第一章〜たー君、参上なのだ!〜
校庭の片隅、薄暗い体育倉庫の裏。そこでは、かなみちゃんが震えながらうずくまっていた。彼女の周りには、数人の女子生徒が取り囲み、冷ややかな笑みを浮かべていた。
「ふん、かなみなんていつも地味でキモいよね~」
と、リーダーの美奈子が嘲る。かなみちゃんはただ唇を噛み、涙をこらえながら呟いた。
「誰も見てくれない...」
その時、突如として現れたのは、天真爛漫で元気いっぱいの男の子、たー君なのだ!
「お前達何やっているのだ!!弱い者に暴力を振るうだなんて、たー君は許さないのだ!!」
その声は校庭中に響き渡り、まるでヒーロー映画の登場シーンさながら!
かなみちゃんは震える声で、目を潤ませながら訴えた。
「たー君...本当に...私のこと、助けてくれるの...?」
その声に、たー君の正義の炎がメラメラと燃え上がる!
「お前達もかなみちゃんの痛みを思い知れなのだ!!たー君パーンチ!!」
ドカッ!バキッ!
たー君の右ストレートが、苛めっ子たちの顔面に炸裂!一瞬にして二、三人が吹っ飛んだ!
「た、たー君...暴力はダメ...!私のために傷つかないで...!」
かなみちゃんは驚きと恐怖で目を見開き、必死に叫ぶ。しかし、たー君の勢いは止まらない!
「お前がリーダーの美奈子か!!お前が一番の悪人か!?たー君パーンチ!!」
ズガーン!
美奈子の顔面に強烈な一撃!美奈子は地面に叩きつけられ、ギャーっと悲鳴を上げる!
「やめて...たー君...もう十分です...私、こんな喧嘩見てられない...」
かなみちゃんは怯えながら美奈子に近づき、必死に止める。しかし、たー君の正義の鉄槌は止まらない!
「ごめんなさいするのだ!!これがかなみちゃんの受けた苦しみなのだ!!たー君パンチ!!たー君パンチ!!」
バキバキ!
たー君は美奈子に馬乗りになり、顔面を殴り続ける!
かなみちゃんはたー君の腕を掴み、涙ながらに叫ぶ。
「もうやめて!私が許すから...これ以上傷つけないで!」
だが、たー君の目は燃えていた。
「そこのお前!?何逃げようとしているのだ!!お前も同罪なのだ!!たー君キック!!」
ドゴッ!
逃げようとした苛めっ子の真希に、たー君のキックが炸裂!真希は地面に転がる!
「もうやめて!私をいじめてたのは全部私が悪いの!だから...!」
かなみちゃんは真希を庇うように立ちはだかる。真希は震えながら命乞い。
「私は美奈子に苛められるのが怖かっただけ……!」
その言葉に、たー君の動きがピタリと止まる。
「何ぃ!?自分が怖いからって、かなみちゃんを苛めていい理由にはならないのだ!!お前も同罪だ!!たー君パーンチ!!」
バキバキ!
たー君は真希にも馬乗りになり、拳を振り下ろす!
「やめて!私が全部悪いの!私が...私がみんなを誘ったの!だから...もう許して!」
かなみちゃんはたー君の背中に抱きつき、泣き叫ぶ。そこに、体育教師がドタドタと駆けつけてきた。
「何だこの騒ぎは!?」
たー君は振り返り、血走った目で叫ぶ。
「先生!?たー君は今正義の鉄槌を下しているのだ!!たー君の邪魔をするななのだ!!」
「先生!私が悪いんです!たー君は私を助けてくれただけ...!罰するなら私を...!」
かなみちゃんは泣き崩れながら訴える。しかし、たー君の怒りは教師にも向かう!
「そもそもお前達が最初に苛めを何とかしてればこんな事にはならなかったのだ!!お前も同罪!!たー君パーンチ!!」
バキッ!
教師の顔面にも右ストレートが炸裂!
「うおおぉぉ!!たー君パーンチ!!たー君パンチなのだ!!」
たー君は血塗れになりながら、教師に馬乗りで殴り続ける!
「もうやめて!私が全部悪かった!私が...私が死んでもいいから...!」
かなみちゃんはたー君の体に抱きつき、泣き叫ぶ。だが、その声も虚しく、騒ぎは収まらなかった。
そして――たー君は逮捕された。