残念な英雄登場
ケルベロスとの激闘が続く中、ラリーたちは壁の隙間から様子を窺っていた。ジョンがケルベロスに吹き飛ばされるたびに、彼の微笑みが消えないのを見て、ラリーは思わず笑みをこぼした。
「なぁ、このままジョンたちが強制敗退してくれれば、俺たちも決勝戦に進めるんじゃないか?」とラリーが声をひそめて提案する。
リアナは目を輝かせ、「ラリー天才!確かに、リリスたちも魔力にはまだ余裕があるみたいだし、モクモク草のケムリが消えたところで酩酊しているケルベロスを倒せば、宝石を手に入れられるわ!」と同意する。
「それに、ジョンたちがこのまま敗退すれば、あの宝石がもう一個余る。その宝石を俺たちが手に入れれば、決勝戦に行けるかもしれない!」と、ラリーがさらに嬉しそうに続けた。
「じゃあ、ケルベロスを応援するか!」と、リアナが意気込み、ラリー、リアナ、そしてダンの3人は壁の隙間から身を乗り出し、ケルベロスを応援し始めた。
「頑張れ、ケルベロス!もっとやれ!」と、声を上げて応援するラリーたち。しかしその様子に気づいたリリスが、離れた場所から彼らを見つめる。
「あれ?あの人たちも何なんでしょうか…あんなところの壁の隙間に隠れていたんですね。そして、モクモク草を燃やしたのも彼らみたいです…まさか真っ当な実力勝負のために探し当てた強力な魔物の宝石ルートでこんなことになるなんて…。」と、リリスが呆れた様子でつぶやいた。
調子に乗ったラリーたちは、さらにもう一個モクモク草を追加し、煙をさらに増やそうとした。その瞬間、広間に衝撃的な光景が映し出された。
先ほどまでエリックたちと一緒に寝っ転がっていたレオが、何事もなかったかのように普通に立ち上がり、剣を抜いてケルベロスの頭を一つ切り落としたのだ。
ラリーたちは目を見張り、驚きで口を開けた。「なんだい、なんだい、みんなで楽しくピクニック気分ごっこかと思ったら、巨大な犬がやってきてジョンを吹っ飛ばし始めたじゃないか!てっきり微笑んでるかと思ったら、どうやら遊びじゃないらしいな!」レオはそう言いながら歯をキラリと光らせ、「俺に任せておいてくれ!」と自信満々に言い放った。
「な、なぜアイツは動けるんだ…?」と、ラリーが混乱しながらつぶやく。
実は、レオには生まれながらにして毒物無効という特異体質があったのだ。それにより、モクモク草の煙の影響を受けず、ケルベロスに立ち向かうことができた。ここまでの戦闘で、レオはチーム騎士団の仲間が幻覚に囚われていることに気づかず、ただふざけているだけだと思っていたのだった。
しかし、その無自覚なあまりにアホすぎるアタマと無駄な戦闘能力が彼の残念なイケメンぶりを際立たせ、ラリーたちはただただ呆然と彼を見つめるしかなかった…。




