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第2話〜俺という存在〜

思いつくままに書きました。

ご指摘や感想などよろしくです^^

思ってもいなかった・・。

自分が空を飛び、長き命を得られるなどと・・・。


普通に生活していたあの頃。

平和だったあの頃。

小さな村で羊を追いかけまわしていた頃。


あれからもう500年たった。


俺が18歳の時、命を失ったあの日から・・・・。

鮮明に憶えている。

見たこともない存在が、目の前に。

魔物でもない・・・。

かと言って人でもない・・・。



人とは異なる逆の存在。


妖魔族リバースイグジスト



死んでから分かった事だ・・。

聞いたこともない奴らだった。


そいつらを見つけたとき、足は竦んで動かなかった。

背中を刺し貫かれ、何が起こったのかすら分からず死んだ・・・。

いや・・・・正確にはどうだかわからない・・。

そのあと俺はその場所で起き上ったんだ。

周りには妖魔族が死んでいた。

十数人に及ぶ奴らの屍が・・・・・・。



怖くて逃げだした



自分の姿は、顔や身体つきをのぞいて人間ではなかった。

鳥人族にしては翼が黒く、牙獣族にも似つかない。

竜人族というにも、首をかしげてしまう。

自分の知っている姿では無くなっていた。


まるで自分だけが世界から切り離されたようだった・・。


町に戻れば、人一人いない。

争った様子はあるが、死体もない。

逃げ出したのだろうか・・。



・・・・・・・でも、


会ったところで、俺が俺だとわかる者はいるだろうか・・。


恐い・・・。


そう思った瞬間、俺はすべてを捨てた。

1人で孤独に、誰にも見つからないように暮らそうと・・・。

この世界で俺を知る者は誰もいない。





500年前・・・・。

そうやって俺は自ら、まるで世界から自分だけを切り離したかのように、

人里離れた山奥で静かに暮らした。




もう時の流れなど感じなくなっていた。

この世界を照らす月明かりを眺め、この世界を知ろうともしなかった。

今この世がどうなっているか全く分からない。

しかしそんなこと自分には関係なかった。

すでに自分はこの世界から切り離された存在だからだ・・・。




「今日も月明かりがきれいだな・・・・・・。」


ふとこんなことを漏らした。

今までこんなこと言ったことはない。

何も考えず、ただ静かに眺めていただけなのに・・・。


「満月か・・・・。はは・・懐かしい・・・・

 村にいたころはよくみんなで月見をしたな・・・。

 きまってこんな日はごちそうだった・・

 取り合いにもなったなぁ・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・はっ!?」


なんでだろう。

こんなに昔を思い出したことはない。


「どうかしたのか俺・・・?

 なんでこんなにも思い出すんだろう・・・・・

 昔のこと・・・

 ・・・・・・・でも悪くないな・・」


退屈だなんてこの500年間思ったこともなかった。

たださっきから妙に時間が長く感じる・・・。

というより何かが違う・・。

おかしい・・・・。


「なんだろう・・・急に・・・」

 

気ばかりが焦る。

鼓動が速くなる。


「これは・・・・・、

 この世界に何かあったか?」


妙に直感が働く・・。

気づいたころにはもう山を下りていた。


空を見上げた・・・。


「なっ!!!?」


この世界・・・レナスフィアに日は昇らない。

月明かりのみに照らされる世界。

だが違った。


「なんで・・・・日が昇ってる・・・!!?」


もう空は月などなく、大きな日に照らされていた・・。

初めて見る光。


「これが・・・・・・・太陽・・・!?」


暖かい光だ・・。






  

「町・・久しぶりだな・・・・500年ぶりか・・・・」


形こそ変わったものの雰囲気は昔のままだ。

とても活気がある。

だが騒いでいるようにも見えない。


「ちょっと・・いいですか?」


彼は、買い物をしている竜人族に声をかけた。


「何だね少年?探し物か?」

「いやそういうわけじゃなくて・・・・なんで太陽が?」

「?なにいってるんだ?太陽なんてあるのは当り前だろう?」

「へ・・・?」


唖然とした。


当たり前だって!?

そんなはずはないだろう!

俺は500年間見てきた・・

太陽なんて昇らなかった。

俺は月を見ていたんだから・・・・。


「太陽を見たことがないのか?ずっと病院にいたとか?」

「は・・はぁ・・・・・・」


もう何が何だか分からなかった。


「この太陽はな・・・昔は昇らなかったんだとさ・・・・」

「えっ!?」

「今から500年くらい前かな・・・・・

 この世界を初めて太陽が照らしたんだ。」

「ご、500年前だって!!?」



そんな・・・俺が死んだ年・・・

俺が自分を世界から切り離そうと決めた年・・・・・

切り・・・・離す・・・?

まさか・・・・・




考えは正しかった。

彼は世界を切り離した。

彼が見ていた月は、存在する月ではなく自分の思い出の中に存在する月だった。

500年間・・・・彼が見た者は自分の心の中だった。

時間が止まった思い出の中で・・・。



知らないうちに自らの心を封印していた。自らの心の中に・・・・・



「そうか・・・俺・・・」

「ん?どうかしたか?」

「い・・いや・・なんでもないです。お手数おかけしました・・」


彼は慌てて、逃げるように去って行った。


「俺が死んだ時に世界に異変が・・・・

 知らなかったのは俺だけ・・・・・・・・・・」


途方に暮れた。

帰る気もなくなっていた。

世界が気になる。

どうして俺が死んだ時に・・・。

それだけが彼を動かした。


宿に向かう。


「今日はもう眠い・・・・明日にでも調べよう。」


小さな欠伸をして受付をした。

清潔感のある宿だ。


「お客様。お名前は?」




「リシュル=フォム=アレスタ」



 

欅です^^

読んでくださった方ありがとです。

次回からは話がもっと深い所に入ります。(予定w

これからもよろしくお願いしますw

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