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… …

水力発電というのは放流によるエネルギーだと僕は理解していて、それにはダムに、まず水を貯めないといけない…。


… …


『痛み』というのは信号であるとも僕は捉えていて転んで膝から血を流す…それが痛いから人は治療して、また活動する…。



 「待ちましたか?」と聞こえ老紳士が僕の真ん前に座った。

彼もコーヒーをオーダーし、それが、やってくる前に互いに初対面の挨拶を交わした。

やがて、彼はコーヒーを飲みながら僕に一枚の名刺をくれた。

シンプルな名刺だった。

彼の名前、住所、携帯番号、メールアドレスのみ書かれていた。

彼は名を炭谷 冬彦といった。


僕は、しどろもどろになりながらも炭谷さんと交渉した。

「五万円です!」その僕の提示額が、とにかく彼に伝わればよかった。

僕は実際、一万円で買ってもらえれば万々歳だった。

それで、五万円と言ったのである。


事は僕の思いもよらぬ方向へと進む…。


炭谷さんは僕の提示額に0を一桁加えた金額でよいです…と返してきた。つまり、50万円で買ってくれると言うのだ。

ただし、条件があった。

炭谷さんは僕がツイッターで掲載していた僕の作品を彼は全て網羅していると言う。

そして、僕は逆にある要請を提示された。

『今後、貴方にはSNSで自身の作品を世に出すのを辞めていただきたい……これから描く新作イラストは全て私のアドレスのみに送信してもらえないか?良作は、また、今回のように購入させていだだきます…。』というようなことを柔らかい口調で僕に述べた。

また、ツイッター未発表作も、炭谷さんが気に入ったイラストがあれば是非とも買わせていただきます…とのことだった…。


しばし、僕らは沈黙に入り、

互いに己のオーダーしたコーヒーを無言で飲んでいた。

先に口を開いたのは炭谷さんで、

本日、約束のイラストを私が即座に購入させていただくとして、私は早急に50万円を貴方の口座に振り込みます…それで、さっきの私の提案を考えてみてください…と僕は確かに聞こえて、

互いにコーヒーを飲み終えた後、

僕は持ってきたイラストを額縁に入れたまま、彼に渡した。それを彼は落ち着いた様子で彼が持参したバックからルーペを取り出し、よくよく見ると、ルーペもイラストも自前のバックに、しっかりしまい、

「これからも、よい取引が出来ればいいですね…。」と、にこやかに店を出て去っていった。

その時に己の飲んだコーヒー、そして、僕の飲んだコーヒーの代金も払ってくれた。

僕も彼が去った後、コーヒーショップを離れ、すぐに帰宅した。

それからは、ただただ部屋でボーッとして、

夜になり、ベッドで就寝した…。


翌朝、月曜日に目覚めた僕は普段通り職場に行き働き、帰宅して、その時、唯一、描きかけであったイラストの完成に向けて着手した。

そして、その晩、僕はそれを完成させた。


次の日の火曜日、仕事帰りに銀行に寄ると僕の口座に50万円がきっかり振り込まれていた。


僕は、それを認識してアパートに帰宅した。

僕は、アパートの自室で一人、突っ立って何を思ったか…?


僕はテレビでドキュメンタリー番組をけっこう見ていて今は亡き、ある著名な画家が大苦労の末、己の絵が1枚、売れたとき、それを売った相手の家に駆け込んで、「あの絵、あれでは駄目なんです!お金は返しますから、私に、あの絵を返してください!描き直させてください!!」とのエピソードであった…。


そして、僕は部屋に一人、立ったまま呟いた。

「…僕は、ああは、ならんわ…あのイラスト、あれで心底僕にはパーフェクトやもん……やった、やった!、やった!!50万円で売れた!!!!…。」と。

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