電気少年スパーク
スパークは、子供の頃に雷に打たれたことで、驚異的な能力を持つことになった。普通の人間には考えられないような力を持ちながら、彼の心は常に孤独だった。人々に恐れられ、避けられ、彼の体から漏れる微弱な電流が触れるだけで誰かが痺れてしまうことを心配していた。
ある日の放課後、スパークは学校の裏庭で不良たちが一人の少年をいじめているのを目撃した。少年は必死に抵抗していたが、何もできずに地面に倒れこんでいた。その瞬間、スパークは心の中で何かが弾けるのを感じた。
「もう、見て見ぬふりはできない!」
彼は無意識のうちに自分の体を使って不良たちを撃退した。指先から放たれる電気が不良たちに触れ、次々と痺れて倒れた。
助けられた少年はスパークに感謝の言葉を投げかけた。
「ありがとう…君、すごい力を持ってるんだね。」
その瞬間、スパークの胸が温かくなるのを感じた。しかし、それも束の間のことだった。不良たちはただでは済まさない。彼らは自分たちが無力だと認めるわけにはいかない。そして、スパークの存在が許せなかった。
次の日、スパークは何も知らずに学校に登校した。だが、すぐに異変に気づく。背後から黒いゴムの袋が頭にかけられ、手錠がガチャリと音を立ててかけられた。スパークはすぐに抵抗しようとしたが、周囲の不良たちに取り囲まれ、廃墟に連れて行かれた。
廃墟に着くと、不良たちはスパークに対してさらに残虐なことを考えついていた。全身を覆うゴムスーツを持ち出し、それをスパークに着せようとした。ゴムのスーツは電気を通さないため、スパークの能力を封じ込めることができる。スパークは自分が無力になることを嫌っていたが、何もできない自分に歯がゆさを感じていた。
その時、突然、足音が響き渡った。振り返ると、あの日助けた少年が現れた。少年は無言でポケットからライターを取り出すと、静かに火を灯した。そして、何も言わずにライターをスプリンクラーの近くに向けた。
火花がスプリンクラーに引火すると、瞬時に廃墟の天井から大量の水が降り注いできた。不良たちは慌てて身をよじったが、水浸しになって動けなくなった。スパークはその瞬間を見逃さなかった。
「ナイスだ!」
スパークは自分の体から電気を一気に放出した。体内の電流が一気に放たれ、ゴムスーツの外からでも十分な威力を発揮した。水に濡れた不良たちは次々と痙攣し、ついには倒れこみ、気絶してしまった。
スパークは少年に向かって歩み寄り、心から感謝の言葉をかけた。
「ありがとう、君がいなければ…」
少年は笑顔を見せながら言った。
「もちろんさ。」
そして、二人は手をしっかりと握り、互いに笑顔で言った。
「これから、友達になろう。」