モクモク草は投げられた
ラリーたちは、レオがケルベロスの頭を切り落とした瞬間を目撃して、思わず息を呑んだ。ケルベロスの巨大な頭が地面に落ちる音が響き、しばらく静寂が広がった。しかし、その静寂も長くは続かず、ラリーが焚き火に投げ入れた大量のモクモク草が、瞬く間に炎を巻き上げ、広間全体を煙で覆い尽くし始めた。
「なんてこった……!」ラリーは頭を抱えながら叫んだ。「くそ!レオにモクモク草が効かないんじゃ、こんなことやっても意味なかったじゃないか!チクショー、勿体無いことした!」悔しさが込み上げてくる。
しかし、隣でリアナがケムリが立ちこめていく中ギリギリ状況を見ていた。「でも、見て、ラリー!」彼女が指を指した先には、ケムリに包まれたケルベロスがいた。巨大な三つ首の獣は、視界を完全に失い、さらに強まる酩酊感に襲われて混乱していた。地面を蹴り上げ、吠えながら暴れ出し、柱や壁を次々と破壊していく。
「おお、そうか!」ラリーは顔を上げた。「ケルベロスには効いてる!これで奴を倒せば宝石は俺たちのものだ!」
しかし、そう簡単にはいかない。レオは追撃をかけようとケルベロスを追っていたが、モクモク草の煙がさらに濃くなり、彼の視界を完全に奪った。周囲は真っ白な霧のような状態に変わり、レオは剣を構えたまま、どこにケルベロスがいるのかわからなくなってしまった。「くそっ、見えねぇ!」彼の苛立ちが聞こえる。
一方で、リリスたちのチームもまた煙に巻き込まれ、障壁の外で足止めを食らっていた。「これでは戦えません……!」リリスは眉をひそめ、仲間たちに指示を出しつつも、モクモク草の煙を避けることに専念していた。
その時だった。突然、ラリーたちの前に何かが吹っ飛ばされ、ゴロゴロと転がってきた。それはジョンだった。ケルベロスの攻撃を何度も受け、回復魔法で耐えていたものの、さすがに彼の体は限界に近づいていた。それでも、彼の表情は穏やかで、まるでモクモク草の影響で痛みも感じていないかのようだった。
「ううっ……ううっ……」ジョンは呟きながら、ぼんやりとした表情で空を見上げていた。
「こ、これ、チャンスだ!」ラリーは叫び、すかさず覚醒草を齧った。苦い味が口に広がり、目の前の視界がクリアになっていく。リアナもダンも同時に覚醒草を口にし、頭を振って意識を取り戻した。
「急げ!ジョンから宝石を奪え!」ラリーは手早く行動に移り、転がっているジョンに駆け寄ると、その服を掴んで引き剥がした。ジョンは全く抵抗することなく、ぼんやりとした目でラリーたちを見上げていた。
「見つけた!」ラリーはジョンの隠しポケットから宝石を取り出すと、ニヤリと笑った。「よし!これで決勝戦への切符を手に入れたぞ!」
リアナは呆れたようにため息をつきながらも、「まったく、これで終わりじゃないんだからね。気を抜かないでよ」とラリーに釘を刺した。
ダンは黙って頷きながら、次の行動を考えているようだった。
「さぁ、ここからが本番だ!」ラリーはリアナとダンを見渡し、意気揚々とその場を離れる準備を始めた。ケルベロスが暴れ続け、煙が充満する混乱の中、彼らは決勝戦への道を切り開くために、ケムリの中を突き進む




