エピローグ〜かなみちゃんの日記〜
静かな部屋で、かなみちゃんは震える手でノートにペンを走らせる。涙がページを滲ませる。
「あの日、たー君が私を助けてくれた。でも、暴力は間違ってた。私が弱かったから...みんなを巻き込んでしまった。たー君は私のために傷ついて...私は自分が許せない。でも...たー君は私を見捨てなかった。それなのに私は...」
ペンが止まり、涙が文字を滲ませる。
「たー君...私は...あなたに謝りたい...」
小さな声で続ける。
「たー君は...優しい人。私のために怒ってくれた。でも...暴力は怖かった。本当は...私のことを想ってくれてたのに、私は...」
涙を拭いながら、かなみちゃんは書く。
「たー君の優しさを、ちゃんと受け止められなかった...私が悪いの」
「あの事件の後...学校はしばらく休校になった。いじめっ子たちは転校した。でも私は...教室に戻れない。たー君がいない教室なんて...」
ペンを強く握りしめ、こう書く。
「私が...全部壊してしまった」
ページをめくり、続ける。
「噂では、たー君は別の学校に転校したって...私のせいで人生が変わってしまった...今でも夢に見る...あの日のことを...」
手が震え、文字が読めなくなる。だが、かなみちゃんは丁寧に書き続ける。
「孤独だった私を、たー君は命がけで救おうとしてくれた。でも私は...その優しさに応えられなかった。暴力は間違いだったけど、たー君の気持ちは痛いほど分かる。私たちは、お互いを傷つけ合ってしまった。でも、あの日のたー君の涙を見て、初めて気付いたの。本当の強さとは、暴力じゃないってことを...」
窓の外を見つめながら、呟く。
「たー君...今でも会いたい。許してもらえなくても、謝りたい。私の弱さが、あなたを傷つけてしまった...」
最後に、評価用紙にこう書く。
「暴力で解決しようとしたたー君も間違っていた。でも、私の孤独に初めて気付いてくれた人でもあった。物語は、暴力の連鎖と、それを止められない主人公の葛藤を描いている。社会の中の弱者と強者の関係性、そしてその狭間で揺れる人間の弱さが印象的。最後まで救いのない結末だけど、この作品は『暴力の連鎖』という重いテーマを、孤独な少女と正義の少年の対比を通して描ききっている」
評価用紙を閉じ、かなみちゃんは呟く。
「暴力は新しい暴力を生むだけ...か」




