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アダムの子  作者: ポポ
8/10

#8 魔法基礎学

壮絶な戦いの次の日、

眠い目を擦りながら通学路を歩いていた。

雲一つない晴天、春の暖かな日差しが心地いい。


「東雲君、おはようございます。」


声をかけてきたのは夏希だった。


「おはよう。」


「今日から授業始まりますね。

どんなことを勉強するのか、楽しみですね!」


「そうだな〜。」


夏希は気さくに笑顔で話してくる。

昨日の嫌な感じはしない。

話しやすいいい子みたいな感じだ。


学園に着いてからも夏希との談笑は続いた。

朝のホームルームの後、

一限目が始まる前の休み時間にかけてもだ。

ちょっとは仲良くなれたのかな。


この学園特有の雰囲気なのか、

生徒同士の交流が希薄に感じる。

もちろんタッグ同士での会話はある。

しかしグループの形成とかはまだ見られない。

入学したばかりだしこんなもんか?


「お前ら席につけ、授業始めるぞ〜。」


霧島先生の呼びかけでクラスは全員席につき、

チャイムと共に授業が始まった。

一限目の授業は魔法基礎学、

魔導士の必須科目と言える。

グレードCから上り詰めいていくためにも、

座学の知識は全て頭に叩き込むんだ。


「早速だが、今回の授業には特別講師が来ている。

入ってきてくれ。」


先生が手をこまねくと、

教室の扉を開けてその人はやってきた。

周囲がザワザワし出した。

俺と目が合うと軽く微笑みを向けてくれたその人は…


「特別講師を務めてもらう、3年の西園寺沙羅だ。

文字通りこの学園の頂点に君臨する生徒、

お前たちが目指すべき目標だ。」


「先生、そこまで言わなくても。」


「事実だろうが、謙遜してんじゃねえ。」


「むぅ。」


沙羅さんと霧島先生はかなり仲がいいようだ。

ていうか沙羅さん、教えてくれたらよかったのに。


「東雲君、すごいですよ?

西園寺先輩ですよ?」


「ああ、うん。」


隣の席の夏希が小声で話しかけてくる。

沙羅さんにキラキラした眼差しを向けている。


「魔法の実演を西園寺にしてもらう。

しっかり見てろよ?」


そうして、学園での初めての授業が始まる。


「まずは基礎の基礎だ。

マナとは何かから始めるぞ。

マナとは、簡単に言えば魔法を

使うためのエネルギーだ。」


うん、だろうな。

それくらいならなんとなく察せたよ。


「マナの中枢は脊髄だ。

人類が進化の過程で手に入れた脊髄の機能と言える。

中枢が脳でないとは、

感情に左右されないということだ。

だからこと魔法の分野においては、

火事場の馬鹿力なんて概念は存在しない。

最後にものを言うのは本人の技術・練度だ。」


「普段の鍛錬、反復練習が重要になってきますよ。」


合いの手を入れるかのように沙羅さんも口を開く。

鼻高々に教えてくれる姿がかわいらしい。


「知っての通り、消費するマナが多いほど

強い魔法を発動できる。

西園寺、実演頼む。」


「はい。

私の固有魔法は"顕現魔法"、マナを消費して魔道具、

すなわち武器を作り出す魔法です。」


沙羅さんはそう語りながら、

何もない右手から小さなピストルを作り出す。

不思議なものだ。


「今はほんの少量のマナで作りましたが、

さらに多く消費すると…」


次は先ほどとは比べ物にならない、

大きなライフル銃が現れた。

半端ねぇ…


「このように、私の魔法でも

ここまで差が生まれます。

必然的に、マナの総量が多い人ほど

強い魔法を放てる、ということになりますね。」


「うっ…」


俺平均以下なんだよなぁ…

沙羅さんに現実を突きつけられるとまぁまぁきつい。


「かといって、マナが多い奴が

必ず強いとは限らないぞ。

さっき言った通り、重要なのは練度だ。

マナの消費効率が良ければ、少ないマナで

より強い魔法を使えるようになる。

マナが少ない奴も気を落とすんじゃねぇぞ。」


(霧島先生…)


努力次第で強くなれるってことか。

俄然やる気が湧いてきた。

俺も沙羅さんに追いつけるかもしれない!


それからも授業は続いた。

始まって20分くらいで座学のやる気は消え去った。

内容が地味に難しい。

旧人類ホモ・サピエンスと現行人類の違いとか、

人類の魔法習得の通説とか、俺にはさっぱりだ。

ふと隣を見ると、夏希は目を

輝かせながら授業を受けていた。

真面目なんだろうなぁ。


それからいくつも授業を受けて、

あっという間に帰りのホームルームがやってきた。

休み時間は常に夏希が一緒で、

一人ぼっちで退屈するとかはなかった。


「以上だ、また明日。」


号令を終えてすぐ、沙羅さんと

集合しようと思ったのだが…


「東雲、ちょっといいか?」


「は、はい。」


霧島先生に呼ばれて廊下に出ると…


「20分後くらいに昇降口前に集合だ、いいな?」


「えっ、何がですか?」


「決まってんだろ、西園寺の任務一緒に行くんだろ?

俺はあいつの担当教員だから、

常に同行してるんだよ。」


「ああ、そういうことですか。」


通りで仲良いわけだ。


「ていうわけだから、しっかり準備しとけよ。

2日連続だからな、あまり無理しないようにな。」


「はい!」


沙羅さんとの任務、ただただ嬉しい。

もっと仲良くなるきっかけになるかもだし、

参考にできる、学べるところがたくさんあるだろう。

昨日の力を慣らすのにもちょうどいい。


スクールバッグを部屋に放り投げ、

すぐさま昇降口前に駆け出す。

集合の10分前だったのに、

すでに沙羅さんが待っていた。


「沙羅さん、来ました。」


「うん、準備万端だね。

あとは先生なんだけど…」


それから8分ほど経って、

集合時間ギリギリの時に霧島先生がやってきた。


「んあ?お前ら揃いも揃って早いなおい。」


「遅いですよ、まったく。」


「悪い悪い、それじゃ行くか。」


「「はい!」」


胸がドキドキする。

昨日の任務で味わった恐怖はまだ新しいけど、

今日は沙羅さんと一緒に戦える。

そう考えると自然と背筋が伸びる。


よし、頑張って沙羅さんにいいとこ見せるぞ〜!

この任務、絶対にいい活躍してやる!











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