ドキドキの夜
「キーマカレーにしようかな。どう?」
「うん。俺はなんでもいいけど」
「あーそういうのダメだよー。ちゃんと意見言わないとって、どこ見てんの?」
「あぁ...うん。何でもない」
「?」
目線の先にいたのは多分...莉理だ。
いや、もう考える必要なんてないだろ。
やめろよ、情けない。
すると、おでこにデコピンされる。
「いたっ」
「ふふっ」と笑う千夏を見て俺も笑う。
「私は笑ってる大河が好き。だから、いっぱい笑わせてあげるからね」
ここ最近あんまり笑うことが少なかった。
むしろ笑っている時はいつも千夏がいた気がする。
そのまま具材を買って家に帰る。
「んじゃ、ちゃっちゃっと作っちゃうからそこで待っててー」と言いながらエプロン姿になる千夏。
「...なんか手伝えることない?」
「えー?特にないと思うし、ゆっくりしてていいよ。あっ、そうだ。洗濯物やっといてくれると嬉しい」
「...分かった」
言われた通りに洗濯をしに行ったのだが...。
でかいブラ...。
しかも洗濯物のかごに入ってるってことは...まだ洗ってないやつだよな。
最低な考えが頭をよぎる。
ちょこっと、顔を覗かせると一生懸命料理する千夏。
普通の人間ならばそこで「ダメだ!こんなこと」って思うかもしれないが、むしろ俺は興奮してしまっている。
そのままゆっくりと鼻に近づける。
すると、フローラルな香りと共に少しだけ汗の匂いが混じり、まさにインモラルな行動をしているということ自体に興奮してしまっていると、「あっ、そうだ、洗濯物なんだけど」と、ブラの匂いを嗅いでいる俺の後ろに千夏が立つ。
「...欲求不満?w別にそんなのでよければ全然使ってくれていいよ?w」と、いつものように余裕な笑みを見せてくる。
「ちがっ...その...たまたま...」
「タマタマ?wまぁ、何でもいいけど洗濯どころか汚したりはしないでね?w」と、オタマをもってそのままキッチンに戻っていく。
見られてしまった。
こんな間柄になってもまだ恥じらいが生まれることがあるのだなと少しだけ感心するのだった。
◇◆◇
ご飯を食べて、シャワーを浴び、2人並んでソファに座ってテレビを見る。
...最近の莉理だったらこんな風にしてたら邪魔くさいとか言われていたが、千夏はむしろ肩を寄せるほどに近づいてくる。
そして、テレビを見ながら「ね、この芸人さん面白いよねー」とか、「あっ、このドラマめっちゃつまんなかったw」とか、些細なことでも楽しそうに話している姿が...すごく...。
「ん?何?私の顔じっと見て。もしかしてあのブラで本当に欲情しちゃった?w」と、いつものように揶揄ってくる。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/keysuke/news/16817330663471673350
「...したって言ったら?」
「...え?w」
「...欲情したって言ったらどうする?」
「...うーん。その返しは初めてだねー。うん。欲情しちゃったなら仕方ないよね。してあげるw」
「千夏」
俺はそのままソファの上で千夏を押し倒す。
「ちょっ、本気?」
「...本気に見えない?」
「...まぁ、本気っぽいけど。あっ...。そうだ。一個言わないといけないことがある」
「...何?」
「...私、あの日大河としてないから」
「...え?」
「普通に一緒に寝ただけ。あぁあったらどうするかなーって思って...。もしかしてそれのことを気にしてる?」
「...ううん。俺はそれがなくても...『ピーンポーン』と、バツの悪いタイミングでインターホンが鳴る。
「あっ、多分私の頼んだやつだ」と、そそくさと玄関に行ってしまう。
...俺って避けられてるのかなと、思うのだった。
◇◆◇
ナニナニナニナニナニ!?
マジで私としようとしてた!?
やばい、ドキドキ止まんない。
余裕が無くなりそうだったからこのタイミングの配達はありがたい。
そう思いながら扉を開けると、そこに居たのは配達員ではなく、莉理だった。




