ストーカー
朝方。
目を覚ますと背中に張り付いたままプルプルと震えていた。
「...寝れなかったか」
「...うん。怖くて...」
俺は寝返りを打つように彼女の方に体を向ける。
そして、頭をポンポンと優しく触る。
「寝れるまでこうしててやるから安心しろ」
「...うん」
それからしばらくして、ようやく眠りについた。
そして、俺もまた寝てしまった。
目を覚ますとあれから1時間ほど経っていた。
この姿を見られたら色々とまずいなと思い、そっとベットから体を出し、リビングに行く。
そこに父さん達の姿はなかった。
...?どっか出かけたのか?
そんな話してなかったような...。
トイレを済ませて部屋に戻ろうとしたとき、チラッと開かれたカーテンの隙間から男がのぞいているのが見えた。
俺は思わずその方向に目を向けたまま硬直した。
なんだよあれ...。って、俺の馬鹿!ここで足を止めたら...。そう思った瞬間、男はこちらの視線に気づき、そのまま逃げていった。
...ストーカー...だよな。
なぜそう思ったかは分からない。
ほとんど見えなかったが、それでも俺はあいつがあの幽霊と関係しているということはすぐに分かった。
どういうことだ?
あいつは死んだんじゃなかったのか?
そもそもなんでここにいる?
そんなものは決まっている。復讐だ。
別れた奥さんが違う夫と幸せに暮らしているのが許せないのだ。
...どうする?警察に言う?
いや、言ったところでどうなる。
悪質なら接近禁止とかを命じてくれるが、それ以上のことは望めない。
それはむしろ余計に果南を不安にさせるだけでしかないだろう。
...せめて父さん達には報告するべきか?
いや、俺1人で解決するしかない。
気づいているなら協力を仰ぐが、そうじゃなさそうなら1人で解決するべきだ。
せっかくつかみかけた幸せを邪魔させるつもりはない。
色々と考えごとをしながら部屋に戻ると、果南が起きていた。
「起きちゃったか?」
「勝手にいなくならないでよ...」と、布団を広げてこっちに来てと俺を向かい入れる。
果南のツンデレのデレの部分が強すぎて、正直ちょっと驚いていたが、それほどに怖いのだろう。
「おう」と、布団に潜り込むと俺の胸に顔を埋めて抱きつくとすぐに寝息を立てて眠る。
「...」
正直に申しますと、あそこはビンビンでした。
–––––––––– 3時間後
昼頃になるとようやく父さん達が帰ってくる。
「ただいまー」と、そんな声が聞こえて、俺は無理やりベッドから抜け出して布団に戻る。
それにより果南も起きてしまった。
すると、父さんが部屋の扉を開ける。
「まだ寝てるのかー?」
「あ、いや!起きてゴロゴロしてた!」
危ない。一緒に寝ているのはギリバレなかった。
「...そうか」
「父さん達どこ行ってたの?」
「あー、いや。買い物とか色々な」
「ふ、ふーん」
「お腹減ってるだろ。なんか食べるか?」
「お、おう」
「果南ちゃんも食べる?」
「...うん」と、目を擦りながらそう言った。
「...なんで勝手に離れたの?」
「いやいやいやファインプレーだろ。父さん達にあんなの見られたら誤解を招くだろ!」
「別に。なかのいい兄妹ってことになるでしょ」
「ならねーよ!つい一昨日までツンツンしてたのに一緒に寝てたら疑いの目で見るだろ普通!」
「義妹と寝てあそこをビンビンにしちゃうやつはそういうこと想像しちゃうんだろうね。あーキモイキモイ」
こいつ...。シクシク泣きながら怖いとか言ってたのに、起きたらこの有様かよ...。
「じゃあ今日は別々に寝ていいんだな。まーそうだよね?義妹と寝ただけでビンビンになる男と寝たいわけないもんねー」と、ちょっと意地悪なことを言ってみる。
「...それとこれとは話が違うというか...」と、モジモジしはじめる。
「分かってるっての。けど、バレないようにはするぞ」
「...意地悪。バカ...」