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僕が私になるまで  作者: 海丸ひとつ


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3/25

出会

海堂先輩とは結局、近づくことも嫌われることもなく月日が流れていった。


2年生の夏、満を持して挑んだ県大会で僕らは奇しくも三位入賞に終わった。

下馬評通りなら本来優勝し、全国大会出場の切符を手にしているはずだった。

そして、海堂先輩含め3年生は引退した。


先輩たちが去ったあとの体育館はやけに広く、寒く感じた。

胸に小さな穴が空いたような夏の終わりだった。


時が経ち、僕は高校に進学した。

勉強は好きな方だったので、近所の進学校に進んだ。

高校は校舎も中庭も、中学校より一回り大きくてわくわくした。

でも体育館だけは、同じ大きさだった。

僕は高校では部活に入らないつもりでいた。

ところが、中学から一緒に進学してきた木島に猛烈に誘われ、ここでもバスケ部に入部することにした。


「和葉はチームを裏で支えるのがうまいんだよ。影の大黒柱だよ。」

と木島は調子のいいことを言う。


「影だの裏だの、それ褒めてんの?木島はいいよな。バスケうまいしスタメンだったし。」

僕は口を尖らせてみせた。

実際、木島は中学でエースだった。

背は高くないが、遠方からのシュートが良く入るのでチームの得点源だった。


放課後、2人でバスケ部の見学に行くことにした。

僕はそこで、忘れられない出会いをすることになる。


まだ春風の心地よい、さわやかな体育館。部員の掛け声と、バッシュの床を蹴る音。

(帰ってきた!)

そんな懐かしいような、不思議な感覚に胸が温かくなった。


ふと横を見ると、同じく見学に来たと思われる女の子がいた。

目が合った。


「あのー、先輩ですか?」

その子が聞いてきた。

「いや、1年生です。」

僕が答える。

その子は視線を木島に移し、

「あ!もしかして、北中?」

と尋ねてきた。

「正解!え、なんで分かったの?」

驚きだ。僕らは市立北中出身だ。

「そちらの木島さんを県大会や国体でよく見かけたから。」

木島よ、有名人じゃないか。

当の木島はその子をじっと見て...

「あ!もしかして東中のサクラさん?」

木島は覚えがあるようだ。

サクラさんはコクンと頷いた。


後で聞いたが、彼女は市立東中の副キャプテンだったそうだ。

名は佐倉咲。

笑うとエクボが可愛い、気の強い小柄な女の子だった。

正直に言おう。僕はこの時、彼女に一目惚れをしていた。


こんなに可愛い子、なんで今まで気づかなかったんだろう?

中学の試合で見かけているはずなのに。


そして木島に言われた。

「和葉は視野が狭いんだよ。和葉と佐倉さん同じクラスだよ?」


本当だった。

僕は新しいクラスに中学の知り合いがおらず、隣の席になった子となんとか友達になれたが、他の人はまだ名前も顔も分からなかった。


佐倉さんは弾けるように明るくて、すぐにクラスの賑やかグループの中心になった。

対して僕は、少人数で静かに過ごす方が落ち着くタイプだった。

同じクラスなのに、世界がまるで違う——そんな気がした。

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