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アダムの子  作者: ポポ
10/10

#10 ハンティング

目の前の女を視界に入れたまま、

俺は昨日の感覚を思い出す。

悪魔と対峙した時の爆発的な身体能力を、今ここで…


両足に目一杯力を込め、強く地面を蹴り出す。

驚異的な速度で急接近して拳を振るったのだが…


「あれっ?」


神代みよりはいとも簡単に回避してみせた。

余裕を持った少ない動作で。


「君すごいね、魔法使ってないでしょ?」


「だったらなんだ。」


「ふふ、興味が湧いてきちゃったぞ〜。」


その女は不気味な笑みを浮かべ、

やらしい手つきを見せつけてくる。


(なんなんだこいつは…)


ふとした瞬間、気づかぬうちに

その女は姿を消していた。

足音を立てず、一切の気配を消して。


(ちっ!どこにいった、どこからだ。)


「私のことは教えたのに、

君は教えてくれないんだ。

ずるいな〜。」


「っ!?」


どこからともなく話しかけてくる。

周囲を見渡しても依然として姿は見えない。

四方六方から声が響き、場所を特定できない。


「君の名前は?」


「…言わない。」


「ええ〜、酷〜い。

仲良くしようよ〜。」


距離の詰め方どうなってんだ。

何がしたいんだよこいつは。


「わぁっ!」


「っ!?」


いつのまにか背後を奪われ、

隙をつかれて地面に押し倒されてしまった。

振り解こうとしてもまったく敵わない。


(俺の力を上回ってる…!?

いや、力の使い方か?)


「離せ…!」


「や〜だよ。君面白いからさ、

ちょっと味見させてもらっちゃおうかな!」


「何言ってんだお前…」


その女は俺の脇腹に手を回し、

手のひらで滑らせるように触ってくる。

物色するかのような手つきで気味が悪い。


「ほほぉ、男の子らしい

がっしりした体つきですなぁ。」


「キッモ!」


「それで、君の名前は?

早めに答えないと、

どんなことされるかわからないよ?」


「はっ、何するんだよ。」


「君の全身をお触りして〜、

弱いとこ見つけちゃうぞ〜?」


そう言いながら腹から背中まで手を回してくる。

反撃しようにも完全に腕を封じられ、

身動きが取れない。


「ほら、早く言いなよ。

次はお尻だぞ〜?」


「東雲、迅……」


「迅君って言うんだ。

教えてくれてありがと〜!」


そう言って女は俺の尻をガシガシと揉んでくる。

こいつマジでなんなんだよ!

ただのセクハラ野郎じゃねえか!


「ねぇねぇ君、アルカナに来ない?

君の力は特別だよ?

学園で学んでも伸ばせるかわからないよ?」


「やだね、学園で無理なら

お前らなんて尚更無理だろ。」


「確かに。

どうしよ、完全論破されちゃった。」


女の手つきがエスカレートしていく。

どんどん過激に、様々な部位を触れてくる。

指先で滑らせてくるのがくすぐったくて仕方ない。


「…いい加減に、しろ!!」


「うぇっ!?」


周囲に爆音が響き渡る。

俺は地面に頭を叩きつけ、

床のフローリングを砕き、その衝撃で抜け出す。


「ふぅ、ふぅ…」


「大丈夫?おでこ真っ赤になっちゃって。」


額から血が流れて口につたり、

口の中に鉄の味が広がっていく。


「この変態女が。」


「人間みんな変態だよ?私は隠さないだけでさ。

やっぱりお尻は女の子の方が柔らかくていいね。

君のお腹は素敵だったよ?」


「感想言ってくんな気持ち悪い!

真面目に戦え!」


俺の言葉を聞いて、女は関節を鳴らし始めた。

ポキポキと静かな空間に鳴り響くのが不気味だ。


「いいよ?お望み通り…」


女は唐突にステップを踏み出し、

ゆっくりと俺に近づいてくる。


「なんだ、何してる。」


「私ね、カポエイラやっててさ。

戦う時はこんな感じなの!」


言葉と同時に脚が眼前にまで迫ってきた。

瞬時に両手を床につき、

逆立ちして回し蹴りを仕掛けてくる。

俺は咄嗟のことに対処できず

正面から喰らってしまう。


「がっ!」


重い重い一撃だった。

一瞬脳が揺れて視界がぼやける。


「ぐっ、くぅ…」


「大丈夫〜?

まだたったの一発だけど〜?」


足元がおぼつかない。

素人目でもわかる。

こいつはかなりできる。

達人級か?


神代みよりとの戦いは激化していく。



ーーーーーーーーーー



「…………」


迅君が連れて行かれてすぐ、

前方の二人が容赦なく襲いかかってくる。

私の敵ではない。


「助けて、くれ…」


「ん?」


「頼む、殺さないでくれ…」


「なるほど、そういうことね。」


さっきの男の様子を見て

覚えた違和感の正体はこれね。

ここまでの3人のクリミナルは誰かに操られてる。

もしかしたらさっき迅君を攫った奴が?

いや、だったらわざわざ出向いてこないはず。

なら今回の黒幕は他にいる。


「お二人とも、あなたたちを操る者の居場所は?」


「言えない、言ったら殺される。」


二人の体は私への殺意に満ちているけれど、

表情が全てを物語っている。

命を手玉に取られている際の恐怖。

とめどなく冷や汗が流れ出て目が虚。

震えた声でなんとか言葉を紡いでいる。


「わかりました、すぐに助け…」


「その必要はない。」


私の言葉を遮って、

一人の男が奥から歩いてきた。

黒いフードに身を包み、

不気味なホワイトマスクをつけている。

その背後には大勢の一般人、おそらく人質だろう。


「何者?」


「バレたくないから隠しているんだろう?」


「それはそうかもね。

でも残念、私が相手じゃその努力も無駄だよ?」


「それはどうかな…?」


男が手を前にかざすと、

背後の人質たちが前に出て男を覆い隠す。


「洗脳を解きたければ俺を殺してみろ。

その前にこいつらが相手だがな。」


「卑劣な人…」


私とクリミナルとの全面対決が幕を開ける。






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