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day 11 ピアノ + ピザ

day 11 ピアノ + ピザ


ストーリーアイデア:


1. ピアニスト VS セクター8


それは、太古の昔から存在していた。


北極点のただ中に、天を突くようにそびえ立つ巨大な塔。その頂上には、たった一人のピアニストがいた。彼は有史以前からただの一度も演奏をやめることなく弾き続け、その巨大な音波の幕は惑星全体を覆っていた。


西暦2800年。世界各国の政府は、北極に眠る膨大な資源を手に入れるため、大規模な占領作戦を開始した。作戦名は「ピザ」。8つの方向からくさび形の磁気浮上セクターを同時に押し込み、物資と兵力を展開して北極を完全封鎖するための作戦だった。


8つのセクターが北極を取り囲み、占領が始まった瞬間、塔の頂のピアニストは演奏をさらに激しく掻き鳴らした。そして、かつて誰も目にしたことのない巨大な魔法陣が、音波の幕の上にゆっくりと展開し始めた。


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2. ポケットフード


ようこそ、ポケットフード・ワールドへ。


ここでは、人々が自ら育てた農作物をペットにすることができる。ペットになった農作物たちは主人の様々な仕事を手伝い、時には他のポケットフードと激しく競い合う。


ところがある日、農作物ではなく「調理された食べ物」をペットにして人々を苦しめる集団が現れた。その名も「フード団」。彼らはピーマン、トマト、小麦などを合成してピザペットを生み出すなど、非倫理的な実験を次々と行った。怒りを募らせた人々は、一人また一人と集まり、フード団に立ち向かい始めた。


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3. 感情を表現できない少女とピアノ


その子は、感情を表現することができなかった。


喜びも、悲しみも、怒りも――心の中ではすべてを感じていた。けれど、外には何も出せなかった。少女は全身麻痺の患者だった。わずかに右腕だけを動かすことができた彼女は、キーボードで自分の考えを伝えることはできた。しかし感情だけは、どんな方法を使っても外へ出す術がなかった。


ある午後、病院の窓の外から静かなピアノの音が流れてきた。少女は介護人に頼み、車椅子でその音のする方へ向かった。小さなピアノが置かれていたのは、子どもたちのために設けられた遊び部屋だった。どこからかピザの香りがほのかに漂っているところをみると、さっきまで遊んでいた子たちはお腹が空いて席を外したようだった。


少女は思わず手を伸ばし、鍵盤に触れた。ゆっくりと、一音一音。弾き始めると、長い間閉じ込められていた感情たちが、指先を通って静かに流れ出してきた。久しぶりに自分の感情を世界に解き放った少女は、幸せを感じながら、鍵盤を叩き続けた。


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4. ピザでできたピアノと演奏者


彼は、ピアノを愛していた。


演奏用のグランドピアノはもちろん、小さな模型も、壁に掛かった絵の中のピアノも、すべてが彼にとって大切なものだった。その愛は演奏にそのまま宿り、彼はついに世界最高のピアニストとなった。


ある日、彼は何者かによって意識を失った。目を覚ますと、四方は真っ白な密室だった。部屋の中には蛇口とトイレ、そしてピザでできたピアノが一台あった。鍵盤はピザ生地で、弦はチーズで作られた――精巧で、どこか不思議な美しさを持つピアノだった。半信半疑で鍵盤を押してみると、鈍いながらも確かなピアノの音が鳴り響いた。ピザの香りが部屋中に広がり始めた。


一日が過ぎ、二日が過ぎた。空腹は限界に近づいていたが、彼はピアノに手をつけることができなかった。四日目、ついに生地を一切れちぎって口に入れた。その味は、夢のようにうまかった。感動を演奏に込めようと鍵盤を叩いた瞬間、彼は気づいた――生地をちぎった場所の鍵盤が、消えていることに。


そうして一ヶ月が過ぎた。毎日演奏し、生き延びるために毎日少しずつ食べた。ピアノは少しずつ減っていき、彼の精神もそれとともに崩れていった。愛するものを飲み込まなければ生きられない運命。その矛盾の中で、彼はゆっくりと絶望していった。


そして一年が経ったある日、最後の一切れを飲み込んだ。


すべてがなくなった静寂の中で、彼は悟った。ピアノが消えたのではない。自分とピアノが一つになったのだと。彼は目を閉じ、自らを通して演奏を始めた。

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