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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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ガイノイド売り場にいらっしゃい

 サイバーテックの商品のラインナップの中にアンドロイドとガイノイドのほかにパワードスーツがある。かつての機ぐるみが実用的目的に使えるように進化したのだ。いま美咲や聖美が着ているのも広義にはパワードスーツであるが、ガイノイドの販売促進が目的であるため、商品の外観模倣が主な目的である。


 そのため、二人は「商品見本」に徹しなければならなかった。先ほどの美咲の一件は「メカトラブル」として処理しなければならなかった。もっとも先ほどはお客が他にいなかったので大事にはいたらなかったが。


 「ジャイアント・カメラ」東京中央店にあるこのブースでは展示はしていないが「パワードスーツ」の購入も可能だった。建前上は美咲が着ている機ぐるみは常時在庫はしていないが、お取り寄せできるということになっている。


 高度にネット通販が発達した現在では、このブースのような対面販売は興味がなければまず見ないであろう、これらの商品を目に触れさすことで購買意欲を湧きたてようという宣伝媒体であった。やはり直に商品を見るほうがいいというわけだ。


 「ママ、これってヒーローショーに出ていた奴に似ているけどいったいなんなの? 」と幼い子供が、ブース前のエリカに近寄ってきた。エリカの「内臓」になっている美咲の目の前のモニターにはどの様に対応するかの指示がアップされてきた。台詞はエリカの制御コンピューターが自動で発声するので美咲は指示のようにポーズを取ることになる。


 「私はエリカ、家庭用ガイノイドです。おうちでお母さんやお父さんのお仕事のお手伝いをするロボットです。もちろんあなたのお勉強を教えることも出来ますので、よろしくお願いいたします」とお辞儀をした。すると子供は「じゃあ、僕と遊んで」といって抱っこをねだってきた。


 美咲は先ほどの男と違って小さな男の子なので簡単に受け入れてしまったが、肩車をねだったり外骨格をベタベタ触ってきた。「お姉ちゃんってロボットなのね。身体の中はどうなっているの? 」という問いには、「私の中身はみんなのお役に立つものでいっぱいです。動くためのものや考えたりお話をしたりする機械がはいっています」といって、男の子に身体を触らしていた。


 もちろん中身は美咲なのだが、今は「パワードスーツを着た女の子」ではなく「ガイノイドそのもの」ということになっているので、夢を壊さぬようようにこういうしかなかった。美咲もその事を理解しているのでいわざるを得なかった。


 男の子の反応で見て母親が薫と美由紀の説明を受けていたが、パンフレットを持って帰っていった。やはり以前よりも安くはなったとはいえ家庭用ガイノイドを即決で購入を決定できるわけはなかった。将来本当のお客様になればいいということだ。


 比較的高価なガイノイドが稼動するのは珍しいので、見物する普段はお客様も多いがこの日は少なかった。そのため薫はスマホで天気を確認すると、店の周りは酷い豪雨だったようだ。そういえばお客は傘を持ち歩いていた。 


 美咲はガイノイドをずっと演じているが、中身は人間なので疲労が溜まるし全身が機械に拘束されているので、時々ブース裏に戻っていった。いくらエリカの機ぐるみが重くてもパワー補助のおかげで重い外骨格も水着を着ているように動いたり出来るが、やっぱり全身が機械に覆われているというのは難しい。


 「ふー、エリカに変身しているのも疲れるわね。夏だというのに機械を着こんでも暑くならないのはいいわね」といって、スポーツドリンクを飲んだ。エリカの機ぐるみは着ている者の体温調整を強力に行なっているので暑さ寒さを感じさせず快適に活動できる反面、スーツが自動的に排除しているが汗はかく。そのため小まめな水分補給は必要である。


 美咲はエリカの下腹部にあるカバーを外してトイレに行き、小さいほうと汗を機ぐるみの中から出した。いくら身体が機械娘になっても中身は人間の身体のままなのでしかたがなかった。休憩がおわり美咲はエリカとしてブースの前に立ちサイバーテックのブースにいらっしゃいと言って表を歩く買い物客に声をかけていた。

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