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僕が私になるまで  作者: 海丸ひとつ


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7/25

告白

正月、世間は晴れやかだった。テレビの中では徹夜のタレントが餅をつき、歌姫が昨年のヒットソングを熱唱していた。


しかし僕の気持ちは、年が明けても沈んだままだった。

両親は元気のない僕の様子を心配してくれた。

きっと、受験のストレスで落ち込んでいると思っていたんだろう。

勉強すると言って部屋に閉じこもる僕に、

「正月くらい、休んだらどうだ?体を壊すぞ。」

と、珍しく父まで気遣って声を掛けてくれた。


あれから僕は、咲に謝るどころか、話しかけることもできずにいた。

勉強も手につかず、冬の寒さも増して世界が灰色に見えていた。


長かった冬休みが明け、学校に行った。

“あの出来事”から、咲が松本君と話す姿は見ていない。


「あけまして、おめでとーございます!」

木島が、やけに明るく律儀な挨拶をしてきた。僕は軽く年始の挨拶を返した。

「なんだよ、素っ気ないな。咲も最近元気ないしさ。何かあった?」

木島は相変わらず感がいい。

どうせ隠してもバレるだろう。

僕は年末の“あの出来事”のことを打ち明けた。

「あーそれは、和葉が悪いわ。騒いでた咲の方も悪いけどね。和葉から早く謝ったほうがいいよ?」

木島はもっともなことを言う。でもそれが出来たらこんなに悩まない。

「さっさと謝ってさ、また元通りに仲良しになりなよ!でも珍しいね、和葉がそんなに引きずるの。」

友のそんな言葉が、僕の背中を少し押してくれた。


学校からの帰り掛け、咲の姿を見かけた。

一人で帰路につく彼女の背中が、やけに小さく見えた。

自然に駆け足になって、彼女を追いかけた。

「咲!!」

息を切らして、呼び止めた。

振り返る彼女の顔を、久々に見た気がした。

「咲ごめん、あの、急いでたらまた今度で良いんだけど、ちょっと話を聞いて欲しくて――」

「うん、いいよ?」

彼女の声も久々だ。

「あのさ、年末のことなんだけど、もしかして咲の事、傷つけたかなって...」

「私は大丈夫だよ?でもカズはさ、私のこと嫌いなんでしょ?」

「嫌いだなんて...」

あの言葉は、咲にどのように届いてしまったのだろう。想像以上に彼女を傷付けてしまっていた。

「無理に私と一緒にいてくれなくていいよ。嫌いなら。」

こんな冷たい表情でしゃべる彼女を知らない。僕は焦った。

「違う!」

もう嫌われてもいい。せめて僕の気持ちだけでも誤解を解きたい――


「好きだよ。僕は、咲のことが好きだ。」


時が止まった気がした。

足が震えた。

夕暮れ時の街の音は、心臓の音でかき消された。


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