招かれざる客3 ネルソン・アクラヴェイン
朽ちた城壁の中では、死してなお城を守ろうとする兵隊達が歩き回っていた。
その強さは、城門の外にいたモンスター達とは比較にならない。
鋭い剣戟を、シンタは何度も受け損ね、体のあちこちに傷を負う。
厄介なのは、兵隊にも様々な種類がいるということだ。剣や斧を持った兵だけでなく、弓兵、槍兵、魔法兵など、中距離や長距離からの攻撃を行なう敵が混じり、シンタは何度も満身創痍になった。
しかし、そのたび、ヤツハが遠距離攻撃主体の敵を燃やし、スイがシンタを回復した。
「スリルあるね」
リューイが矢を忙しげに放ちながら言う。彼は、敵の足を射抜いては移動速度を低下させ、魔法兵を見つけては矢を連射して魔法の詠唱を邪魔をしと、妨害に徹している。
「面白いね」
スイが笑う。
「私の魔術の詠唱が早かったらなあ」
悔しげにレルが言う。その詠唱が終わり、炎の竜巻が周囲の亡者達を蹴散らしていく。
その竜巻の規模は、ピラミッドに行った時に比べれば、格段に大きくなっているのだ。
「最初は仕方ないよ。威力と範囲を伸ばせば、詠唱の短いスキルでも敵を倒せるようになるから」
ヤツハが慰めるように言う。
しかし、休んでいる暇はない。敵は、侵入者を許すまいと、次から次へとやって来る。新たに三人の剣兵が、シンタ達を目指して歩み寄ってきた。
「あそこで休もっか」
ヤツハがそう言ってある方向を指差した。
振るわれる刃を剣で受け止め、盾で相手の体を弾き飛ばし、シンタはその方向に視線を向ける。
その先にあったのは、苔に覆われた塔だ。
物見台も兼ねているのだろうその塔は、一階部分に入り口がなく、梯子を上った先にある二階部分に扉がある。
「賛成」
「俺も」
「異議なし」
「じゃあ、魔法、行きます」
レルが魔法の詠唱を開始する。
そして、炎の竜巻が発生すると、五人は梯子へと駆け上った。
ヤツハが魔法を唱えると、土が盛り上がり、柱となって梯子に蓋をした。
他の四人はそれを見て、安堵の息を吐いた。
「なんか凄いね、ここ。いつかはここで、狩れるようになるのかな」
興奮した調子でレルが言う。
「今は、相手のスピードに殲滅力で負けてるね。僕やシンタが敵をある程度倒せるようになれば、難易度は下がると思う」
冷静に判断するのは、リューイだ。
「レベル七十ぐらいからは、ここが美味しいよ」
ヤツハが、ビギナー達に優しく微笑んだ。
「相手が落とす武器や鎧は、結構高額で売れるから、ここに通って皆でレベルを上げたら、百レベルは間近だよ」
各々、強くなった自分をイメージしたのだろうか。沈黙が流れた。
シンタもそれは同じだった。亡者達の鋭い刃を跳ね返し、相手を切り伏せる自分をイメージすると、それだけでやる気がみなぎってきた。
「ヤツハさん、凄い慣れてますね」
同じ魔術師だからだろうか。レルが憧れるように言う。
「私なんて、まだまだ。そう、ただの魔法少女です」
その一言に、シンタは嫌な予感を覚えた。しかし、その時には既に手遅れだった。
ヤツハが杖を振り上げる。
そして、詠唱キャンセルを小まめに繰り返し、杖の先端で光の輪を形作る。
「魔法ー少女ー」
右腿を高々と上げ、ヤツハはポーズを作った。
「ヤツハちゃんってね」
一瞬、気の抜けた沈黙が周囲に流れる。
「凄い、それどうやるんですか?」
「すげえすげえ」
スイとリューイは大笑いし、レルは目を輝かせる。
ヤツハに対して、熟練の冒険者のイメージが形作られつつあったのに、それが台無しである。
これがなければ格好良かったのにな、とシンタは苦笑するしかない。
休憩が終わると、四人は城の中へと歩みを進めた。
鎧を身にまとう亡者が増え、彼らの剣筋は、他のダンジョンのモンスターはなんだったのかと思えるほどに鋭い。
ヤツハが敵の数を小まめに減らしてくれているとはいえ、一人を相手にするのも厳しいのだ。シンタは彼らに囲まれ、何度も致命傷を負った。
しかし、シンタが倒れるまでには、レルの魔法が発動するので、辛うじて全滅を避けている状態だった。
レルの放つ炎は強力だった。亡者達との相性も良いらしく、次々と敵を火葬していく。
それでも、魔力が尽きてきたのか、敵を討ちもらす姿が目立ち始めた。
リューイが的確に、その止めを刺していく。
「そろそろ、矢が残り少ない」
リューイが言う。
「退き時だな」
スイが言う。
「楽しかった」
レルが、興奮した調子で言う。彼女の声を聞くと、シンタは疲労が和らぐのを感じた。
五人は、城の入り口へ向かって戻り始めた。
そして、それと遭遇した。
それは、他の兵士が子供に見えるほどに、身の丈の大きな兵士だった。鼻あてのある兜をかぶっているので、顔の上半分は見えない。口元は腐っていて、唇がない。身を包む鎧と手に持つ盾は、この朽ちた城と不調和なほどに綺麗な銀色だ。盾には、失われた国の紋章がある。
手に持った剣は、刀身が長方形をしており、中華包丁のようにも見えた。ただし、サイズは中華包丁の五倍はあるだろうが。
彼はその剣で、調理をするように人の首を叩き落すのだろう。
彼の巨体が、入り口を隠していた。
その濁った瞳が、シンタ達を見据えた。その口から、怨嗟の篭った唸り声が放たれた。
柱が揺れ、砂埃が地面へと落ちる。
それは、主を守れなかったことを悔やむ声か。はたまた、このような姿に堕ちた自身を悔いる嘆きの声か。
明らかに、今までとは別格の敵だった。
「ボスだ」
スイが、怯むように言う。
「ボスの、ネルソン・アクラヴェインだ……」
「退こう」
リューイの判断は素早かった。しかし、背後からは五人の兵隊が追いかけてきている。
前からは、ネルソンが腐った巨体を動かして、ゆっくりと近付いてきている。
前にはボス、後ろには高レベルモンスター、シンタ達は行き場を失っていた。
シンタも、リューイも、スイも、レルも、脳裏に全滅の二文字を思い浮かべただろう。
絶望に染まった心を照らすように、炎が浮かび上がった。
それは、壁の形を成し、床を舐めるように走り、五人の兵士達を消滅させた。
今まで、シンタが見たこともない魔法だった。
「下がって」
張り詰めた口調でヤツハが言う。亡者達を消滅させたのは、彼女なのだろう。
しかし、退くわけにはいかない。シンタは前衛だ。ヤツハも、リューイ達も、シンタが守るのだ。
ネルソンの剣が振り下ろされる。それを、シンタはロングソードで受け止める。次の瞬間、ロングソードは真っ二つに折れ、シンタは肩から胸までを切り下ろされていた。
シンタが倒れ、レルの悲鳴が上がる。即死だった。
「まったく」
ヤツハが、呆れたように言う。
「退くのも勇気だよ、シンタくん」
その瞬間、風の槍が、ネルソンの腹部に突き刺さった。
ネルソンは、一歩を退く。
そこに、さらに四本の風の槍が突き刺さる。
ネルソンはたまらず、後退して行く。
ヤツハは、今度は空中を指で切った。
その指に指揮されるかのように、地面から土の柱が何本も生えて、ネルソンの太い両手、両足を挟んだ。
「シンタくんを蘇生してあげて。その後は、背後を任せて良い?」
ヤツハが淡々と言う。それは、自分がボスを受け持つという宣言に他ならない。
しかし、迷っている暇はない。
「わかりました」
リューイが言い、スイが蘇生法術の詠唱を開始する。
ヤツハは、笑顔で頷いた。
ネルソンの動きを拘束していた土の柱が、砕けた。
ネルソンは緩慢な動きで前進して、ヤツハの小さな体躯に、巨大な刃を振り下ろす。
その瞬間、ヤツハの詠唱が終わり、風の槍がネルソンを突き飛ばす。
再び土の柱がその体を絡めとり、動きを拘束する。
そして、ヤツハの目前に、天井まで届くような光の壁が五枚現れた。
土の柱が砕かれる。そして、ネルソンが光の壁に向かって刃を振るう。
光の壁が一枚砕かれる。
その瞬間、ヤツハは詠唱を完了していた。
五本の氷柱が、空中に現れる。一本一本が、人の体ほどもあるサイズだ。それが、ネルソンに襲い掛かった。
肩を、足を、体を貫かれ、ネルソンが悲鳴を上げて足を止める。その悲鳴に、城が僅かに揺れた。
しかし、それは一瞬のことだ。氷柱は消え、ネルソンが狂ったように振り回す刀が、光の壁をまた一枚、二枚と砕いて行く。
そして、最後の一枚が砕かれようとする瞬間、ヤツハの次なる魔法が放たれた。
風の槍が、ネルソンを突き刺す。ネルソンは、それに押されて後退せざるをえない。
土の柱が、再度ネルソンを捕らえ、光の壁が敷き直される。
ヤツハは淡々と、詠唱を続ける。
その時、やっとのことでシンタの蘇生が終わった。
「あの人の詠唱、早すぎるよ……」
スイは、驚いたような口調だ。
蘇生法術は、確かに詠唱時間が長い。しかし、その間に彼女が放った魔法は、一つや二つではない。
ヤツハが行なっているそれが、薄氷の上を渡るような作業であることは、シンタにも手に取るようにわかった。
もしも魔法の詠唱が少しでも遅れれば、次の瞬間に、光の壁は全て破壊され、敵の剣がヤツハの命を絶つだろう。
土の柱を建てる角度を少しでも間違えても、それは同じだ。
しかし、その綱渡りに等しい作業を、ヤツハは黙々と行なっている。
とてつもない集中力だった。
ネルソンは前進しては、魔法に押し戻されて後退する。
たった一撃で良いのだ。たった一撃で、彼はヤツハの命を断てる。
しかし、その一撃が届かない。
次々と繰り出される魔法が、腕力の行使を阻むのだ。
そのうち、ネルソンの鎧が赤く染まった。
「赤。範囲攻撃、来るよ」
ヤツハが鋭く言った。
その数秒後、ネルソンは立ち止まり、剣を振るった。
その剣の切っ先から、風の刃が何本も現れ、ヤツハ達に襲い掛かった。
光の壁が一瞬で破壊され、刃が脆弱な人間達を食い殺そうとする。
しかし、ヤツハにとっては、ネルソンが攻撃に移るまでの数秒で十分だった。
突風が吹いた。
竜巻が、シンタ達を包む。それは、盾のように刃を防止した。
「頃合かね」
ヤツハは、音を立てて地面に杖を突き立てた。
眩い光が杖の先端を包み、闇に包まれた城を稲光のように照らす。
ネルソンは、刃を交えようとしない敵に怒り狂いながら、剣を振り下ろす。
それが黒衣の魔術師に届く直前、ヤツハの杖の輝きが敵へ向かって走った。
それは、雷光だった。
視界を白一色に染めるほどの雷光が、杖から放たれ、蛇のようにネルソンの体へと絡みつく。鎧の隙間から、氷によって穿たれた穴から、それはネルソンの内部へと入り込み、腐食した体を焼いた。
そして、ネルソンは地面に倒れ付した。首切り刀は放り出されて地面に突き刺さり、兜が取れて床を転がる。
「一人で、ボスを倒しちまった……」
スイが、信じられないとばかりに言う。
ネルソンと、彼の使っていた首切り刀や兜は消え、その場には銭袋と、真新しい剣と盾の一セットが落ちていた。
かつて、彼が人間だった時代の品なのだろうか。どちらも、モンスターとなった彼が握っていたものではない。黒い鞘に収まったオードソックスな西洋刀と、円形の盾だ。
それでも、巨漢だった彼の品である。剣の長さも、盾のサイズも、一般の品から見て大きかった。光沢のある盾の表面には、かつてあった国の紋章が刻まれている。
「結構良いドロップだね」
ヤツハは、何事も無かったように言ってそれを回収すると、スイ達に向かって走ってきた亡者に杖を一振りした。
その瞬間に、レルが長い時間をかけて召還するそれと同じ、炎の竜巻が巻き起こり、亡者を包んだ。
レルが放つ炎に包まれると、敵は消滅する前にもがき苦しむ。
しかし、ヤツハの放った炎は、一瞬で敵を無に帰してしまったのだった。
「帰ろっか」
ヤツハは微笑む。
「凄いよ。ヤツハさんがいれば、帰りも楽ちんだな」
スイがはしゃぐ。
「ヤツハさん。私、土柱をそんなに上手く生やせないんですけど。って言うか、土柱を出すまでの詠唱速度が違いすぎるんですけど」
レルが、必死に教えを乞う。
「問題がひとつあるのよね」
ヤツハが、静かな口調で言う。
「今の雷光、マジックポイントをかなり使っちゃうの。で、私、他の魔法も絶え間なく放ってたよね」
シンタは、嫌な予感がした。
「つまり、今の私はガス欠状態。ガス欠の魔術師なんて、置物だよね。つまり、帰りは皆に守ってもらうことになります」
四人は、顔を見合わせた。
自信のある表情を浮かべた者は、いなかった。
ヤツハの発言は、嘘であるようにシンタには思えた。
何故なら、ヤツハの魔力は飛びぬけて高い。魔力の高い人間は、魔法を使う際に消費するマジックポイントの回復も早いのだ。
何故ヤツハがそんな嘘をつくか、シンタにはわからなかった。
「ボスの落としたアイテム、持ってって良い?」
町に戻ると、ヤツハが言った。
断る者は、誰もいなかった。何せ、ボスを倒したのはヤツハ一人なのだ。
「あと、皆。今日のことは、あんまり人に言わないようにね」
ヤツハの言葉に、スイが首を捻った。
「なんで?」
「鈍足のネルソンとはいえ、あんなハメが成立するとわかったら、調整が入っちゃうからね。私のせいで、全国の魔術師の詠唱速度が遅くなったりしたら、悪いじゃない」
「わかった」
スイは、納得したように頷いた。
「約束ね」
「うん」
「ヤツハさん、今度、色々と聞きに行っても良いですか?」
「私にわかることなら」
レルの問いに、ヤツハは優しく微笑んだ。
「じゃ、そろそろ私は行きます。楽しかったよ、ありがとうね」
ヤツハは、颯爽と去って行った。
格好良いお姉さんといった立ち振る舞いだった。
後には、どこか呆然とした表情の四人が残された。
「ハメが成立するってわかったら……って、あんなハメ、あの人しか出来ねえよ」
スイは苦笑交じりに言う。
「ファイアストームの発動まで一秒かかってなかったよ。どんなパラなのやら」
リューイが興味深げに言う。
「格好良かったなあ……」
レルは、感嘆したように言う。
「私も、ああなれるかな」
シンタは、折れた自分の剣を見て、レルと同じ思いでいた。
弱い自分が、歯痒かった。
ヤツハは強い。シンタはとても、それに並び立てない。
少なくとも、ネルソンの剣を軽々と受け止められるぐらいにならなくては、彼女の盾にもなれないだろう。
それは、敵の一般兵の刃すら受け損ねている今のシンタには、とても出来ないことだった。
「強くなりたいな」
シンタの言葉に、三人は同意した。
その後、四人は拾ったアイテムを分配した。
そして、ダンジョンの感想を熱っぽく語り合い、次の冒険の約束を交わして、解散した。
シンタはふと気になって、その名前を口にした。
「リヴィアって人、知ってる人はいるかな?」
レルは首を捻ったが、スイとリューイはピンと来たようだった。
「有名人だよ。この世界には、城の取り合いをしてる集団がいるんだけれど、その中でも最大規模の同盟を率いるギルドマスターさん」
「スピリタスの女帝だよな。この世界で一番有名な騎士じゃないか」
聞かないほうが良かった、とシンタは思った。
自分の場違いさを、思い知らされる気持ちだったからだ。
彼女との争いの場に立つには、ヤツハのような、一人でボスを倒せるような猛者であるべきなのだろう。
「リヴィアが、どうかしたの?」
リューイが不安げに訊ねてくる。
まさか、その相手と喧嘩をするだなんて、シンタには冗談でも言えなかった。
いつもの溜まり場に帰ると、ヤツハが体育座りをしていた。
「おかえりー……」
彼女の声には、いつもより元気がない。
「疲れたの?」
シンタが訊ねると、ヤツハは首を横に振った。
「ねえ。私、でしゃばりじゃなかった?」
そんな不安を抱えていたから、町に入るなり帰ってしまったのか。シンタは、思わず苦笑した。
「皆、ヤツハさんは凄いって褒めてたよ。喜んでた」
「そっか……。なんかね、弟が友達と遊んでるところに混ざっちゃったような罪悪感があるんだよね」
ヤツハは、安堵の溜息をはいた。
「対して歳に差はないでしょ」
シンタは、一緒に遊ぶことで、彼女の性格を知れた気がした。
彼女は、穏やかで、面倒見が良くて、そして根っこは遠慮深いのだ。
そんなヤツハに、シンタは好感を抱いた。
「シンタくん、剣折れたよね。これ、あげるよ」
そう言って、ヤツハが地面に置いたのは、ネルソンが残した剣と盾だった。
「悪いよ、そんなの」
「その分、強くなってくれたら大丈夫」
ヤツハは、微笑んで言う。
それを言われると、シンタは弱かった。
「……ありがたく、受け取ることにする」
「うん。素直なのは良いことだよ」
シンタは、さっきから彼女の口ぶりに引っかかるものを感じた。
ヤツハは、シンタよりきっと年齢的に大差がない。それなのに、先輩ぶっている。
しかし、両者の今の力関係では、それは仕方が無いことだった。
「いつか、ヤツハさんに負けないぐらい強くなるから」
シンタは、気がつくとそう言っていた。
レベルが違うからか、自分は出しゃばりではないかと引け腰になっていたヤツハが、なんだか可哀想に思えた。
「うん。お姉さんは君を待っていよう」
ヤツハの声は、優しかった。
「けど、変な気持ちだな。私ね、今でこそ強いって言われるけれど、師匠に下手くそで組みたくないって言われるようなへっぽこだったんだから」
その時代に、一緒にいたかったな、とシンタは思った。
そしたら、レルとそうしたように、ヤツハとも頻繁に遊べただろう。
「まあ、シンタくんには、団体戦じゃ、無理せず道具持ちをしてもらうけどね」
やはり、自分の仕事はそこに行き着くらしい。落胆しつつも、対人戦ではどういった行動が最適解なのか、シンタは熱心に尋ねていた。
ヤツハは、喜んでそれに答えてくれた。
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ヤツハ
ヤツハに異名はない。彼女は平凡なプレイヤーであることを望んできたし、周囲も彼女に強さを求めなかった。
歌世のようにトラブルに顔を突っ込むこともなく、ゴルトスのように月例大会の常連になることもなく、シュバルツのように対人で名を馳せることもなかった。
それでも、彼女の詠唱は速く、技量も目に見えて高い。
趣味はクエスト攻略所の更新であり、そのサイトの八葉という名前のほうが良く知られている。
ある事件から、彼女は、"ネトゲであった怖い体験談"スレッドの住人となっており、自らの体験談を記したこともあった。
次回は、リヴィアと歌世の決戦となります。




