機ぐるみを着たいので購入したいというのだ。彼の職業は「賃貸物件管理業」で不動産を賃貸するだけで相当の収入を得ているらしく、現金で支払いたいというのだ。


 彼との具体的な話はエリカの制御機能が勧めているので、美咲は第三者のように他人事だった。そういえばボーイフレンドの正樹の話では、美少女キャラクターの着ぐるみ、マニアでは”2.5次元”と呼ばれる分野があり、アニメの女性キャラクターを模したマスクを着けたコスプレをするとの事だった。


 その中に、美少女キャラクターなのに”中の人”が男性という場合があるということを聞いたことがあった。その話では昔から特撮作品のスーツアクターの中に小柄の男優がいて、女性キャラクターを演じることもあったが、その女性キャラクターが好きなあまり一体化したくて女性キャラクターを演じるコスプレーヤーがいるということだった。


 エリカの外観もサイバーテックのスタッフが技術考察に参加したアニメ作品のそれと類似したものになっており、”場合によっては”機ぐるみの製作を受注できるという事になっていた。そのため、この男性は話を聞いて来たようだ。しかも人間のスタッフに話を聞かれるのが嫌なのでわざわざガイノイドだけになる遅い時間に来たということだった。


 エリカの制御装置は「本契約についてはメールでもファックスでも出来ますので、こちらの発注指示書と契約書に必要事項をご記入の上でサイバーテック機ぐるみ事業部宛に送ってください。折り返しスタッフが確認しますので、その時代金の支払い方法を決めてください。なお価格ですがお客様の場合フルオーダーメードになりますので、そのオプション費用として基本料金の一割り増しでお願いします」と言った。


 美咲が着ている機ぐるみは”サイズ165S”で概ね165センチ前後の慎重の女性でスマートな体型向きとなっており、美咲のサイズに合わせたものではなかった。無論一定サイズの服がある程度の体型の幅があっても着れる様に機ぐるみに冗長性が設計に織り込まれており機ぐるみ着用時に微調整であわせることが可能だった。ただ、不思議なことに美咲の場合は微調整なしですぐに着用することが出来たのであるが。


 この男性客の場合、女性の基本的な体型を基に設計された機ぐるみを割りと長身の上半身がしっかりした男が着れるように再設計する必要があるので、割高になってしまった。それでもなお、男性は購入の意思を示しているので応じざるを得なかった。


 「最後ですが、機械化強化服規制取締法の規定ですので次の告知をさせてください。着用目的に一切の非合法活動に用いることがない事を宣言してください。そのうえで警察署に登録をお願いします。必要な書類を作成しますので、提出をお願いします」といって、後ろのプリンターから出てきた書類の説明をした。


 美咲は機ぐるみの中で、いま私が着ているものと同じものをこの男が着ることを想像してしまい苦笑しそうになったが、自分もこの機ぐるみに入りたくてこのバイトをしているのだから、性差があるとはいえ一緒だと思った。たしかにキャラクターか機械かの相違こそあれ、自分が好きなものと一体化する喜びは一緒だから。


 男は必要な書類に署名しエリカに提出した。これで法的問題が無ければ半月後に男の自宅にエリカの機ぐるみが配送されるはずだ。ただ美咲のものと違うのは個人が着用するので、サイバーテックの販売促進用機ぐるみ装着マシーンは用意できないので、長時間かけて自力で着なければいけないけれど。


 男は満足そうな笑みを浮けべ別れ際に「これで、エリカさんのような機ぐるみを着ることが出来ます。本当は美人なあなたも頑張ってください」といって帰っていった。その言葉に美咲は彼は”中の人”がいて、内臓が本当は美人な女の子が入っていることを知っていたのかな? という疑問が浮かんでいた。


 この日、このブースで売れた唯一の商品であったが、薫は複雑な思いで裏からのぞいていた。午後十時になり業務が完全に終了した。薫は「今日はご苦労様。あさってまであなたは機ぐるみから出れないのでこれから宿泊先を案内してあげる」といって、美咲をある場所に連れて行った。

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