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第4話〜500年前の真実(上)〜

この街、セイクブルムに伝わる、ある詩がある。


「汝、剣を掲げ立ち上がらんとすれば

 

 始まりの地において、聖なる光集まらん


 汝、魔を滅さんとすれば

 

 終わりの地において、悪しき魂集まらん


 全ては終末の刻、天を舞う孤独なる魂のみぞ知る」




500年前の太陽の日を読んだものだ。

全ての事実は過去のものとなり、正しい記憶は存在しない。

ただこの詩のみが、今もこの世に存在する唯一の記憶であり、

リシェルの頼みの綱であった。







「もう!!100くらいまけてくれたっていいじゃない!」

「ルルーシャ・・・・・・もういいじゃんか・・・・十分安いしさ・・・・・」


古都セイクブルムに着くや否や、服屋に足を運んでいた。

この街は、以前彼らたちがいた街から2日ほど歩いたところにある大きな街だ。

港があり、商業が盛んで、多くの店が点在している。



「だめだ。50が限界だ・・・・・それ以上は厳しいな・・・・」

「ほらこう言ってるし・・・・・・そろそろ宿を探さないと日が暮れちゃうだろ?」

「むぅ・・・・・・・」


渋々した顔で450ラピスを払うと、宿探しをした。

この街の宿は軽く10件を超え、競争が激しいらしく、さまざまなサービスで集客を図っている。


2人は落ち着いた清潔感のある、朝ご飯風呂付の宿を選んだ。

少々高いが、2日間歩きっぱなしで疲れたルルーシャは、風呂が恋しかったらしい。


「ふぅ・・・・・これで一通り必要なものは買ったし。あとはゆっくりしようか・・・」

「あ〜わたし先にお風呂入っていい?汗でべたべたなの」

「いいけど・・・・・」


リシェルは何か言いたそうに言うと、彼女はいそいで風呂場へと向かった。


「先とか言うより大浴場だったような・・・・・。まあいいか・・」


「湯」と書かれた入り口をくぐると、さっそうと服を脱ぎすて、扉を開けた。

広い風呂場には人影がなく、貸し切り状態だった。


「お風呂ってやっぱりいいな〜。ん〜〜〜もうサイコ〜〜!!」


すると、10人ほどの人が入ってきた。男の人も混ざっている。


「あ、、ここって混浴だったんだ・・・・・・・」


初めて知ったかのように言った。

その中にはリシェルも混ざっている。


「あ、リシェル。こっちこっち〜」


リシェルは恥ずかしそうにこそこそとルルーシャの方へ行った。

背中には深紅の翼が目立つ。


「あれ?リシェルって鳥人族バードナーだったの?」

「いや・・・俺は・・・・・・・・・・」

「あ・・・・・ああそっか・・・・”逸脱した存在”・・・・だっけ?」


リシェルはうつむき加減でずっと湯船を見ている。


鳥人族バードナーには無い深紅の色をもつ翼。

と言っても彼の翼は、感情に同調するように色を変える。

500年間孤独の日々を過ごしていた時の彼は、黒々とした翼をもっていた。

実に興味深い存在だ。


「そろそろ上がらない?のぼせそうなんだけど」

「あ、ああ。人も多くなってきたしな・・・・・・・・・・・・・」

「ん?どしたの?」

「いや・・・・・・・なんでもないよ・・」


彼は湯船に映る自分の姿を見て、ボーっとしていた。

湯から出て、浴場を後にしようとしたとき、1人の女性がリシェルに尋ねた。


「あの・・・・・・君は、鳥人族じゃないよね?もしかして・・・・・・」

「・・・・・あなたは・・・・?」

「ああ・・・・私はネレス。話があるの・・・・・いいかな?」

「「?」」


2人は首をかしげて、彼女を見た。

だいたい20歳くらいの鳥人族で、美しい容貌だった。

ルルーシャはその姿に見とれているようだったが、リシェルは警戒していた。

いきなり声をかけてきたかと思うと、自分の正体を知っているかのようなことを言っていた。

早々と着替えを済ませると、彼女の部屋に呼ばれた。


「さっそくだけど、見てもらいたい物があるの」


ネレスはカバンの中からある資料を持ち出した。

そこには一枚の古ぼけた写真と、とある文献が入っていた。


「この写真に写っている人物に見覚えは?」

「・・・・・そんなのあるわけが・・・・・・・・・・!?」

「どうやらあるようね・・・・・・。君は本当に・・・・・・・」


彼が見たものは、写真に写る500年前住んでいた村の写真だった。

それは500年前に撮られたものであり、今その村は存在しない。

よってその村を知る者はまったくと言っていいほどいない。

以前そこに住んでいたもの以外は・・・・・。


「これはある人が残した写真なの。君も知っていると思うわ」

「・・・・・・・・しかしなぜ一目見ただけで俺がこの村のものだと?」

「あなたは2日前、とある街で妖魔族を退治したわね」


ネレスはあの時街にいたらしい。

それを見ていた彼女は、リシェルらをつけていたらしい。


「そうですか・・・・・」

亡者の碇ファントムアンカー・・・・・・・だったかしら?」


そういうとネレスは、十数枚の資料を手渡した。


「リース村付近の森にて、種族不明の死体を10体発見。

 第一発見者は、黒き翼をもつ者が、何らかの魔術を用いて殺害。

 直後に気絶し、近くで確認しようとしたところ、

 急に起き上がり、逃亡したとみられる。



 詳細:黒い翼、年齢は17〜19

    現在黒い翼の鳥人族は確認されていない。」


そう書かれていた。


「その黒き翼をもつ者・・・・あなたでしょう?」

「・・・・・・・リース村・・・・・・・・うそだろ・・・・・」

「普通なら考えられないけど・・・・・君なら納得できるわ」



リシェルは思い出した。

自分が殺されたあと、気がつくと周りに妖魔族の死体が転がっていたあの光景を・・・。


「あれは・・・・俺が殺したのか?」


リシェルはうつむき小刻みに震えている。

するとネレスが言った。


「500年まえ生きていたあなたなら、この文献に書いてあることがわかるはずだわ」

「・・・・・・・・・・なにが言いたいんです?」


顔をあげネレスに問い返した。

ネレスはあたかもすべてを知っているかのような口調で、

リシェルの顔を見ながら言った



「いま一番知りたいことを教えてあげるわ。君の正体を・・・・」





読んでくださりありがとうです^^;

感想や指摘などあればよろしくです。

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