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冷笑主義  作者: 不二 香
第一章 Before 1492
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第8話【我が屋敷 ただ今メイド募集中】後編




 フランス南部の田舎町。パーテルの聖騎士団隊長シルヴァン・レネックは、ひとりの少女を眼の前に悩んでいた。

「悩んでいる場合ですか?」

 少女が平坦な調子で言ってくる。

 彼は頭をかかえていた手をひざに戻し、向かいに座るその娘をまじまじと見つめた。

 艶やかな黒髪に、濃い灰色の膝丈ドレス。胸元には見事な銀細工のロザリオ。

 蝋人形のように表情が欠落しているその顔には、平らな黒い瞳がのっている。

「ルイ-ゼ嬢がこのまま処刑されてしまってよいのですか」

「よくないに決まってるだろう!」

 青みがかった銀髪を乱して、彼は声を荒げた。

「何だって言うんだあの司祭は! ルイ-ゼが私を愛していて自分に振り向かないからと言って……魔女裁判にかけて処刑だなんて! 狂ってる!」

「まぁ、あの吸血鬼シャルロ・ド・ユニヴェールのメイドをしているのだから魔女と言われても仕方ないのかもしれませんけど」

「彼女は魔女ではない! それに彼女は言っていたんだ、メイドを辞めるとな! 自由になって私のもとへ来ると言っていた!」

「その前に彼女は彼女にしつこくつきまとう司祭に、キッパリ断りを入れに行ったんですね」

「それが間違いだったんだ!」

 シルヴァンは半ば叫んでいた。

 ルイーゼをひとりにしたのが間違いだったのだ。ユニヴェールという化け物のところから自由になると彼女が決めた時、もう彼女を放すべきではなかった。

 色々なことにけじめをつけてくると言った彼女を見送るべきではなかった。

 彼は、彼女が正式にメイド職を辞しに帰ったのだと思い込んでいたのだが──彼女はその前にあの狂気の司祭に会いに行ったのだった。

 そして拒絶を告げられた司祭はあろうことかルイ-ゼを監禁した。何の弁明もさせぬまま異端審問にかけ、そしてあの男は自身で愛した女に魔女の烙印を押した。

 絞首刑の判決を言い渡したのだ。

「いざとなればあの吸血鬼が出てきて大鎌を振るうかもしれない。だがそれでは意味がないんだ! それでは彼女は自由になれない!」

「だから、言っているではありませんか。まだ彼女を救える、と。貴方が彼女を救えるのです」

 少女が落ち着き払ってため息をついてくる。

「貴方が早馬を飛ばしてヴァチカンまで行って来る覚悟がおありならね」

「ヴァチカン!?」

「教皇にお会いするのです。そしてこの書をお渡ししてください」

 彼女が手にしていたふたつの封書のうち、ひとつをひらひらと振って見せた。

「用件はすべてここに書いてありますし、お返事はすぐにいただけるでしょう。そうしたら、ルイ-ゼ嬢の処刑が行なわれる前にここへ戻ってきて下さい。それで万事うまくいきます。彼女は救われるでしょう」

「…………」

 シルヴァンは改めて少女を凝視した。

 ルイーゼを救ってやるという言葉と、その有無を言わさぬ頑強な態度に思わず屋敷へ入れてしまったが、どこの馬の骨とも知れない少女だ。

 貴族の娘にしては従者も愛想もなくて、庶民の娘にしては身に付けているものが高価過ぎる。

「こんな小娘の言うことが信じられるのか、迷っておいでですね?」

「……え、えぇと」

「まぁいいでしょう」

 彼女はやはり抑揚なく言って、ずいっともうひとつの封書を差し出してきた。

「これを信じてもらえなければ、万策尽きたというところですけれど」

「……な!?」

 中から取り出した薄い紙切れに目を通し、彼が口をぱっくりと開けた次の瞬間、紙は彼の手元からひったくられた。

「あ、あの、貴女は……」

 シルヴァンが無駄な息継ぎをしている間に、少女は奪った紙切れを十字架の前に飾られた燭台の炎にかざしていた。

 白い紙はぱっと燃え上がり、灰となる。

「私の名はパルティータ・インフィーネです。レネック隊長、このことは死ぬまでご内密に。それから──決心はおつきになりましたか? 早くしなければここへ戻ってくるまでにルイ-ゼ嬢が処刑されてしまいますよ」

 少女はやはり無表情のまま、言った。

「礼金は後で構いませんから」



◆  ◇  ◆



~ メイド募集中 ~

時間:黄昏~夜明けまで。住み込み可。

報酬:相談にて。子爵家使用人以上の支払い保障。

内容:掃除・洗濯・その他雑用(メイド兼家令兼執事)

勤務地:ココ

年齢・経験:不問

※ ただし魔女は不可 猫の好きな方歓迎

屋敷主:シャルロ・ド・ユニヴェール



 張り紙を貼ってから数日後の夜明け、ユニヴェール邸の玄関扉が叩かれた。

 複雑そうな顔をしたハルベルトが主のもとへと連れてきたのは、ひとりの少女だった。


 カラスの濡れ羽色の黒髪に、濃い灰色ドレス。欠片浮かべた笑みは苦心の末の愛想笑いなのだと分かりすぎるほどに分かる顔つきで、細いその娘はユニヴェールの部屋にやってきた。

「──名前は?」

「パルティータ・インフィーネ」

「どこのご出身かな?」

「生まれたのはローマです」

「ほう」

 ローマ出身だという割に、少女は流暢なフランス語を話す。

「ご両親はどういう職業を?」

 地に足がついた大人とは言えそうにない年齢だったため、ユニヴェールは訊いた。

「どちらも貴族です」

 雑多なものに埋まったデスクの向こう側に立っている娘は、淡々と答えてくる。

 ユニヴェールは意地悪げに柳眉をしかめてみせた。

「貴族のお嬢さんが何故メイドなんかやりたがるのだろうね? 私が何者か分からずにここへ来たわけではあるまいに」

「もちろん、貴方が何者かは知っています」

 彼女の黒い瞳が、初めて表情を見せた。

 何かを企んでいる者特有の、楽しげな光が宿っている瞳。

「私は貴方が何者か知っているからこそ、来たのです」

「好奇心か?」

「牢獄から逃れるためです」

「…………」

 長年手元に置いてきたルイーゼの代わりになり得る者はいない。いたとしても、代わりというのはどうかと思う。それゆえに、ユニヴェールはもう人間のメイドを雇うつもりはなかった。

 暗黒都市の女王に打診すれば、人間など足元にも及ばない有能なメイドか家令が送られてくるのだろうし。

 ハルベルトがアンヌ・ド・ボージュ-の意見を勝手に遂行して張り紙を貼ったらしいということは知っていたが、どうせ化け物吸血鬼の屋敷、名乗り出る者などいないだろうと決め付けていたのだ。

「以前のメイドはここが牢獄だと言って出て行ったんだがね」

「そのメイドさんが今どうなっているかご存知ですか?」

 少女──パルティータが話の矛先を勝手に変えた。

 ユニヴェールは多少虚を突かれながらも嘆息する。

「異端審問にかけられて、近く処刑されるんだろう」

「ご存知なのに何もしてあげないのですか」

「私を咎めるか?」

「いいえ」

 パルティータは平面な面持ちのままぶんぶんと首を横に振る。しかし彼女はさらに言葉を連ねてきた。

「貴方がここで何もしないことは理にかなっています。それはルイーゼ嬢も分かっているでしょう。彼女は自由を求めて貴方のところを飛び出した。彼女は彼女の思うように行動して、この結果。それでもそれで仕方ない。まさかいざとなったら貴方が迎えにきてくれるなんて甘いことは考えていないと思いますよ」

 一気に言ってから、彼女は付け加えた。

「が。──それでよいのですか?」

 挑むような視線を投げかけてくる少女。

 ユニヴェールは席を立ち、赤い絨毯を踏みしめてゆっくりとそれに近付いた。

 扉のところでかしこまって待機しているハルベルトが、興味津々といった目つきでこちらを見ている。

「言っている意味が分からんが?」

「ルイーゼ嬢がみすみす人間の──しかも司祭という貴方の敵に、殺されるのを貴方は黙って見ていられるのですか?」

「人間一匹、司祭一匹にいちいち構っていられるか」

「でも寝覚めが悪いでしょう?」

「…………」

 ユニヴェールは無言のまま、鋭い爪の指で少女のあごを掴んだ。

 唇を耳元に寄せて、低く囁ささやく。

「死にたくなかったら今すぐ自分の家へ帰りなさい」

「処刑の日、上手くルイーゼ嬢の命を助けることができたなら、私をランスへ連れて行ってくださいませんか?」

 少女もまた喉の奥で囁いた。

 そして一瞬だけニヤリと笑う。

 貴族の娘の笑い方とは思えない、ぎる殺伐。

「そう見られるものではありませんよね、フランス国王の戴冠式なんてものは」

「……お前になど……」

「救えるはずがないとおっしゃる前に、賭けてみてはいかがです。出来なかったとしても、もともと失われるはずだったものが予定どおり失われるだけです」

「──よかろう」

 ユニヴェールは一転、皮肉げな笑みを浮かべてパルティータを見下ろした。

 少女と思わせぬ物言いに、感心したというのもある。

 化け物の中の化け物と称されるシャルロ・ド・ユニヴェールを挑発してくる異様な度胸に、将来が見てみたくなったというのもある。

 賭けて、自由を求めたルイーゼの行く末を見届けたかったというのもある。

「では仮契約の証としてメイドの権利を一端だけ先にやろう」

 彼は灰色のパルティータの肩を押して、彼女をハルベルトに向かい合わせた。

「この男の名前を決めるのが歴代メイドの最初の仕事でな。今はルイーゼが選んだハルベルトと呼ばれているが……お前は何を選ぶ?」

 空高く飛んでいきそうな軽い笑顔の黒剣士は、紹介されるまま少女の前に絵が描かれたカードを広げてみせた。

「僕は以前、悪い魔女に魔法をかけられてしまいましてね。どこかの王子だったことは覚えているんですが、名前とか全部忘れてしまって。おまけに歳は取らないし、夜になれば黒猫になってしまうんですよ」

 カードは五枚。

 エストック。 ハルベルト。 シャー。 ルナール。 そして葡萄酒ヴァン

 パルティータは迷わず選んだ。

「ルナール」

「──だそうだ。今日からお前の名はルナールだな」

「御意」

 黒衣の剣士は、羽毛の如く軽やかな動作で胸元に手をあてた。

「そういえば、一番初めユニヴェール卿自身が僕に付けた名前も、ルナールでしたね」

「そうだったか? ルナールだったことなんて何度もあっただろうに」



◆  ◇  ◆



 待っていてくださいと言い残したきり、馬車から降りて行ったパルティータはどこかへ姿を消した。

 ユニヴェールが待つことそれから少し。


 広場に設えられた絞首刑台に、若い女が引っ張られてきた。

 手入れの行き届いた栗色の髪と、先日目会見したアンヌに似た利発な顔立ち。

 見間違うはずもない、かつてのメイド、ルイーゼだった。


 二十数年前、ふと通りかかったパリの教会前で、その頃のメイドが可哀想だと拾った娘。

 かごに入れられた、まだ言葉も話せぬ赤子だった。

 その後ユニヴェールの調べで彼女は王家の血筋だと分かったのだが、何故捨てられたのかは簡単に察しがついた。

 私生児であるうえに、悪い予言でも与えられたのだろう。不吉な言葉はそれだけで人を動かす。例え、バカバカしいとそっぽを向けばいい程度のものであっても、だ。

 そのことはユニヴェールしか知らない。

 ルイーゼの母は流れの踊り子で、亡き王がこの娘の存在を知っていたかさえ怪しいところである。存在を知っていたとしてもまさか吸血鬼館に拾われているなどとは思いも寄らぬであろうし、波乱のもとをわざわざ突き返してやるほどユニヴェールも暇ではなかった。

 アンヌ・ド・ボージューはよもや自分に更なる姉が生きていて、それがユニヴェールの手から解放してやったメイドだとは──どれだけ明晰でも分かるまい。

(私がわざわざ教えてやらずとも、分かるべきならばいつか分かるだろうさ)

 ユニヴェールは羽織った外套の襟を直し、馬車の中から横目で広場を見やる。

 罪人の処刑は大々的な催し物だ。集まった愚民どもはわいわいとはやしたてながら、まるでお祭り騒ぎ。

 しかしそんな数々の頭上を越えて、ルイーゼの目がユニヴェールを捕えた。

 彼はどこか非難がましい彼女の瞳を真正面から受け止める。

(嘲えと言うか)

 だが、己の明日のため逆境に踏み出して行った者を、何故笑えよう。

 屍の化け物となった彼には到底出来ぬことを、彼女はやったのだ。憂えて嘆くわけではないが、ユニヴェールには『生きる』ことなどもはや不可能。

 悲劇を気取る気もないが、それは事実だった。

 不滅の吸血鬼として流れる時間を暗黒都市と共に渡り、光と討ちあいを続ける。それがいにしえに“最強の吸血鬼始末人”と呼ばれた死者が選んだ道なのだ。

(私が嘲えるはずもなかろうに)

 ため息をオマケに微笑んでやれば、彼女が空を仰いだ。

「──何か言い残すことはあるか?」

 しらじらしく魔女の罪状を読み上げていたファロ司祭が、憎々しげな口調で決まり文句を吐き捨てる。

 勝手な恋の狂気に心乱され、振り向かぬ女を死に追いやる、白い聖職者。

 しばしの間があり、ルイ-ゼが晴れた空に向かって叫んだ。

「私は貴方の元に戻りたい!」

「…………」

 それが自分に言われたものだと気付くには、少しかかった。

 ユニヴェールは切れ長の目を僅かに見開いて、しかしすぐ元の微笑に戻す。そしてかすかな息吹とともに唇だけを動かした。

 <Non(ダメだ)

 きっとルイーゼもそれは予想していたに違いない。

 彼女はこちら見て両方の目から涙を溢れさせていたが、何度もうなずいてくる。

 けれどユニヴェールはそれに付け加えた。

<お前はお前の道を生きろ>

 彼女の顔が止まった。

 そして何か言おうとしたのだろう口を開けた刹那──

「この処刑は無効である!」

 人々でごったがえす広場に一頭の白馬が切り込んだ。

「シルヴァン!」

 ルイ-ゼが言いかけた言葉を飲み、愛する者の名を呼ぶ。

 颯爽と現れた騎士隊長は彼女に向かって力強く笑み、人波を裂き馬を処刑台の前と進めた。

「ここにヴァチカンからの書状がある。──パーテル大聖堂ファロ司祭は心身不調のためヴァチカンに戻られたし。なお、同司祭が最新に行なった審判は無効とする。また、パーテル騎士団隊長、シルヴァン・レネックに上記の事柄を遂行する権限を与える」

「嘘だ!」

 司祭が怒声を上げた。

「嘘なものか! 教皇の印が信じられぬか!」

 シルヴァンが馬を降り、台へと駆け上がって真っ白な上紙を突きつける。そして朗々と命を下した。

「騎士団は速やかに司祭を大聖堂へとお連れしろ!」

(──まるで三流英雄伝説(ヒロイック・サーガ)だな)

 苦笑して、ユニヴェールはカーテンを閉めた。

 民衆は予期せぬ波乱に一時は気圧されていたが、結局盛り上がれば何でもいいのだろう。今はシルヴァンに向かって拍手喝采を送っている。

 見当はつく。

 きっと彼は、今度こそ手放すまいとルイ-ゼをしっかり抱き締めたのだ。

(……それにしても、私の新しいメイドはどこへ行ったのだ)

 ややご機嫌斜め向きになった吸血鬼の馬車に灰色メイドがようやく乗り込んできたのは、広場からすっかり人が引いた後だった。

「お前、なんだそれは」

「お気になさらず」

 パルティータはなにやら重そうな麻袋を持っていた。石がぶつかるようなジャラジャラした音をさせているところを見ると、宝石や金、全財産でも持ってきたのか。

「ルイーゼ嬢はうまく助かりましたね。では、賭けは私の勝ちということで早速ランスへ参りましょう。戴冠式に出席~」

「了解~」

 御者台からルナールが調子を合わせ、ユニヴェールが口をはさむ隙もなく馬車を出立させた。ガラガラと細かい振動が身体を揺する。

「うまく助かったって、頑張ったのはあの騎士隊長だろうが。お前は何かしたのか?」

「えぇ、少しだけ」

 四人乗り馬車の対角線に勝手に腰かけた少女は、親指と人差し指で“少し”の量を示してみせ、真面目な顔をしてから腕を組む。

「ルイーゼ嬢はめでたくお幸せになりました。これで私も心置きなくココのメイドになれるというものです」

「鳥カゴの中に自ら入るか」

「ご心配なく」

 パルティータがユニヴェールの言葉を静かに否定した。

「私は色のついた夢はみないのです。今も昔も将来も」

「現実主義か」

「合理主義です」

 キッパリと言い直して短く笑うパルティータ。

「人の世がすべて檻の中だとしたら、白い牢獄と黒い鳥カゴ、どちらを選びます?」

 貴族出身だと言っていたから、両親に不本意な婚約でも押し付けられたか、どこぞの国に人質としてでも囚われていたのか──、どちらにせよこの少女はいささか行動力がありすぎたのだろう。

 聖なる光を敵にまわす、不滅の吸血鬼の屋敷へ“逃げ込もう”というのだから。

 黒の貴人は白い手袋をはめた指で自らのあごをなぞり、紅の深淵を少女に向けた。

「お前は黒い鳥カゴを選ぶのか?」

「……白い牢獄はむしろ安全ではありません」

 吸血鬼から視線を逸らされつぶやかれる言葉は独り言のようにくぐもり、彼女の口の中で転がされる。

「……何だって?」

 ユニヴェールが訊き返すと、

もちろん(ウィ)。牢獄よりも鳥カゴの方が幾分マシです」

 今度は明瞭な回答がある。

 ユニヴェールは口の端で冷たく笑った。

「──では仕方ない。ランスへ出かけてフランスの道化になってくるか」




 だが、この時ユニヴェールは気が付いていなかった。

 何故パルティータが戴冠式のことを知っていたのか、ということに。

 彼は知らなかった。

 この一連でパルティータが、ルイーゼを救ってもらったシルヴァン・レネック、ユニヴェールの戴冠式出席を叶えてもらったアンヌ・ド・ボージューから礼金を受け取り、あげくシャルロ・ド・ユニヴェールのメイドという就職口まで手に入れたのだという一石三鳥の事実を。


 そして、彼は現在もそのことを知らない。




THE END




■アンヌ・ド・ボージュー

この時点でアンヌ・ド・ボージュ-はピエール・ド・ボージュ-と結婚しており、オルレアン公ルイもまた、ジャンヌ(アンヌの妹、シャルル八世の姉)と結婚していました。

ちなみにピエールとアンヌの仲は悪くありません。


■オルレアン公ルイ

この人はシャルル八世が若くして亡くなった後、ルイ十二世としてフランス国王の座に就きます。

未亡人となったシャルル八世妃まで手に入れてしまいます。おそるべし。


■結婚と離婚

この頃はキリスト教では離婚は認められておらず、別の相手と結婚するためには以前の結婚は『無効』であるとあれやこれや教会に証明しなければいけませんでした。

婚約はするのも破棄も簡単。しかし結婚の破棄は困難でした。


2003年

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