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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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エリカのあの部品はいったいなに?

 薫は気になっていたことがあった。さっき美咲が着ているエリカの機ぐるみのフェイスガードを外した時、外骨格の隙間から見える部品に見覚えが無かったからだ。実はエリカの機ぐるみはパワードスーツの技術を応用し外観はエリカで内部に人間が長時間着用しても大丈夫なような機能を装備したもので、薫が開発責任者をしていた。


 本来、薫は販売促進用の機ぐるみ責任者であったが、将来サイバーテックの役員候補なので、研修で販売部門に期間限定で派遣されていた。そうなったのも薫の弟で美由紀の兄の一樹が家族の反対を押し切ってミュージシャンの道を選んだからだ。もっとも今は全くの無名で時々薫の元に金の無心に来るような状態ではあるが。


 薫は自分専用のエリカの機ぐるみを所有しており、何度も装着しながら不具合を調節していた。そのためエリカの機ぐるみは隅々まで最も知り尽くしている人物といえる。なのに美咲の顔の一部を覆っていた部品に心当たりが無かった。


 可能性としては、自分が不在になっている間に機ぐるみの設計が”変更”になったのかもしれなかったが、生憎担当者が長期休暇を取っているので連絡しようが無かった。それに美咲が着ている機ぐるみは先週着た際に体温調整機能に不具合があったので、昨日新しい機ぐるみと交換になったばかりだった。


 気になった薫は、今朝美咲をエリカの機ぐるみの中に閉じ込めた野間に変わったところがなかったかを聞こうと思い連絡しようと思ったが、葬儀の最中ということに気付き後回しにしてしまった。もっともその後、特に問題があるとは思えなかったので、忘れてしまった。


 美咲を閉じ込めているエリカは、ブースの前で買い物客に家庭用ガイノイドのビラを配っていた。その”人間らしい”動きに目を奪われる者も少なくなかったが、中には”機ぐるみ”という事を知っている客もいた。その中に美由紀の同級生達がいた。


 「美由紀、あの中に美咲先輩がいるのでしょ」といいながら美由紀の同級生の真実がやってきた。それを見た美由紀はあわててブースの中に引きずり込んで「あのね”中の人”は存在しないことになっているのよ! あんたが言ったって先輩が認めるわけないでしょ! そんなに先輩に中に入っている時の話を聞きたいなら、後日サークルに聞きに行きなさいってば! 」と小声でしかりつけていた。


 真実も美由紀も、高校時代の美咲が代表をしていた”ガイノイド研究同好会”に所属しており、そのあたりの事情は知っていた。そもそも同好会を最初に作ったのは高校時代の薫であったが。ただ同好会といってもロボット開発部の中の非承認同好会であり、学校には存在することも認められてはいなかったので、予算は貰えず紙に書いただけで満足していたのである。


 そのため、ガイノイドの中に入って一体化することが出来る機ぐるみがあることを知った時の同好会メンバー女子の喜びようは大変なものであったが、価格が高校生では買えない金額でしかも高校生以下は着用禁止という現実の前には、諦めざるを得なかった。そのため機ぐるみに入った美咲は真実にとっても羨望の対象であった。


 女子高生の二人がブース裏で絡み合っている間、薫は本社にメールを出していた。納入されたエリカの機ぐるみに不審な点があるので、至急確認を請うと。

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