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080. それぞれの魔導通信アクセサリー

3月21日一回目の投稿です

 その場に楽しげな雰囲気が広がるなか、ツムギはふと考えた。


 せっかく作るなら、もっとみんなの希望を聞いて、よりぴったりなものにできたら——。

 そう思い立ち、ツムギは少し前のめりになりながら提案した。


「もしよかったら、好みを聞きながら作るのはどうですか?」


 すると、リナとイリアがすぐに顔を見合わせ——。


「それはいい! うち、せっかくならおしゃれなデザインがええな〜」

「私も、せっかくなら実用的でありつつ、品のあるデザインがいいわね」


 二人は早速どんな形にするか考え始め、ツムギは嬉しそうに頷いた。


「じゃあ、素材とかも見ながら決めましょう!」


 そう言って準備を始めたところ、ジンが手を組みながらじっとこちらを見ていた。


「……俺のも早めに作ってくれないか?」


 ツムギが驚くと、ジンは少し頬をかきながら、気まずそうに視線をそらす。


「いや、ハルからツムギが帰れないって聞いてさ……お前、結構あちこち動き回るし、何かあったらすぐに連絡できるようにしときたいんだよ」


 ツムギは一瞬驚いた後、心配しているジンの姿を思い浮かべ、少しの申し訳なさと共に、ほわっと胸が温かくなるのを感じた。


「そっか……うん、わかった! お母さんの分と一緒に今作るね!」


「助かる」


 ジンは満足げに頷いた。


「……あっ!そういえば、バルド先生の分も頼まれてたんだった!バルド先生、すごく欲しがってて……どうせだから、一緒に作ることにするね」


「ははっ、バルドさんがなぁ。そんなに欲しがるってことは、よっぽどツムギの創術が気に入ったんだな」


 ジンが笑うと、イリアも微笑んだ。


「またひとり、ツムギの作るものの虜になったわね」


 ツムギは少し照れながら、嬉しそうに笑う。


「バルド先生、ツムギの魔道具が予想外の変化をするから楽しいんだろうな……」

ジンはふっと笑みを浮かべ、懐かしそうに続けた。

「昔から、ああ見えて魔道具には目がなかったからな。ツムギと一緒にいじれるのが、きっと嬉しくてしかたがないんだな」


 その言葉に、ツムギも嬉しそうに頷いた。

「そうなんだよ! それでね……」

 少し照れたように笑いながら、ツムギは言葉を継ぐ。

「バルド先生、『ジンは子供みたいなもんだから、お前は孫だ』って言ってくれて……それに、弟子部屋をツムギ部屋にしてくれたんだよ」


 ツムギの嬉しそうな顔を見て、ジンはしばらく黙っていたが、やがて静かに微笑んだ。


「そっか……それは良かったな」


 すると、ぽてを抱きながら黙って話を聞いていたハルが急にソワソワしだした。


「僕もツムギお姉ちゃんの作るもの、手伝いたい! 何かできることある?」


ハルの自分も一緒に何かしたいと意気込んでいる表情に、ツムギは思わず微笑んだ。


「もちろん! じゃあ、一緒に素材を選んでもらおうかな? それに、ハルくんの意見も聞きながらデザインを決めたら楽しそう!」


 ハルは嬉しそうに頷いた。

 こうして、ツムギの提案がきっかけで、工房の中はすっかり制作ムードに包まれた。


 各々の好みを話し合いながら、素材やデザインを決めていく過程は、まるでお祭りの準備をしているような賑やかさだった。


 ツムギはふと手を止めて、工房の光景を見渡した。


 お父さん、お母さん、バルド先生、イリアさん、リナさん、——みんなのために作る。


「……作る時間も、やっぱり楽しいな」


 心がぽかぽかと温かくなるのを感じながら、ツムギは創術の準備に取り掛かった。

 みんなの意見を取り入れた結果、それぞれのデザインが決まった。


***


⚫︎ イリア


アタッチメントサイズ 直径 2センチ(指輪として使うため)

デザインの希望 上品で洗練されたデザイン。華美すぎず、シンプルな気品を感じさせるもの。

素材 透輝液 をメインに、金属のフレームで囲い、細かな装飾を施す。

カラー 薄く琥珀がかった透明感のある輝き。

こだわり 仕事の場でもつけられるよう、指に馴染む落ち着いたデザインに。


⚫︎ リナ


アタッチメントサイズ 直径 2センチ(指輪として使うため)

デザインの希望 元気で活発なイメージを持たせつつ、可愛らしさもあるデザイン。

素材 透輝液 × 魔苔 を組み合わせ、ほんのりと優しい緑の輝きを持たせる。

カラー 動くたびに光の加減で変化する、元気な印象のグラデーションカラー。

こだわり 「じっとしてる時より、動いた時に可愛く見える感じ!」とリナらしいこだわり。


⚫︎ ジン


アタッチメントサイズ 直径 3センチ(ループタイとして使うため)

デザインの希望 シンプルかつ堅牢なデザイン。職人らしく、無駄な装飾は省き、使いやすさ重視。

素材 透輝液 × 月影石 を組み合わせ、夜にほんのり光る仕様。

カラー 深みのあるブルーグレー。

こだわり 「夜作業するときに手元が少し明るくなると便利」と実用性重視。


⚫︎ ノア


アタッチメントサイズ 直径 2センチ(ペンダントとして使うため)

デザインの希望 優しく温かみのあるデザイン。ツムギの母らしく、柔らかい印象を大切に。

素材 透輝液 × フェンネルコットンの繊維 を封じ込め、ふんわりとした優しい光を持たせる。

カラー 淡いミルキーゴールドの優しい輝き。

こだわり 「ぽてみたいなネックレス」というリクエストに、ツムギが「お母さんとぽてのイメージを合わせたデザインにしよう!」と意気込む。


⚫︎ バルド先生


アタッチメントサイズ 直径 3センチ(ループタイとして使うため)

デザインの希望 重厚感があり、堂々としたデザイン。しかし職人らしい無骨さも大切に。

素材 透輝液 × 魔導金属 を組み合わせ、耐久性を高めつつ、わずかに魔力を通す性質を持たせる。

カラー 深みのある黒鉄色に、わずかに赤みを帯びた光沢。

こだわり 「ジンとノアとお揃いっぽく」と言っていたことを反映し、さりげなく統一感を持たせたデザインに。


***


 それぞれの要望をまとめながら、ツムギはノートにデザイン案を描き込んでいく。


「こうして見ると、みんなの個性が出てて面白いなぁ……!」


 ぽても「ぽぺぺ!(たのしいね!)」とツムギの肩の上で嬉しそうに揺れていた。

今日も最後まで読んでくれてありがとうございます。

明日は夜(22時〜23時)に更新予定です。 また遊びに来てもらえたら嬉しいです。


ついに昨日、第一章を書き終えることができました。

一区切りとして読んでもすっきり楽しんでいただけるよう、意識して仕上げています。もう少し先になりますが、今から投稿するのがとても楽しみです。


「完結」と言っていいのか迷うところではありますが、ここまで書き進めることができたのは、拙い文章にもかかわらず読んでくださった皆さんや、ブックマーク・評価・アクションなどで応援してくださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。


実はすでに第二章も少しずつ書き始めています。

第一章が終わっても、ちらっと覗いていただけたら嬉しいです。


では、第一章完結までもう少しお付き合いいただければ幸いです。

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