素行調査
「犯され…は?」
「大学1年の時、新歓コンパで無理矢理お酒を飲まされて、家に連れて行かれて…それで…」
呼吸が荒くなる千夏。
「ちょ、無理に話さなくていいから。水持ってくる」と、立ちあがろうとすると手を引っ張られる。
「そばに居て…」
そのままもう一度ベッドに腰掛ける。
「それからはもちろん距離を置くようになったけど…。
私それが2回目で…、そう言うのは好きな人とするもんだって思ってたけど…。
けど、気持ちいいって思う自分もいて…、それから相手が好きだからしてるのか、したいから付き合ってるのかもわからなくなって、付き合って、して、別れてを繰り返すようになって。けどさ、大河と会って本当に人を好きになるっていうことがどういうことかを思い出して…」
そのままぼろぼろと泣き出した千夏の涙を手で拭う。
「もう解放されたって思ってたのに、就職した先にあの先輩が居て、それからも飲みに誘われたり、それを断ったら見えないところでセクハラされて、上司に言おうって思ったけど、昔の…そのしている時の写真を撮っていたらしくて…、それを見せられて、上司に言ったらこれをばら撒くって…」
そんな雰囲気はどこにもなかった。
千夏と過ごしていたこの数年間、俺はそんな異常事態に気づくこともなくのうのうと過ごしていたってのかよ…。
「ごめん。気づけなくて」
「ううん、私が黙ってたのが悪いの。けど、もうどうしたら良いかわからなくて…。それで今日呼び出されて、一発やらせてくれたらあの写真は消してやるって」
俺はそのまま千夏にキスをした。
「何も心配いらないよ。俺が何とかする」
「本当…?」
「任せろっての」
どう考えてもそんなのは嘘だ。
次の弱みを握るか、またそのまま揺り続けるか。
しかし、会社側からの指示も部下上司含めて、人望が熱い開坂先輩がそんな人間だったとは…。
そうなると、そういった事実を公表するのは難しいだろう。
おそらく、その場合についても何らかの対処法を用意しているだろうし。
その時の音声を録音?それだけでは弱い気がする。
外堀から埋めるにしても何らかの証拠がないと納得はしてもらえない。
それに下手に情報をバラせばそれが先輩に伝わる可能性もある。
信頼できる一部の人間、もしくは一旦公表は控えて…。
あと、俺たちが付き合っていることは絶対に内緒にしなければならない。
じゃないと、何をしでかすかわかったものではない。
そういう人間だ。絶対どこかでボロを出しているはず。
時間はあまりない。奴がいつ強硬手段に出るかもわからない。
会社内ではできる限り一緒に居てあげて、ガードしつつ、俺は奴の素行調査を始めることにした。




