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機ぐるみの女の子が連れさらわれてしまった  作者: ジャン・幸田
今日も一日頑張りましょう!
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美咲ガイノイドスーツを着る

 ネット上に「着ぐるみカフェにいるウェイトレスの中の人の正体を見たものは、その中の人になりかわって内臓にならないといけない」という冗談が書かれていたが、無論そんなことはない、「中の人」は存在しないからだ。


 しかし、美少女着ぐるみのなかに入りたいと思う男女は少なくないはずである。老若美醜関係なく、その可愛らしい外観に憧れるからであるだろうからだ。どんなに嫌な事があっても表情は笑顔のままで変わらないし、本当の自分を隠すのにはもってこいだからだ。もっともその願望はフェチだといわれるのが関の山ではあるが。


 そのような変身フェチのアイテムとしては仮装すなわちコスプレもあるが、着ぐるみは体型だけでなく顔さえも固定化する魔法のアイテムであるといえる。ただ費用はものすごくかかるのが欠点であるけども。


 その魔法のアイテムとしては着ぐるみと機ぐるみがある。前者は「ぬいぐるみ」などを纏って人形のような姿になることだが、後者は機械そのものの姿になることである。着ぐるみは現在でもよく見ることは出来るが、機ぐるみのほうは特撮番組では見ても現実にコスプレで行うものは多くない。やはり「機械」を纏うといっても「眼が光る」といった機能があるのを別にして、実際になにかのギミックがあって活動するわけではない。


 だいたい「着ぐるみ」としてもロボットないしアンドロイドの衣装の場合、西洋の金属甲冑のように重たいし、暑苦しいし製作するのも難しいし、金もかかるからだ。ここからは、このような機ぐるみがもし実現したらの話である。


 「美咲くん、今日も出勤ご苦労様。ガイノイドスーツだけど整備しているから大丈夫だ。しかりやってきなさい」と白髪まじりのツナギの作業服を着た男が言った。ここは、ガイノイドが案内係りをしている電気店だ。ここでは「電化製品」としてアンドロイドやガイノイドを販売しているが、その「商品」たちを稼動させてデモンストレーションをしている。しかし高価な機械を数多く稼動させると、それだけ「新古品」を増やす結果となり値切って販売しないといけなくなる。そこで内緒であるが一部の商品については、外装だけは立派なガイノイドであるが、中に人間が入る「機ぐるみ」に置き換わっていた。


 美咲は「中の人」として雇われたアルバイトの一人で、バーゲンセールの商品見本として機ぐるみの内臓になっていた。彼女は普段は工学部でロボット製造を学んでいたが、自分もロボットの振りが出来ることを面白がってやっていた。


 彼女が演じるのは「家庭用メイド対応ガイノイド、エリカG2024」であった。このタイプは人間のような外装を持つものではなく、メタリックな機械的外装を持った機種だった。これになったのも、たまたま彼女の身長が適合したからだ。


 出勤してからガイノイドに「変身」するため着替える事になったが、この時のシフトは着用してから三日間ガイノイドになるというものだった。このような長期着用になったのは、出勤時に話をしていた技術者の野間が、家族の不幸のため四国の実家に戻らなくてはならなかったが、生憎かわりの技術者がいなかったからだ。


 「すまんね美咲くん。ワシのわがままでごめんね。他に着装を担当できるものがいないのですまんね。なにぶん、この装置を扱えるのは日本では極僅かだから。取り合えず辛抱してね」といった。「しかたないですよ。この場合。私は一生そのままでもいいぐらい、この機ぐるみに入って痛いぐらいですから」とまんざら彼女もイヤじゃないといいたかったようだ。


 彼が扱う装置は人間を素体にしてガイノイドの中に閉じ込めるもので、その取り扱いは極秘だった。もっとも、一部には知られた存在であり、機械フェチな希望者に対して使うこともあり、なかには男性なのにガイノイドになりたいという希望を叶えたこともあった。


 美咲は生まれたままの姿になったが、いくら担当とはいえ男にこの姿を見られるのはいやだった。だから医者だと思って諦めていた。彼女はまずインナーとなる特殊なスーツを着用した。このスーツは機ぐるみにはいった人間が暑さで苦しまないようにするため、体外に余分な熱や汗などを排出させる機能があり、処理能力が追いついている限りは「苦しい、だるい」といった気にはさせない機能があった。いわば機械の体にはいっても全身タイツを着ているぐらいの感覚にさせる働きがあった。


 ついでインナーの上から下腹部に二つの管がついた金属製のブルマのようなものを装着した。これはガイノイドになっていても排泄行為をする必要があるので、ガイノイドの外部に排泄できるようにするものだった。これがあるおかげでトイレに行けるが、普段は外骨格に隠れているので人間が入っていることは誰にも気づかないようになっていた。


 「いつものことだけど、このバイトを紹介してくれた正樹なんて、私に今度は”セクサロイド”になれなんていうけど、こういった自律的な行動ができるものがいいよね。でも腰にこの装置を付ける時はいつも感じてしまうね」といっていた。腰に装着したブルマのようなものから伸びていた管が自動的に体内に伸びていって、肛門と秘所に完全に密着してしまった瞬間であった。美咲の身体が機械の外装を受け入れる準備が完了した。


 「美咲くん、きちんとインナーを着てくれたね。それじゃこの装置に入ってちょうだい。エリカになってちょうだい」と言いながら美咲を閉じ込めてしまった。その内部にはガイノイド・エリカの外骨格があらかじめ入れられていた。


 この装置は、外骨格型のアンドロイドやガイノイドのパーツを人間に装着させる機能があるが、それらは実際に販売する商品のものが使っているため、中から出る時は表面上は「商品」になってしまう。この装置の利点といえば、やはり様々な商品となる機械を再現できることだ。そのため外装のスペアパーツの一番の活用法であるといえた。


 美咲は「これからエリカになるのだね。前にやったコンパニオンタイプよりもこっちの方が頭部がカッコいいし、やっぱり機械になるならこっちの方が好きだね」と思いながら装置が稼動するのを待っていた。野間は「いい、美咲くん。これから機械娘にするね。しばらく生身の君とお別れだね」と話していた。美咲は機ぐるみに入っても美しいボディラインであったが、その素顔も美人でグラビアアイドルにしても遜色のないほどであった。そのため機械に覆うのがもったいないと思う野間だった。そう、美咲は機械娘に改造されるのであった。

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