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お化けのけけけ

「...なんで来たの」と、俺の顔を見た瞬間に嫌な顔を浮かべる義妹。



「父さんに脅されたんだよ...」



「ふーん?」



「よぉよぉ、我が息子よー、よくぞ帰ってきた」



「...よく言うよ」



「なんの話かなー?」



「わざわざ帰ってきてくれてありがとうね」



「あっ、いえいえ!」



 家族とは言えど普通に気を使う。

そういうことも含めて帰ってきたくなかったのに...。



「それで?どこ行くんだよ」



「観光も含めて洞爺湖にした」



「はーん」



 実家に帰ってきて間も無く、車に押し込められて運ばれる。



 父さんと瑞希さんは前の席で楽しそうに話している。



 一方、なんてことのない都会の景色を眺める果南。



 俺と話す気はゼロといった感じか。

まぁ、俺と仲良くしろと言わんが、この旅行を台無しにされるのは困る。

そう思ってなんとか話を振ってみるが...。



「大学は楽しいか?」



「...」



「そういや、あの2人とは高校の先輩と後輩らしいな」



「...」



「好きな食べ物は「うざい。話しかけないで」



 我慢の限界を迎えた果南はそう言い放った。



「こら、果南」



「...ごめんなさい」



 これでも前よりは丸くなった気がする。



「...ハンバーグ」



「ん?」



「好きな食べ物。二度は言わないから」と、相変わらず外を見ながら果南はそういった。



「んじゃ今度作ってやるよ」



「...あんた料理とかできないでしょ」



「俺の何を知ってんだよ」



「知らない。興味ない」



「...」



 そのまま特に何を話すわけでもなく、洞爺湖に到着する。



「いらっしゃいませ」と、手厚く出迎えられる。



 なかなかいい旅館だな。

そのまま部屋に案内されたのだが...。



「んじゃ、お母さんたちはこっちの部屋だから。あなたたちはそっちの部屋ね」と、果南にポンと鍵を渡す。



「...はぁ!?こいつと同室なの!?みんな一緒の部屋じゃないの!?」



「何よー、こんな時ぐらい2人きりにさせてよー。何?寂しいの?」



「そうじゃなくて!こいつと会ったのなんて、これで5回目とかなんですけど!」



「5回もあってれば立派な家族でしょ」



「安心しろ、果南ちゃん。そいつは安全だ!」と、謎の指を出す。



「安全って...」と言いながら、体を手で覆う。



「なんかしたら殺すから」



「...するわけないだろ。妹に」



「よく言うわ。妹もののラノベ読んでたやつが」



「ちょっ、なんでそれ知ってんだよ!」と、父さんを睨むと素知らぬ顔で部屋に入っていった。



「「...」」



 無言のまま部屋に入る。



「...私こっちで寝るから。あんたはあっちね」と、廊下を指差す。



「...体バキバキなんだろうが。普通に端っこ同士でいいだろ」



「...近づいたら殺すから」



「分かってるっての」



 父さんから一応事情は聞いていた。

元夫がどんな人間だったかを。



 その後、父さん達と合流しそれぞれ温泉に入る。



「混浴じゃなくて残念だったな!」



「...あのなぁ...。まぁ、何はともあれ上手くいってるようで安心したよ」



「まぁな。最初は結構大変だったが、ようやく果南ちゃんとも普通に話せるようになったしな」



「それなら良かったよ」



「そんでー?お前はどうなんだよ。彼女とは」



「別れたよ。言わなかったっけ」



「んだよ、父さん聞いてねーぞー。いい子そうだったのに。愛想尽かされたか?」



「...まぁな。俺に恋愛が向いてないってのはよく分かったよ」



「ほー?詳しく聞かせろよ」



「言わねーよ」



 先に頭を乾かして温泉から出ると、椅子に座っている果南がいた。



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/keysuke/news/16817330661705892201



「...」



「...何よ」



「いや、別に」



 ちょっとだけ元カノに似ていてびっくりした。



 そのまま温泉を出て、近くの温泉街を練り歩き、夕飯を食べてからまた部屋に戻る。



「ここからこっちに入ってきたら殺すから」



「わーかってるっての」



「...おやすみ」



「はい、おやすみ」



 一日中活動したこともありすぐに眠りにつけた。



 ...つけたのだが。



 モゾモゾと布団に何かが入ってくる感覚に襲われる。



 え?なに?ここってそういう旅館なの?と、思わず冷や汗が全身を巡る。



 恐る恐る振り返ると、そこには果南がいた。



「...何してんの?」



「お化け、お化けいる」と、体をガタガタと震わせられる。



 お化け?と、思って暗闇で目を凝らすと、そこには誰かが立っていた。



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