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冷笑主義  作者: 不二 香
第三章 After GENOCIDE
72/88

WEB拍手掌編集

春眠堂のWEB拍手お礼掌編をまとめて4つどうぞ。


No.1【長生きの秘訣】


朝(人間時間:夕方)

パルティータ、にんじんジュースを運ぶ。

ユニヴェール、飲まない。


昼(夜)

パルティータ、にんじんジュースを運ぶ。

ユニヴェール、飲まない。


夜(夜半過ぎ)

パルティータ、にんじんジュースを運ぶ。

ユニヴェール、飲まない。


夜食(明け方)

パルティータ、にんじんジュースを運ぶ。

デスクの上に4本にんじんジュースがたまる。

ユニヴェール、「片付けろ」とキレる。

パルティータ、「もったいない」と睨む。


ユニヴェール、4本まとめて飲む。


THE END



No.2【パルティータの自由研究】

■目的:経費(食費)削減

■仮説:死人は、生前食べたことのあるものについてのみ味の判別が可能である。

■実験結果

1日目 幽霊のおばちゃん作:カモの赤ワイン煮込み

吸血鬼+三使徒の反応 → 絶賛。


2日目 パルティータ作:カモの赤ワイン煮込み

吸血鬼+三使徒の反応 → 眉をしかめ、咳き込む。


3日目 幽霊のおばちゃん作:唐辛子ケーキ

吸血鬼+三使徒の反応 → スポンジが真っ赤なのは何を使ったせいか聞かれる。

ワインじゃないですか、と答える。

腑に落ちない様子。

しかし何事もなく完食。


4日目 パルティータ作:唐辛子ケーキ

吸血鬼+三使徒の反応 → 特になし


■考察

現段階での結果では、仮説は立証されたと言える。

生前食べたことのあるものに関しては、並外れた記憶と感性で味を理解するらしい。

しかしそれ以外に関しては、何を食べさせても同じようだ。

変な食材も教えなければ問題なし。


■今後の課題

今回使用した唐辛子は暗黒都市のロートシルト卿からもらった。

だが世間一般では新食材や珍妙な食材は価格が高い。

文句を言わさず食費を抑えるには、四人+下宿人が食べたことがなく、かつ安価な食材を探すことが急務である。

ということをレネック夫人に話したら、「雑草サラダ」を勧められた。

いいかもしれない。


THE END



No.3【正しいメイド】

「パルティータ」

「はい、何か?」

 食堂のテーブルで紅茶を口にしていた吸血鬼は、ふと自分のメイドを呼んだ。

 テーブルの上には暗黒都市から送られてきた情報紙。

「“メイド協会”というのができたそうだ。正しいメイドを育てるための講習会だの、検定だの、やるんだと」

「まぁ」

 吸血鬼の真正面で銀盆を抱えているパルティータは、気のない返事。

「お前もう何年メイドをやっている? 講習会なんぞ参加者ではなくむしろ講師で、検定なんぞ一発で合格だろうな」

 口元に揶揄の笑みを浮かべて訊けば、

「もちろんです」

 特に胸をはるでもなく、脊椎反射の答えが返ってくる。

「…………」

 ユニヴェールは半眼で彼女を一瞥すると、再び紙に目を落とした。

「ちなみに、正しいメイドのあり方はこうだそうだ」


 (1)心の底から客らに尽くす「奉仕の精神」がある

 (2)メイド服などきちんとした身なり、不快を与えない髪形をしている

 (3)しっかりした尊敬語、丁寧語を話せ、注文の取り方などのマナーも身につけている


 言い置いて顔を上げると、

「……2番目はばっちりです」

 親指を上に向けて突き出してくるパルティータ。

 どこで覚えたのか。

「他は?」

「メイドは奉仕ではなく仕事です。尊敬できない輩に尊敬語を使うほど、私の言葉は乱れていません」

「…………」

「それに──」

 パルティータがやや眉を寄せ、不機嫌に顔をしかめてくる。

「それに?」

「その“正しいメイドのあり方”は間違っています。本来はこうです」


 (1)華やかな上流家庭の裏側に渦巻く黒い真実を垣間見る

 (2)悪巧みを暴く

 (3)怪我をする


「…………」

 ユニヴェールは無言で情報紙を畳んだ。

 味のしない紅茶を喉奥に流し込み、ため息をつく。

「パルティータ、それはメイドではない。家政婦だ」


THE END



No.4【口は災いのもと】

第1話 「暗黒都市の番犬」 序盤「大丈夫だ。幸い私は良い医者を何人も知っている」後。


「それはそれは安心致しました」

 パルティータが棒読みでにっこり笑い部屋を後にしようとすると、

「…………」

 何故かユニヴェールも付いてきた。

「何ですか?」

 眉をひそめて振り返ると、吸血鬼がしれっと肩をすくめてくる。

「お茶をもら──」

「本の整理は」

「……お茶飲んだ後で」

「ダメです」

「何故」

「お茶を飲んだ後、貴方のヤル気は完全になくなっています」

 ──というか、この男はすでに飽きている。

 あれだけ“整理”だと言い張っておいて。

「どうするんですか、この有様広げた本」

 パルティータはびしっと部屋の中を指差し、ユニヴェールがつられてそちらに視線をやった瞬間、

「おい!?」

 彼の背中を押した。

 そして扉を閉める。

 おまけに外から鍵をかける。

「紳士は一度言ったことはやり遂げませんと。きちんと片付けたら呼び鈴でお呼びくださいませ。美味しいお茶をご用意致しますから」

 放蕩貴族は自分を甘やかしすぎていけない。

「パルティータ、私はこんな扉くらい簡単に蹴破れるんだが」

「蹴破ったらご自分で直して下さいね」

「…………」



THE END



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